各処で絶賛、必読とされていたので読んでみた。たしかに、これはスゴイ。
万人に薦められるかといえばそうではないが、ラノベ、ホラー、SF関係の人なら、とにかく前提知識ゼロで読むべき。
なお、SF成分は2巻以降に持ち越しなので、まだ評価不能。
スゴイ部分はちょっとでもネタバレすると意味が無いので、下の方に。未読の方はback推奨。
まあ、ストーリーとしては要するに良くあるホラー物の定石ではある。深海で皆殺しといえば、どう見たって『ディープ・ブルー』。
それを、ハーレム系ライトノベルでやったというところが、あまりに明後日の方向を向いていたがゆえに、“スゴイ”という感想しか出てこない。
思えば、子供向けとも取られかねないアニメ絵で壮絶なドラマを描いた『まどか☆マギカ』があったわけで、あれを文章でやれないはずは無いのだ。まさにコロンブスの卵。
だからと言って、この大きなギャップを簡単に再現できるというわけでもないので、そこは著者の計算と力量が、読者側の予想を大きく上回ることができたということだろう。
はっきり言って、その点だけをみれば、並み居る先人たちを凌駕している。秋山瑞人も、冲方丁も、虚淵玄も越えたよ。この絶望感と、ラストの意地悪さ加減は。
なんといっても、ヒロイン級のキャラの死ぬタイミングの悪さ。まさに、もっとも読者の度肝を抜くタイミングでやりやがった。
そして、最後に付け足しのように再会した女先輩。
まさに、すべてにおいて、いかに読者へ嫌がらせをできるかを、最大限に考え抜かれた作品。
2巻ではSFネタ関連の種明かしがされるのか、さらに意地悪さを見せるのか、はたまた出オチで終わるのか、かなり期待。