8月12日に発生した中国天津市浜海新区の倉庫爆発があったが、引き続き昨日(8月22日)隣接する山東省で化学工場の爆発があった。どちらも危険物であり、化学物質が発火・爆発した災害である。現在のところ、保管状況は不明であるが、原因究明には再発を防ぐ意味で、徹底した調査、分析が必要である。
危険物は、国により、機関・業種により、定義が異なっている。我が国では法律に基づき、これを扱う際に、特別な注意を払わないと、人体または施設に損害ないし危害を与える恐れのある物質のことである。従って、取り扱う量や、使用目的によって、同一の物であっても危険物となる場合やならない場合がある。
例えば、ダイナマイトは珪藻土にニトログリセリンを吸収させた爆薬であるが、導火線に着火しない限りは爆発しない。ニトログリセリン単体であると僅かな衝撃が加わると爆発する。自動車の燃料であるガソリンも、引火性が強く、爆発しやすいが取り扱う量が少なく、安全な対策が取られているため、一般にガソリンスタンドで給油出来る。
危険物取り締まり条例準則で、危険物を6種類に分類し、第1類(酸化剤)、第2類(可燃固体)、第3類(注水発火固体:禁水物)、第4類(引火性有機物)、第5類(爆発物)、第6類(強酸類)であり、それぞれの物質毎に貯蔵可能な指定数量が決められている。この他にも、ガス類については、高圧ガス取締条例、爆発物は火薬類取締法によって規定されている。
危険性を火災に限定した場合、我が国の火災保険料算定基準では、
A級危険物 引火点65℃以上
B級危険物 引火点30~65℃
C級危険物 引火点30℃以下
普通品 上記の何れにも属さない物 となっている。
米国でも同様に引火点で区別している。
引火点は危険物の目安に過ぎず、火災の危険度は他の多くの因子が関係している。運輸省令で船舶輸送をする場合に規定している分類を参考までにあげると次の通りである。
(1)火薬 (2)高圧ガス (腐食物) (4)毒物 (5)放射性物質 (6)引火性物質) (7)水及び空気に対する危険物 (8)酸化性物質 (9)可燃性固体 (10)綿花
危険物の取扱い等に関しては消防法によっているので別項に譲ることにする。