神なる冬

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[SF] 絶深海のソラリス

2015-12-02 23:59:59 | SF

『絶深海のソラリス』 らきるち (MF文庫J)

 

各処で絶賛、必読とされていたので読んでみた。たしかに、これはスゴイ。

万人に薦められるかといえばそうではないが、ラノベ、ホラー、SF関係の人なら、とにかく前提知識ゼロで読むべき。

なお、SF成分は2巻以降に持ち越しなので、まだ評価不能。

スゴイ部分はちょっとでもネタバレすると意味が無いので、下の方に。未読の方はback推奨。

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、ストーリーとしては要するに良くあるホラー物の定石ではある。深海で皆殺しといえば、どう見たって『ディープ・ブルー』。

それを、ハーレム系ライトノベルでやったというところが、あまりに明後日の方向を向いていたがゆえに、“スゴイ”という感想しか出てこない。

思えば、子供向けとも取られかねないアニメ絵で壮絶なドラマを描いた『まどか☆マギカ』があったわけで、あれを文章でやれないはずは無いのだ。まさにコロンブスの卵。

だからと言って、この大きなギャップを簡単に再現できるというわけでもないので、そこは著者の計算と力量が、読者側の予想を大きく上回ることができたということだろう。

はっきり言って、その点だけをみれば、並み居る先人たちを凌駕している。秋山瑞人も、冲方丁も、虚淵玄も越えたよ。この絶望感と、ラストの意地悪さ加減は。

なんといっても、ヒロイン級のキャラの死ぬタイミングの悪さ。まさに、もっとも読者の度肝を抜くタイミングでやりやがった。

そして、最後に付け足しのように再会した女先輩。

まさに、すべてにおいて、いかに読者へ嫌がらせをできるかを、最大限に考え抜かれた作品。

2巻ではSFネタ関連の種明かしがされるのか、さらに意地悪さを見せるのか、はたまた出オチで終わるのか、かなり期待。