『NOVA6』 大森望 責任編集 (河出文庫)
![](http://www.kawade.co.jp/img/cover_l/41113.jpg)
今回は新人特集らしいが、衝撃的な出会いみたいなものは無かった。でも、新人がどんどん出てくるのは、今後が楽しみ。
全体として良作が揃っているものの、SFとしては、インパクト不足は否めない。テーマの衝撃性があったのは牧野修ぐらいじゃないか。しかし、新旧硬軟とりまぜたラインナップは非常に楽しいアンソロジーで、やっぱりSFって面白いなと思った。
◎「白い恋人たち」 斉藤直子
前回の続編? 現在のコミュニケーションや匿名問題などを近未来に外挿した思弁的なSF小説でありながら、ちゃんと笑えるボーイズ・ミーツ・ガールな恋愛小説。
○「十五年の孤独」 七佳弁京
軌道エレベーターを15年かけて人力で登る話。15年という歳月の描写が起動エレベーターの巨大さを際立たせる描写になっていると思う。そして、SF者は軌道エレベータの名称やステーションの名称に涙する。父親と光の鳥の件はちょっと消化不良なきがする上に、校正ミスのような気がする文章がいくつか。なんか、主人公の背中にはエボルタが見える。
△「硝子の向こうの恋人」 蘇部健一
オーソドックスなタイムトラベル話。正当派として読めば古いし、トホホ派としてもトホホ感が少ない。
○「超現実な彼女」 松崎有理
えーと、オチは? でも、この彼女は結構好き。惚れた。
○「母のいる島」 高山羽根子
十分、ヒット・ガールがいっぱい出てくる小説だと思いますけど……。母親のポジティブな復讐譚が感動的で真似できない。
○「リビング・オブ・ザ・デッド」 船戸一人
なるほど、わからん。(その1)
確かに伊藤計劃っぽいと言われれば納得するけど。登場人物の思考が理解できず、共感もできないので、まったくもって、解釈すらできん。
△「庭、庭師、徒弟」 樺山三英
なるほど、わからん。(その2)
ウィトゲンシュタインはまともに読んでないしなぁ。そもそも、ウィトゲンシュタインを名前くらいしか知らない読者に理解できるように書いてあるのか、これ?
○「とんがりとその周辺」 北野勇作
えーと、〈新しい太陽の書〉?
◎「僕がもう死んでいるってことは内緒だよ」 牧野修
長期記憶を持てずに崩壊していく社会を描いた作品。311後の喪失感は確かに感じるのだけれど、格差社会への言及も見られる。たしかに、派遣の仕事なんて、こんなものなのかもしれない。そして、トリックスターに洗脳される“底辺”なんて、まさしく現在的。
○「保安官の明日」 宮部みゆき
ひねくれたSF者としては、〈ザ・タウン〉が“どこ”なのかを推理しながら読まざるを得ないのだが、実はその面白さは〈ザ・タウン〉が作られた背景にあったというオチ。ハウダニットに気を取られていたら、ホワイダニットに驚いた、的な。
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今回は新人特集らしいが、衝撃的な出会いみたいなものは無かった。でも、新人がどんどん出てくるのは、今後が楽しみ。
全体として良作が揃っているものの、SFとしては、インパクト不足は否めない。テーマの衝撃性があったのは牧野修ぐらいじゃないか。しかし、新旧硬軟とりまぜたラインナップは非常に楽しいアンソロジーで、やっぱりSFって面白いなと思った。
◎「白い恋人たち」 斉藤直子
前回の続編? 現在のコミュニケーションや匿名問題などを近未来に外挿した思弁的なSF小説でありながら、ちゃんと笑えるボーイズ・ミーツ・ガールな恋愛小説。
○「十五年の孤独」 七佳弁京
軌道エレベーターを15年かけて人力で登る話。15年という歳月の描写が起動エレベーターの巨大さを際立たせる描写になっていると思う。そして、SF者は軌道エレベータの名称やステーションの名称に涙する。父親と光の鳥の件はちょっと消化不良なきがする上に、校正ミスのような気がする文章がいくつか。なんか、主人公の背中にはエボルタが見える。
△「硝子の向こうの恋人」 蘇部健一
オーソドックスなタイムトラベル話。正当派として読めば古いし、トホホ派としてもトホホ感が少ない。
○「超現実な彼女」 松崎有理
えーと、オチは? でも、この彼女は結構好き。惚れた。
○「母のいる島」 高山羽根子
十分、ヒット・ガールがいっぱい出てくる小説だと思いますけど……。母親のポジティブな復讐譚が感動的で真似できない。
○「リビング・オブ・ザ・デッド」 船戸一人
なるほど、わからん。(その1)
確かに伊藤計劃っぽいと言われれば納得するけど。登場人物の思考が理解できず、共感もできないので、まったくもって、解釈すらできん。
△「庭、庭師、徒弟」 樺山三英
なるほど、わからん。(その2)
ウィトゲンシュタインはまともに読んでないしなぁ。そもそも、ウィトゲンシュタインを名前くらいしか知らない読者に理解できるように書いてあるのか、これ?
○「とんがりとその周辺」 北野勇作
えーと、〈新しい太陽の書〉?
◎「僕がもう死んでいるってことは内緒だよ」 牧野修
長期記憶を持てずに崩壊していく社会を描いた作品。311後の喪失感は確かに感じるのだけれど、格差社会への言及も見られる。たしかに、派遣の仕事なんて、こんなものなのかもしれない。そして、トリックスターに洗脳される“底辺”なんて、まさしく現在的。
○「保安官の明日」 宮部みゆき
ひねくれたSF者としては、〈ザ・タウン〉が“どこ”なのかを推理しながら読まざるを得ないのだが、実はその面白さは〈ザ・タウン〉が作られた背景にあったというオチ。ハウダニットに気を取られていたら、ホワイダニットに驚いた、的な。
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