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[SF] SFマガジン2013年3月号

2013-05-11 23:59:03 | SF

『S-Fマガジン 2013年3月号』 (早川書房)

 

特集「英米SF受賞作特集」。

まずはSFマガジン読者賞の発表。2012年度の受賞作は、国内部門が仁木稔「はじまりと終わりの世界樹」、海外部門がレイチェル・スワースキー「女王の窓辺にて赤き花を摘みし乙女」。各種賞の常連受賞者を抑えての意外な結果。

いわゆる《センス・オブ・ワンダー》じゃない部分。たとえば、叙情的な描写や、印象的なシーンの描写が評価の中心になっているのかなという印象を受けた。仁木稔は『グアルディア』につながる部分で深みが出るのだけれど、スワースキーのは良くわからないファンタジーだった記憶しかない。

肝心の英米SF受賞作特集は、毎年どの作品を訳するかで当たり外れが出るのだが、今年もヒューゴー&ネビュラのダブルクラウン2作がちゃんと掲載された。ショート・ストーリー部門のケン・リュウ「紙の動物園」、ノヴェラ部門の「霧に橋を架けた男」。不思議なことに、ノヴェレット部門からの掲載は無し。直近の掲載も無いみたいだけれど、これは版権の問題なのか、予想を外したのか。

さらに、ハヤカワ文庫JA 40周年記念作品&フェアのお知らせ。敵は海賊、クラッシャージョウ、星界の戦旗と、懐かしいシリーズの新刊が目白押しで、これは期待したい。


「選択」 ポール・J・マコーリイ
出だしはマーク・トウェインか何かかと思いきや、状況が分かってくると未来の話だということが分かってくる。しかし、その味わいは、やっぱり少年の冒険と成長と、理不尽な世界を描いたオーソドックスな小説。

「紙の動物園」 ケン・リュウ
昔、“ジャパゆきさん”という言葉があったのをどれくらいの人が覚えているだろうか。先進国の少子化と移民の問題はこれからが本番なのかもしれない。

「ベティ・ノックスとディクショナリ・ジョーンズ、過ぎ去りしティーンエイジに立ち返っての奇譚」 ジョン・G・ヘムリイ
現代ラノベ並にタイトルがやたら長いが、まったくそんなイメージの無いオーソドックスなタイムスリップSF。ついでに、古いSFを知っていると爆笑ネタ満載。

「霧に橋を架けた男(前篇)」 キジ・ジョンスン
どことも知れない惑星の深い谷を流れる霧の川。ここに橋を架ける工学SFであり、大規模な事業によって姿を変えていく素朴な村の物語。

 

 



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