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美の巨人たち:アンリ・ルソー

2010-06-06 16:57:58 | 美の番組紹介
美の巨人たち:アンリ・ルソー


彼は偉大なる日曜画家と呼ばれていた。
かれの夢は、画家になること。


なんか奇妙である。
そう、かれは趣味人として筆をとり、
ついに、だれからも学ぶことなく独自のスタイルで
画家となった風変わりなキャリアを持つ。


本日の一枚は、パリのオラングリー美術館所蔵の
「ジェミニじいさんの馬車」

のどかな昼下がり
白い雲と青空
木岐の緑
馬車の車輪の大胆な赤
はずむ気持ちが表現される一枚

しかし、奇妙な点がある。
バランスが悪い
馬車の前を行く小さすぎる犬


かれは、別段美術を学んだわけではない。
かれの技法は、
定規を利用した仕立屋のような正確さ
図鑑を利用した組み合わせの妙


リアリズムの作家と思いきや
なぜかまったく現実とは違う絵になってしまう
人はそれを評して「子供のような絵」という。
彼の絵には遠近法もデザインもない。
10才の子供の絵という批判が画壇からもなされる
独学の彼には未知の世界


ここでルソーは一般人とは違う道を選ぶ
普通なら、絵画の王道を学び始める
しかし、ルソーはそんな批判には無頓着
書きたいものを描いていた。
それは、無意識なる天才。
ロマン派から印象派の登場する画壇の端境期
あざやかな色彩と独自の感性
一人で描く世界
空間の捉え方が自由奔放・独自の世界


そして誰も見たことがない世界を築き上げる


何しろ、面白いといえば、二回の結婚さえも
絵に描いてしまう。
前の妻とその頃の自分を空に
現在の妻と今の自分を大地に
まったく奇妙であるが面白い絵が生まれている。


ルソーの絵画を評して、友人の言葉がある。
「不幸が君の家族を襲った。
君は妻子を失い、そして絵画と再婚した。」


かのピカソはルソーの絵を絶賛した。
何しろ5フランで購入した絵を
生涯手放さなかった。
5フランといえば、キャンパス代である。
そう、ルソーの絵はキャンパスとして売られていた。


かれは画壇から認められることなく、
生活のために絵を描いた。
本日の一枚も借金の方に
描いた一枚であり、貸主の家族の絵である。
ちゃっかりルソー自身も描いている点は
笑えるが。


この絵画は、3枚の写真から描かれていた。
写真で見た現実世界を
自分の思い描く世界に再構築した。
まったく新しいものを生み出したわけだ。
この点こそ、ピカソが学んだ点かも知れない。


もう一度、本日の一枚に戻る。
小さな犬を馬車の前に描く事で、動きが入る
黒を効果的に利用し、みる人を惹きつける
かのゴーギャンはこの黒を愛して止まなかった。


時代は、徐々にルソーを評価する後輩が育ち出す。

大切な事は、人を理解させることよりも、
自分の描いたい世界を描く
それも、惑うことなく、コツコツを一心腐乱に。
ルソーから学ぶ人生観かもしれない


アンリ・ルソー 楽園の謎 (平凡社ライブラリー)
岡谷 公二
平凡社

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