神なる冬

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[SF] SFマガジン2011年04月号

2011-03-26 16:01:57 | SF
『S-Fマガジン 2011年4月号』 (早川書房)




「ベストSF2010」上位作家競作。SFマガジン読者賞ではなく、『SFが読みたい! 2011年版』のベストSFから上位2名の作品を収録。

一方の読者賞は、国内篇が小川一水「アリスマ王の愛した魔物」、海外篇がテッド・チャン「息吹」。テッドちゃんは文句なし。小川一水はこれで取らなくても、と思うけど。

収録作4作は、さすがの秀作ぞろい。SFって本当におもしろいなぁと思わせてくれる。




◎「リリエンタールの末裔」 上田早夕里
あえて『華竜の宮』に絡める必要はない短編だと思うんだけど、今後、彼らがメイン・ストーリーに絡んでくるんだろうか。いや、その前に、そもそも『華竜の宮』の続編はあるのか。空を目指す人類の夢というのは、たとえ時代が変わっても、たとえ姿が変わっても、変わらずに生き続けているというのはロマンだな。その心がいずれは人類を再び月や火星や外惑星や、さらには、太陽系外まで連れて行くに違いない。そしてまた、少しだけ違う者を排除しようとする心、誰かのせいにしたいという心も変わらない。

◎「神が手を叩くとき」 マイクル・F・フリン
逆『異星の郷』。ファーストコンタクトの皮肉な結末。不用意な擬人化は理解の妨げにしかならないのだろう。

○「カメリ、メトロで迷う」 北野勇作
ネット用語で言うところの、いつもの平常運転。

◎「セバスティアン・ミンゴランセの七つの人生(のようなもの)」 フェリクス・J・パルマ
シュレーディンガーの猫は、生きてるか死んでるか50%ずつなのではなく、生きている猫と死んでいる猫が二匹いる。それが人間だったら、というIFの文学。まさしくSF。選択のたびに分裂していく主人公の姿に心地よい混乱を憶える。

-「ヒロシマをめざしてのそのそと〈中篇〉」 ジェイムズ・モロウ
後篇じゃないのかよ! この方向でそのまま終わりだったら駄作認定。後篇があるってことは、もうひとひねり来るんだろうな。

○「《現代SF作家論シリーズ》第三回 ロバート・A・ハインライン論 見えないロボット」 小畑拓也
うーむ、いまいち共感できない論。ハインラインのロボットは、ハインラインの主要ガジェットじゃないと思う。




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