『ポストヒューマンSF傑作選 スティーヴ・フィーヴァー』 山岸真(編) (ハヤカワ文庫SF)
SFマガジン創刊50周年記念アンソロジーの最後を飾る3巻目。ノスタルジーを感じさせる前2巻よりもSF濃度の濃い作品集になっていると思う。これは“ポストヒューマン”というテーマがSFのコアに近い処にあるせいなのか、はたまた編者の趣味のせいか。
「テクノロジーによって変容した人類の姿」は、ポストヒューマンであると同時に、ポストヒューマン・ソサイエティであったり、ポストヒューマン・エコシステムだったりする。しかも、それが本当の意味での未来予測ではなく、著作された当時の社会風刺だったりするにおよび、多彩な未来が描かれる。
そのテーマの料理の仕方は、自分が「まさにSFだなぁ」と感じるものなのであるが、そういうことを語りだすとSF原理戦争になるので、これにてご免。
「死がふたりをわかつまで」 ジェフリー・A・ランディス
わずか6ページの、永遠のラブストーリー。泣ける。
「技術の結晶」 ロバート・チャールズ・ウィルスン
これも悲しいラブストーリー。新しい目に惹かれる男は、新しいガジェットに惹かれる誰かさんみたいだ。
「グリーンのクリーム」 マイクル・G・コーニイ
ノスタルジックなだけの短編かと思いきや、ラストが泣かせる。未来の技術が引き裂く夫婦と、それでも離れない絆。
「キャサリン・ホイール(タルシスの聖女)」 イアン・マクドナルド
『火星夜想曲』の前身となる作品。ただ、これの面白さがまったく良くわからない。『火星夜想曲』も評価低いんだよな。
「ローグ・ファーム」 チャールズ・ストロス
シンギュラリティ的な雰囲気の脳みそ固まった新人類が楽しくて不気味。そして、そのオチかよ、という衝撃。「タンクは空にしてあるか?」って、そういう問題になっちゃうのか。
「引き潮」 メアリ・スーン・リー
これはリアルに感じれば感じるほど、悲しい話。SFとして書かなければ、悲し過ぎて、えげつ無さ過ぎて、読めないかも。
「脱ぎ捨てられた男」 ロバート・J・ソウヤー
そういう社会になれば、必然的に発生する問題だとは思う。ただ、主人公の動機とかがよくわからないんだよね。俺、あのセンターに入りたいw
「ひまわり」 キャスリン・アン・グーナン
物理的な人間の変容は、認識の変容を必然的に引き起こす。そして、それをあらかじめ想像することは不可能に近い。
「スティーヴ・フィーヴァー」 グレッグ・イーガン
なんと! 実はこれが正しい“調教”だったりして。なんというか、AIとかALの研究を齧った人には別な意味で興味深いと思う。加えて言えば、知能とは何か、知性とは何かについても興味深い。ただ、よく考えてみると、たとえばある点まで同一の項を持つ、まったく別な数列というのも存在するわけで、彼らの目論見は……。
「ウェディング・アルバム」 デイヴィッド・マルセク
プログラムはどこから知性を持つのか。そこに線は引けるのか。ただ、この話はドタバタ喜劇として、とりあえずハッピーエンドだからいいんじゃないか、とか。
「有意水準の石」 デイヴィッド・ブリン
再帰。
「見せかけの生命」 ブライアン・W・オールディス
これって、「夫婦ってかみ合わない会話を続けるよね」っていう“真理”が発見されたという話だと思ったんだけど、そういう読み方っておかしい?
個別の感想を書き出してみたら、これって[ポストヒューマンSF傑作選]じゃなくって、[ポスト結婚SF]だったりして、とか思ったり、思わなかったり。
SFマガジン創刊50周年記念アンソロジーの最後を飾る3巻目。ノスタルジーを感じさせる前2巻よりもSF濃度の濃い作品集になっていると思う。これは“ポストヒューマン”というテーマがSFのコアに近い処にあるせいなのか、はたまた編者の趣味のせいか。
「テクノロジーによって変容した人類の姿」は、ポストヒューマンであると同時に、ポストヒューマン・ソサイエティであったり、ポストヒューマン・エコシステムだったりする。しかも、それが本当の意味での未来予測ではなく、著作された当時の社会風刺だったりするにおよび、多彩な未来が描かれる。
そのテーマの料理の仕方は、自分が「まさにSFだなぁ」と感じるものなのであるが、そういうことを語りだすとSF原理戦争になるので、これにてご免。
「死がふたりをわかつまで」 ジェフリー・A・ランディス
わずか6ページの、永遠のラブストーリー。泣ける。
「技術の結晶」 ロバート・チャールズ・ウィルスン
これも悲しいラブストーリー。新しい目に惹かれる男は、新しいガジェットに惹かれる誰かさんみたいだ。
「グリーンのクリーム」 マイクル・G・コーニイ
ノスタルジックなだけの短編かと思いきや、ラストが泣かせる。未来の技術が引き裂く夫婦と、それでも離れない絆。
「キャサリン・ホイール(タルシスの聖女)」 イアン・マクドナルド
『火星夜想曲』の前身となる作品。ただ、これの面白さがまったく良くわからない。『火星夜想曲』も評価低いんだよな。
「ローグ・ファーム」 チャールズ・ストロス
シンギュラリティ的な雰囲気の脳みそ固まった新人類が楽しくて不気味。そして、そのオチかよ、という衝撃。「タンクは空にしてあるか?」って、そういう問題になっちゃうのか。
「引き潮」 メアリ・スーン・リー
これはリアルに感じれば感じるほど、悲しい話。SFとして書かなければ、悲し過ぎて、えげつ無さ過ぎて、読めないかも。
「脱ぎ捨てられた男」 ロバート・J・ソウヤー
そういう社会になれば、必然的に発生する問題だとは思う。ただ、主人公の動機とかがよくわからないんだよね。俺、あのセンターに入りたいw
「ひまわり」 キャスリン・アン・グーナン
物理的な人間の変容は、認識の変容を必然的に引き起こす。そして、それをあらかじめ想像することは不可能に近い。
「スティーヴ・フィーヴァー」 グレッグ・イーガン
なんと! 実はこれが正しい“調教”だったりして。なんというか、AIとかALの研究を齧った人には別な意味で興味深いと思う。加えて言えば、知能とは何か、知性とは何かについても興味深い。ただ、よく考えてみると、たとえばある点まで同一の項を持つ、まったく別な数列というのも存在するわけで、彼らの目論見は……。
「ウェディング・アルバム」 デイヴィッド・マルセク
プログラムはどこから知性を持つのか。そこに線は引けるのか。ただ、この話はドタバタ喜劇として、とりあえずハッピーエンドだからいいんじゃないか、とか。
「有意水準の石」 デイヴィッド・ブリン
再帰。
「見せかけの生命」 ブライアン・W・オールディス
これって、「夫婦ってかみ合わない会話を続けるよね」っていう“真理”が発見されたという話だと思ったんだけど、そういう読み方っておかしい?
個別の感想を書き出してみたら、これって[ポストヒューマンSF傑作選]じゃなくって、[ポスト結婚SF]だったりして、とか思ったり、思わなかったり。