「The Best of Foreign Short Fictions 海外SF短篇セレクション」と銘打たれた特集。久しぶりの小説特集なのだが、やはりSFマガジンの真骨頂はここにありといった感じで、どれも外れ無し。ただ、オールタイムベスト級として熱狂的に押せるほどの作品が無かったのはちょっと残念。後篇が残っているストロスに期待したい。
やっとレポートが載ったSFシンポジウムは結局参加できず。コンサドーレなイベントや、ビールなイベントを優先してしまったからな。パオロ・バチガルピvs藤井太洋の対談なんかは、ぜひとも聞きに行きたかったんだが、そもそもあれはSF大会企画だから無理か。
というわけで、来年の「なつこん」にはエントリーしました。夏のつくばでお会いしましょう。
あ、そうそう、カリン・ティドベックの作品は小林泰三や牧野修を思わせる作風なので、ぜひ「なつこん」にゲストで呼んで対談させようw
○「ホワイトフェード」 キャサリン・M・ヴァレンテ/佐田千織訳
背後にあるのが第二次世界大戦なのでずいぶん古めかしい気もするが、テーマとしては普遍。というか、日本だとハーレム系エロマンガになってしまいそう。
○「ジャガンナート――世界の主」 カリン・ティドベック/市田 泉訳
小林泰三かよ! 最後に主人公が口にしたものが何だったのかを考えるのも、続きがありそうで面白い。
○「最終試験」 メガン・アーケンバーグ/鈴木 潤訳
なかなか面白い仕掛け。読み進めると、いったいこれは何なのかという疑問が二転三転七転八倒。物理的な世界の終りと、個人的な世界の終りが量子的に重ね合わさったかのような不思議な感じ。
○「真空キッド」 スティーヴン・バクスター/矢口 悟訳
バクスターにしてはジュブナイル的なw 巨大な陰謀とバイオハザードの悲劇を明るいヒーロー物に仕立て上げ、SF的な「大宇宙へ行こうぜ」というメッセージを語りきった手際は、いろいろな意味ですごいと思った。
-「パリンプセスト〈前篇〉」 チャールズ・ストロス/金子 浩訳
例によって評価は〈後篇〉を読んだ後で。