第51回 日本SF大会「Varicon」に参加してきました。その2回目。
やっと20:30となり、企画の開始。そう、なんとこの大会は20:30開始で朝の4:00まで続く一晩だけのファンタジア。
しかも今回はメイン企画と呼べるものがなく、(敢えて言うならば、笹本さん部屋がそうだったのか?)どこに行こうか迷う感じ。
1コマ目は『「翻訳者vs挿画家、海外SFを語る」大森望 vs 鷲尾直広』。
鷲尾直広さんは今年の星雲賞アート部門受賞者。お名前をよく知らなかったのだけれど、あれもこれもそうだったのかとびっくりした。
特に、あの『コラプシウム』と《レベレーション・スペース》シリーズが同じイラストレーターだったことに衝撃。ああ、そういえば『啓示空間』にヘンな(失礼!)キャラデザ載ってたな。
『コラプシウム』はハヤカワSFでありながら、内容とは無関係のアニメ絵表紙を付けたということで、一部で強烈な批判を受けたという逸話を持つ例の本だ。しかし、大森さん曰く、「あれ批判してるの、2chでもずーっと一人の人が言ってるだけなんじゃないの? だって、なんだかんだ言ってみんな買ってるじゃない(笑)」
ゲストが二人とも星雲賞受賞者ということもあって、海外SFの話というより、どうやったら星雲賞が取れるかという話に流れ、はるこんでただ働きすると、はるこんスタッフの組織票が入っていいらしいとの結論に。そして、この話は「大森望の星雲賞メッタ斬り!」まで続くのである。
海外SF以外の話では、アニメの話もちょろっと。『ファフナー』の企画はあるけど冲方さんが忙しくてうんぬんかんぬん。そして、モーパイの話はこの後の笹本部屋へ続く。(行ってないのでわかりません)
2コマ目は『作家・川端裕人インタビュー「初の気象SF『雲の王』を書いて」』
小林泰三さん部屋と迷ったのだけれど、川端さんの方へ。
川端さんは初めてお目にかかりましたが、実はこのブログに以前コメントをいただいてるんですよね。
てっきり、普通なおじさん(年上だし、PTAだしw)のイメージだったのだけれど、すらっとした長身の好青年といった感じのイケメンで、想像とのあまりのギャップにびっくらこいた。
この実物なら、『銀河へキックオフ』のオンリーイベントに行っても、腐女子たちがキャーキャー言うレベルではないかと思った。
で、いきなり大久保町の話とか。川端さんは明石市の出身で、『大久保町の決闘』(田中哲弥)も喜んで読んでたとか。一つ間違えば、小林さんとともにマンガカルテット入りだったのかも。
その後、日本テレビ記者時代の話や、デビュー作『夏のロケット』の話を経て、『川の名前』。さらに、最新作『雲の王』へ。
宇宙や未来へということよりも、身近なものにセンス・オブ・ワンダーを感じるというお話しにはちょっと共感した。確かに、『川の名前』は全然SFでは無いが、読んだ後に世界の見え方が変わるというセンス・オブ・ワンダーど真ん中な小説だった。
『雲の王』も、やはりその傾向にあり、雲の一族という架空の存在を通して描かれるのは遠い異星の気象ではなく、まさしく我々を取り巻く地球の大気であり、この日本の台風である。そして、この小説を読んだ後では、雲の見え方や、台風に対する考え方が違ってくるに違いない。(って、読んだ後に書いてますが……)
雲の一族と、『光の帝国 常野物語』(恩田陸)の類似の件は著者本人も気づいていたとか。ただし、下敷きになっているのは、『光の帝国 常野物語』でも、その下敷きの『果てしなき旅路 《ピープル・シリーズ》』(ゼナ・ヘンダースン)でもなく、クリフォード・D・シマックの短編だそうだ。(『20世紀SF2』収録の「隣人」?)
『夏のロケット』もホリエもんロケットとして現実化しそうだし、『雲の王』のGプロジェクトも似たような計画が始まっているらしい。現実に即して緻密に描けば描くほど、陳腐化が早く、旬が短い。“大雑把”な話ほど陳腐化しないという話題も。でも、これって共存可能だよね。大雑把な話を緻密に描けばいいんだよ、とか無責任に思ったり。
大森さんの「これは『MM9』(山本弘)への挑戦だ」みたいな感想も面白かった。台風や地震を怪獣そのものとして登場させた『MM9』と、台風を怪獣、雲の王として描く本作は確かに類似していながら、真向からベクトルがぶつかるかもしれない。
対談が終わって、『雲の王』の販売&サイン会。先頭に並んだコンサユニが俺です。すみません。
しかし、講談社の編集さんが「そうだ、SF大会に行こう」と言い出したというのはすごい。しかも、なんでまたこんな夕張なんかに。都市型大会だと、もっと本も売れたんだろうにね。ああ、でもこうやって話題にするからいいのか。
大会の企画はすべてビデオに撮って、後日ustreamで配信ということになっていたのだが、なんとこれだけ公式記録に失敗したとのtweetが流れてきており、まぼろしの企画になってしまったかもしれない。
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