ベニマシコは雄の若鳥のようです。もうしばらくすると胸から腹にかけて紅色が濃くなるようです。
着手し始めた就職率向上のための新大学構想であるが、今般、文部科学省の有識者会議で改革案が纏められた。今後、中央教育審議会(以下、中教審と略す)で議論を重ね、早ければ来年の通常国会に学校教育法など関連法案を提出することになった。開設は2017年になるという。政府は、大学卒業後就職できない者が2割を超えるという背景があり、その理由は、現在の大学の教育内容が就職に結びつかないとの認識があるからだ。
今回の改正の概要は、現在の大学制度に新たな区分である「プロフェッショナル大学」を設けることである。在学期間に弾力性を持たせ、2~4年にする。卒業者には、学士と同等の資格を与えるようである。教員も産業界からの登用を重視し、新設する大学の特徴に併せて地元から登用することにしている。設置基準を緩和することによって、私大、専門学校、高専(全国にある高等専門学校で、中卒5年制)から移行出来やすくする。
今後の中教審での踏み込んだ、活発な議論の結果を待ちたい。大筋は理解できる範囲にあるが、現在の公立大学の取り扱い、教員の質の向上、団体・企業における継続的な人材育成、在学中のインターンシップや、デュアル訓練等企業就業体験等については、紙上では触れてないため、その詳細については不明である。
この程度の改正で、どれだけ企業ニーズにあった学生を排出することが可能なのか現在のところ、未知数であり、複線化路線は従来も経験していて、修士課程を見ると法科大学院大学、産業技術大学院大学、政策研究大学院大学などの専門性に特化した学制を敷いてきたが、就職率に関して、余りよい評判を聞いていない。既に専門性に特化した専門学校(文部科学省系の専修学校等)を格上げしたいとの専門学校側の意向も強いようである。
一方では商業高校、工業高校が総合高校として普通高校と統合していることを考えると、後期中等教育の在り方とも関連し、新大学だけの改正でよいのかという議論もある。
学校制度改正は将来の技術変化や、グローバル化の状況変化を見越したものでなければならず、単なる就職できない2割の学生に対する就職率アップだけの問題ではないであろう。制度改革には、数字だけでは表せない学生の自発的な将来像や、実現可能性についても吟味しておかなければならず、失敗は許されることではないことを肝に銘じて取り組んで欲しい。