昼食はゲート外のサンクチュアリロッジにて。遺跡内は持ち込み禁止なので、ロッジの外でサンドイッチなどを食べている人たちも多い。
ロッジ内はビュッフェになっていて、日本人や中国人、韓国人のグループもいる。野菜のスープと硬いパンがおいしかった。午後からは山登りと聞いていたので、ビールはパス。コカ茶をいただく。歩き疲れた身体にコカ茶がうまい。
ここもまだ停電で薄暗かったのだが、食事中に電力復活。お土産物のショーウィンドウにもライトが点く。これでもう大丈夫だろう。
ロッジ内ではフォルクローレの演奏もしていたが、困ったことに出口に陣取っていて、ロッジを出ようとするとCDを売りつけようとする。別に無視しても問題ないのだけれど、ちょっと気まずい。
昼食後、遺跡内へ戻り、見張り小屋から逆向きに登る。マチュピチュへのインカ道をインティプンク(太陽の門)まで。あんなところまで登るのかというくらいの高さ、山の稜線がくぼんだ位置に石垣が見える。
クスコからマチュピチュへ至るインカ道の最後の峠が太陽の門。ここを越えると、休憩所、沐浴所、礼拝所などを経て、マチュピチュへいたる。そこで、来訪者を迎えるのが見張り小屋ということ。
ワイナピチュへの入山は制限されているが、こちら側は特に制限は無いらしく、道もそれほど険しくない。ツアーとしては希望者だけとのことだったが、二組の中高年夫婦共に全員参加。曰く、「きついかもしれないけど、このために来たんだから」と。まあそうだよね。
マチュピチュからインティプンクまでのインカ道は、古来の石畳舗装になっている。しかし、これは近年修復されたものなのか、明らかな工具跡が残る石も使われているように見える。
左右は熱帯っぽいつる草と、笹なのか竹なのか、とがった葉の植物が下生えになっている。そういえば、竹が壁面に使われているのも見るのだけれど、竹って南米にも自生してるんだっけ?(新大陸熱帯の“タケ連”なる種別らしい)
天候はぽつぽつと雨が降っているような、降っていないような。遺跡もワイナピチュも霧の中に隠れていく。しかし、この雨はすぐに止んでくれた。
道の山側からは、エンジン式の草刈機で草を刈るようなウィンウィンというような音や、不安定な足場がガタつくような音が聞こえる。これはなんと、マチュピチュの街へ続く水路の音だそうだ。かつては石組みで作られていたもので、現在は一部がプラスチックの配管で修復されているのだが、それがこのような大きな音を立てるのだ。
道の脇に広場のようなものが見えてくる。笹に埋もれた低い石垣が広場を囲む。これは沐浴場跡地だとのこと。ここで最後に身を清めてマチュピチュの門をくぐる。そういう話を聞くと、マチュピチュの街全体が神社のような感じ。伊勢とか出雲とかを思わせる。
マチュピチュ遺跡は、インカ人がスペイン人から逃げる時にすべての資料を焼き払い、道を壊していったので失われた遺跡となった。それだけ重要な場所だったのだろう。しかし、近隣の村に口述伝承で伝わっている話もあり、公式見解とはちょっと違うらしい。実はこのツアーについてくれたサブガイドのナンシーさんがおばあさんから聞いた話というのもそのひとつ。
ここに沐浴場があったというのも、そうやって伝えられた話なのだそうだ。例によって、真偽のほどはわからない。
その先にあるのが奇妙な模様の大きな一枚岩。この岩は特徴的なので麓からでも見分けることができる。この模様は塗料か苔かと思いきや、岩の模様。火成岩が生まれるときに成分の違う鉱物が混じり合わさって、このようなマーブル模様になったらしい。そして、この模様はついさっきも見た。そう、コンドルの神殿の翼の部分だ。あの翼はこの岩から切り出されたものと言われている。マチュピチュにコンドルの神殿が建てられたのは、この岩があったからなのかもしれない。
伝承によるとここは神様にお祈りする礼拝所。一方、公式見解としては人骨が見つかったことから墓であるとのこと。神様の岩ということで、みんなで柏手を打って旅の安全を祈願する。
さらに道を進むと、建物の跡が見えてくる。これは旅人の宿泊所。マチュピチュの門は夜間には開かないので、ここで泊まって朝を待ったのだそうだ。
ここで休憩。ホセさんがリュックからビニールの袋を取り出し、中身を風呂敷(!)に広げる。これはなんとコカの葉。ホセさんはコカを噛む。むしゃむしゃ食べる。数枚を齧るのではなく、本当にむしゃむしゃ食べる。ペルーの人々はこうやってコカを噛むのだ。なんでも、ペルー人やボリビア人は、日本への入国の際にひとり1キロだかは持込が特例で許可されているんだとか。本当かね。うらやましい。
コカの葉を一枚いただいて齧ってみたのだが、驚いたことに最初は甘みを感じる。それを噛んでいるうちに、緑茶っぽい香ばしい香りがしてくる。コカ茶は好きだけれど、コカの葉も思ったよりイケるぞ。
ゆっくりとインカ道を登ること約2時間。やっと峠の門へ到着。ここからはマチュピチュ遺跡と、そこに至る九十九折の道路を見下ろせる。
大自然の緑の中、台地の上にぽっかりと浮かんだ古代の街の遺跡。インカの人々が見た光景と同じものを見ているのだと考えると、ちょっと感動。
太陽の門の周りにも古代の石垣が点在。ここも段々畑だったのだろうか、それとも、崖崩れ防止のための石垣なのか。
そこからまた1時間半かけてマチュピチュまで。今度はちゃんと、クスコからマチュピチュへやってきた旅人の気分で順番にめぐる。お祈りをして、沐浴(の振りを)して、ちょっと敬虔な気分になった。
マチュピチュの入り口、見張り小屋まで来ると、雲が晴れた。朝陽とは逆の角度、西陽に照らされたワイナピチュもまた美しい。
ロッジまで下りてくると、犬たちもお昼寝タイム。みなさんお疲れさまでした。
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