『後藤さんのこと』 円城塔 (早川書房 想像力の文学)
昨年、“奇妙な味”の小説を集めた叢書として開始された「想像力の文学」に円城塔が登場。
SFマガジン増刊号の「STRANGE FICTION」が肌に合わなかったので、この叢書は敬遠していたが、円城塔とあっては買わざるをえまい(笑)
円城塔の作品は、数学、物理学、文学のジャーゴンを散りばめながらも、物語のフォーマットとしてはオーソドックスなボーイ・ミーツ・ガール。
……と思っていたのだが、今回は謎置換によるエッセイ風作品としての手法が確立されている。新・円城塔宣言だ。
表題作「後藤さんのこと」が、特にこの作風が顕著である。後藤さんのことや、後藤さんのことや、後藤さんのことや、後藤さんのことを書いているようで、それって、光じゃんとか、次は素粒子かよ、そんで甲殻類かよとか。しかもそれが、1ページのうちにころころ変わるから始末が悪い。
「ん、何のこっちゃ」と思いながら、元ネタを考えるのがまた楽しい。中にはよくわからないものもあるのだが、これが脳トレ。正解することが重要なのではなく、考えることに意味がある(笑)
いつものボーイ・ミーツ・ガール物も、勿論収録されている。「墓標天球」は4回読めるお得な作品。そして、やっぱり少女がかわゆ過ぎで萌える。俺の中では、少女を書かせたら、森見登美彦と双璧。妄想の中にしかいない少女。
しかし、なんといっても「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」。SFマガジンで前に読んでいるのだが、電車の中で吹き出して、変な人になってしまった。Jコレクションに『抒情の奇妙な冒険』(笹公人)というSF短歌集があったが、あれに通じるものがある。いろいろな想いを凝縮した単語ひとつひとつから、莫大なイメージが想起され、膨らむ。そのときの写像関数が、時代感と趣味が近いので似ているのだろう。
生年が近くて同郷ということで、ヘタするとすれ違うどころか、衝突して別な粒子を生み出していた可能性もある。幸か不幸か、円城氏は東北大のSF研だったので衝突しそこねたがな(笑)
自分も『コンサドーレの興亡』でも書いてみようかと思ったが、コンササポにもSFファンにもわからないネタになりそうなのでやめた。
昨年、“奇妙な味”の小説を集めた叢書として開始された「想像力の文学」に円城塔が登場。
SFマガジン増刊号の「STRANGE FICTION」が肌に合わなかったので、この叢書は敬遠していたが、円城塔とあっては買わざるをえまい(笑)
円城塔の作品は、数学、物理学、文学のジャーゴンを散りばめながらも、物語のフォーマットとしてはオーソドックスなボーイ・ミーツ・ガール。
……と思っていたのだが、今回は謎置換によるエッセイ風作品としての手法が確立されている。新・円城塔宣言だ。
表題作「後藤さんのこと」が、特にこの作風が顕著である。後藤さんのことや、後藤さんのことや、後藤さんのことや、後藤さんのことを書いているようで、それって、光じゃんとか、次は素粒子かよ、そんで甲殻類かよとか。しかもそれが、1ページのうちにころころ変わるから始末が悪い。
「ん、何のこっちゃ」と思いながら、元ネタを考えるのがまた楽しい。中にはよくわからないものもあるのだが、これが脳トレ。正解することが重要なのではなく、考えることに意味がある(笑)
いつものボーイ・ミーツ・ガール物も、勿論収録されている。「墓標天球」は4回読めるお得な作品。そして、やっぱり少女がかわゆ過ぎで萌える。俺の中では、少女を書かせたら、森見登美彦と双璧。妄想の中にしかいない少女。
しかし、なんといっても「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」。SFマガジンで前に読んでいるのだが、電車の中で吹き出して、変な人になってしまった。Jコレクションに『抒情の奇妙な冒険』(笹公人)というSF短歌集があったが、あれに通じるものがある。いろいろな想いを凝縮した単語ひとつひとつから、莫大なイメージが想起され、膨らむ。そのときの写像関数が、時代感と趣味が近いので似ているのだろう。
生年が近くて同郷ということで、ヘタするとすれ違うどころか、衝突して別な粒子を生み出していた可能性もある。幸か不幸か、円城氏は東北大のSF研だったので衝突しそこねたがな(笑)
自分も『コンサドーレの興亡』でも書いてみようかと思ったが、コンササポにもSFファンにもわからないネタになりそうなのでやめた。
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