トルコ・エルズルム冬季デフリンピック滞在8日目は、女子フットサル5位決定戦のポーランド戦。
最後は勝って大会を締めくくってほしいと願いつつ会場へと向かう。
《手作りの応援グッズ 裏面には選手個々の写真が入っている》
順位決定戦は中継も無く、どこか閑散とした雰囲気が漂う。
だがもちろんコート上では熱い闘いが繰り広げられた。
ポーランドはキックオフからいきなりパワープレーに出る奇策。選手も目まぐるしく交代し日本を揺さぶる。
そして3分、ポーランドが前線でボールを奪うと8番がゴールを決め、日本は先制されてしまう。
その後もポーランドの時間帯が続くが、日本は追加点を許さない。
中井香那が一度は切り返しで抜かれるが再び追いすがりブロック。ポーランドのピヴォ13番の反転シュートは國島佳純が弾き出す。
そして日本もようやくチャンスを作り出す。
右サイドからの宮田夏実のミドルシュートをゴレイロが弾いたところに宮城美来が詰めるが惜しくもゴールにはならない。
ポーランドは、マイボールになるとパワープレーでボールを回し時計を進める。
13分、日本はポーランド6番に2人で詰めるがゴール前にボールを出され13番に決められ、2点のリードを許してしまう。
第2ピリオドに入ってもポーランドはパワープレーを織り交ぜながら攻め込んでくる。
開始早々にクロスバーに助けられヒヤリとする場面もあったが、日本はポーランドの戦略にも徐々に対応、セットプレーからのシュート等、ポーランドゴールに迫る場面も増えてくる。
そして4分、宮田の左CKから酒井藍莉が直接蹴り込み日本は1点を返す。
その後も中井のポストプレーから酒井のシュート等の好機が続き、9分にはポーランドのハンドで日本がPKを獲得、阿部菜摘がきっちり蹴り込んで日本は同点に追いつく。
第2ピリオド終了間際には阿部から左サイド酒井、中央の桐生玲奈へと流れるようにパスがつながるが惜しくもゴールならず、逆にカウンターを受けるも凌いで、試合は延長戦に入った。
延長前半3分、第2PKを得るが阿部のキックはポストを叩く。
後半にはパワープレー返しの惜しい場面もあったが、決着がつかず勝負はPK戦へともつれ込む。
まずはポーランドの1人目を國島が止める。日本は、阿部、中島梨栄、酒井、岩渕亜依と4人が成功。
そしてポーランド5人目を國島が止めて渾身のガッツポーズ!
日本はPK戦を制して5位となった。
國島は満身創痍で日本のゴールに立ちはだかった。その姿を頼もしく見ていたのは、今大会では控えに回ることが多かった芹澤育代。國島が、自分を越える後継者として育ってきたことで、心置きなく代表から離れることができるだろう。
芹澤や川畑菜奈、中島梨栄、中井香那はデフフットサルの源流であるデフサッカー女子日本代表の第一世代。
個々の去就に関して、きちんとは聞いていないが、まずは「本当にお疲れさまでした」と心から言いたい。
彼女たちは2009年台北デフリンピックで世界の壁をいやというほど思い知らされた。号泣する者もいた。
そんな彼女たちは昨年W杯で世界一に上り詰めた。その場にいなかった後悔から今回トルコへ渡航、世界と渡り合う姿を眼に焼き付けることができて本当によかった。
そして2013年ブリガリアデフリンピックでなす術もなかった岩渕亜依、酒井藍莉、宮田夏実は今やチームの中心中の中心。
今後は東京デフリンピックへ向けてサッカーに軸足を置いていくのだろうか。
その少し後に入ってきた阿部菜摘、桐生玲奈も今やチームの大黒柱だ。
宮城実来、山崎優子は今後どんどん成長曲線を描いていくことだろう。
山本典城監督の去就はわからないが、本気で世界一を狙うチームを作り、そして実際世界一を勝ち取った功績は素晴らしいものだった。
今大会、もっと良い成績を残せればよかったが、そう簡単にいかないのが勝負の難しさ。
スペイン、ブラジル、日本が同一グループに入るという不運(あるいは不可解?)なこともあった。5位決定戦の後は、イギリスvsドイツの3位決定戦。4-3でドイツが勝利し銅メダルを獲得した。
この両チームには、日本は勝つだろうなと(勝手に)思いながら観ていた。
決勝はブラジルvsスペイン。
スペインフットサル代表にも選ばれている選手がいるスペインが、実力的にはやはり上で、4-2と勝利したスペインが金メダル、ブラジルが銀メダルとなった。
試合はブラジルサポーター(男子選手等)が抗議し、一時は中断する荒れた試合に。
表彰式の場面でも抗議の拳を上げていた。
確かな情報を得ていないので抗議の内容はここには書かないが、問題点を残したことは間違いない。
ちなみに現時点で決勝の映像は削除され、観ることができなくなっているようだ。
《抗議の拳を上げる、あるいは金メダルのスペイン代表選手(手前)に対して背を向けるブラジル選手たち》
(追記)どの立場の誰かは分かりませんが、人種差別的な表現があり、そのことに対する抗議行動だったようです。
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