定位置が決まったようです。ジョウビタキの雄が縄張りを確定したようです。
安部内閣が打ち出した農協改革を巡る協議が決着した。ここに至るまでは相当の抵抗があったが、1954年に発足した農協の改革は60年ぶりとなり、政府案を全国農業協同組合中央会(以下全中と略す))が受け入れた。政府案反対の焦点は、政府案を受け入れることによって、農協つぶしに繋がると警戒したためであるが、全中の監査・指導権を廃止し、社団法人化することになった。全国約700ある地域農協の監査体制は公認会計士による外部監査とすることになった。これによって透明性は確保される。
更に農産物の集荷や販売を担っていた全国農業組合連合会が株式会社に転換できるようにし、経営の拡大や創意工夫が可能となる。減反政策も見直されることによる生産調整は地域によって多いに変わって行くであろう。現在係争中の貿易自由化・TTP交渉においても、農産物が関税撤廃の方向に、一歩踏み出すことになった。
専業とする農業人口は減り続けている。一方兼業農家は増大の傾向が続いている。高齢化の影響も大きい。耕作放棄地の拡大が止まっていない。農協が果たしてきた役割は大きいが、徐々にではあるが、本格的な企業参入が始まっている。コスト削減や販売ルートの開拓に向けた方向へ転換できれば、農家の収益力は上がり、農業を成長産業へ変えることが出来る。
改革の実行は国会での法案提出後、可決してから一定の期間が必要になるが、新制農協が、今後どのように変わっていくのか注視していきたい。特に金融や保険まで手を出してきた農協である。病院、葬祭場、ガソリンスタンドも農協が行ってきた。本来の農協にどこまで特化できるかであるが、農協傘下で雇用されてきた多くの職員の行き先、地域の活性化まで失われてしまうのでは意味がない。
改革の第一歩とでも言える今回の決着であったが、高齢化や過疎化が今後も続くこととなれば、一気に改革の成果が出てくるとは思えない。多くの山村で、若者の入植を期待している。しかしながら、期待通りの方向には進んでいないようである。若者が地域に馴染み、一定の収入が得られ、住居と雇用が確保できる生活基盤が出来れば、人口増加が見込める。先の長い取り組みが続くと思うが、休耕地を復活させ、土地活用についても時間がかかる。そのためには省庁間の縦割り行政を見直す良い機会ともなろう。先ずはここに至るまでの真摯な協議に対し、心より賛同の意を表したい。