『深海大戦 Abyssal Wars 超深海編』 藤崎慎吾 (角川書店)
深海大戦の第3部。完結篇。
帯の煽りのわりには、なんとなく退屈で期待外れだった気が。
おそらく、主人公たちの会話文に魅力が無いのではないかと思われ。これは藤崎慎吾の才能の無駄遣いというか、そこは期待しても困るしという部分なのかもしれない。もし、本当にアニメ化の話があるのだとすれば、その部分を中心に強化を期待したい。
海洋+ロボットといえば、『翠星のガルガンティア』だったり、『絢爛舞踏祭 ザ・マーズ・デイブレイク』だったり、先行例が無いわけではないが、そこは藤崎慎吾。最新の深海研究をもとにしたネタをいろいろ放り込んでいて、昨今のダイオウイカに始まる深海ブームに乗れば、アニメ化しても一発当てられる可能性はあるのではないかと思う。
藤崎慎吾といえば、『ハイドゥナン』に代表される海洋SFの旗手。そして、共生微生物によるバイオスフィアが知性を持つかもしれないというのもお得意のモチーフ。
遺伝子改良によって生まれた海洋適応人類《ホモ・パイシーズ》の存在と、海中での戦闘を実現するためのバトル・イクチオイドが表のSFガジェットであるならば、バイオスフィアの持つ意識とネットワークによる繋がりが裏のSFテーマになる。
人類が非人類であるホモ・パイシーズを挟んで未知の存在に対峙するとき、人類とは何かという問いを突き付けられるわけである。
しかしながら、そうであるからこそ、ジオス島とハイドラ島の比喩の意味は地球とどこかの惑星ではなく、地上に住む人類と、地球の深海生物圏に住む生命体との間の争いであって欲しかった。ああいう無駄にオカルティックな設定は邪魔ななだけだと思うんだよね。それとも、アニメ化を見据えたうえでは、こういった派手な設定が必須になってくるのだろうか。
でも、どこだかわからない異次元でつながった惑星よりも、この地球の深海に知的生命体がいるかもしれないといった設定の方がワクワクするんだよね。みんなはそうじゃないの?
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