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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

コプト教

2015年02月18日 00時00分01秒 | 紹介

 エジプト、「イスラム国」空爆という記事を読んだ。リビア領内にある過激派組織「イスラム国」が行ったエジプト人労働者21人を殺害したことに対する報復措置とのことである。リビアで拘束されていたエジプシャンはコプト教徒であった。エジプトとリビアは隣接していて、リビアは石油が産出するので多くの労働者がエジプトから出稼ぎに行っているという。

 エジプトでのコプト教とは、7世紀にイスラム教となる前には、エジプトは中東でも最大のキリスト教国で、異端とされたアリウス派で、コプト教と呼ばれている。現在でもエジプト人口約8000万人の1割800万人がコプト教徒である。多くが上エジプト地方に住んでいて、コプト協会も多く存在している。日曜日には礼拝に教会に訪れるが、宗教以外の普段の生活や行動は、イスラム教徒と殆ど変わることはない。イスラム教徒との差別化や迫害等の諍いは殆ど耳にしないが、実体は不明な点もある。

  紀元元年からエジプトに逃れたキリスト教徒は、7世紀にイスラムの侵入があるまではコプト時代であった。古代エジプトからイスラム時代への過渡期であり、エジプトの歴史の中で重要な位置を占める。オールドカイロには古いコプト教会が多数残っていて、コプト博物館もある。

 コプト教徒は右手首内側に十字の入れ墨をしているので、直ぐに判るが、今回のコプト教徒の殺害は、エジプトで平穏に暮らしているコプト教徒とイスラム教徒との関係を一変させる重大問題である。過激派の「イスラム国」が掲げるイスラム教の教義とキリスト教のコプト教とが、相容れないものであることの証明でもあり、エジプト政府はテロと断定して、空爆を実行した。エジプト国内での対立でないことが何よりも救いである。

  宗教が持つ奥義は平和国家にあり、個人においては精神の安定であり、他人への敬愛と共存であるが、時として、過激な行動が起こることは何度か触れてきた。日頃から為政者に向けたデモの理由は多くあり、鬱積する不満、例えば、雇用不安、貧富の格差、イデオロギー等はいつの時代や国家にもあることであるが、宗教が絡むと一層過激な形で現れる。報復の連鎖は避けなければならない。双方に失う物が多いことも歴史が証明している。