神なる冬

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[SF] ワイオミング生まれの宇宙飛行士

2010-09-04 00:13:35 | SF
『宇宙開発SF傑作選 ワイオミング生まれの宇宙飛行士』 (ハヤカワ文庫 SF)




宇宙SFではなく、宇宙“開発”SF。読み終えて思うことは、宇宙開発はレトロフューチャーになってしまったんじゃないかということ。ガガーリンの初飛行。アポロ11号月面着陸のビデオ。サターン5の模型。スペースシャトル打ち上げのポスター。何もかも、みな懐かしい……。アポロ計画がそのまま遂行されたIFの世界は、たとえ設定年代が未来であっても、なんだか遠い遠い昔話に聞こえてしまう。

そんなノスタルジーを楽しみながらも、宇宙開発の現状に危機感を持ってしまう。「はやぶさ」が残した物語を原動力に、この力が消えないうち、少しでも前へ。



△:「主任設計者」 アンディ・ダンカン
 なんだか、あらためて読み返すと退屈だった。実在科学者、コスモノートが頻出する顔見せ興行小説。

○:「サターン時代」(ウィリアム・バートン)
 こちらはアメリカ宇宙開発の顔見せ興行小説。いつか、日本の宇宙開発も顔見せ興行ができるように有名になって欲しい。IES兄とか(笑)

○:「電送連続体」 アーサー・C。クラーク&スティーヴン・バクスター
 全編、クラークのパロディ。

◎:「月をぼくのポケットに」 ジェイムズ・ラヴグローヴ
 ぜんぜんSFじゃないけど、とってもいい話。人間を突き動かす力の大きさを思うとともに、自分が持っていた思いはどこへと……。

○:「月その六」 スティーヴン・バクスター
 ありえたかもしれない宇宙開発の間をさまよう宇宙飛行士。日本が月までたどりついた世界はあるのだろうか。

◎:「献身」 エリック・チョイ
 バイキングは火星上の「はやぶさ」だった!
 ってわけでもないけど、日本人ならばバイキング1号のけなげさと、宇宙飛行士たちの“こんなこともあろうかと”に涙しないわけがない。

◎:「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」 アダム=トロイ・カストロ&ジェリイ・オルション
 これもあからさまに日本人が好きそうな感動小説。グレイそっくりに生まれたアレックスの一生が泣ける。



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