ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

春めく

2020-04-25 09:53:29 | ニュース
散歩してると芽吹き始めた木々に小鳥が止まり囀っている。すれ違う人皆笑顔を交わし2メートル間隔をとる。今日の政府記者会見はこれからの方針を示唆するものでした。先ず、介護老人施設政策の失敗から教訓を得て、なんと民営化から公営化に戻る計画です。多くの死者を出した民間の施設が金儲けで杜撰な経営をしていたのが顕になり規則など見直しに入ります。建物、お部屋、庭など介護施設の環境作りに取り組みます。また以前からあった案、家で老人を介護する家族への金銭的援助、訪問看護なども視野に入れてます。

介護士のお給料が安く人が集まらないことは以前からわかっていたのですが、人手不足解消に時給およそ日本円で最低賃金2000円を提示し、即応募が始まりました。今必要なのはスペシャリストのお医者さんよりも、実地で老人の食事や排泄などの介護人。緊急を要する故、特別の資格なしでもOKです。事態はそれほど逼迫してます。医療崩壊を防ぐため万全を期したのですが盲点が老人施設でした。首相は一つの社会に二つの社会が存在してると言いました。一つはまるで放火され燃え盛る状態にある老人介護施設、もう一つはほぼ何事もないかのような市民生活と。ケベックに起きている老人介護施設でのクラスターは世界的なものであり、厚生大臣はいろいろな角度から、今、何が求められているかを分析し即対応してゆくとのことです。で、即刻、画面に介護施設で働く人求む、時給21、28ドルと表示されました。

首相はこれからケベックのルネッサンス(再生)が始まるという表現を使いました。首相どっかユーモアとハートあって情緒的なとこあります。厚生大臣は、まあニコリともしない厳しい顔つきですが、冷徹な分析する方で、老人を手厚く介護して当たり前という使命感感じます。

徐々に社会活動を再開すると言いました。社会はこれまでとは違ったものになるだろうとも。カナダ政府は大家さんが店舗の家賃を25パーセント減額する条件で残りの75パーセントを補助すると言いました。



さて、今日のランチはウインナシュニッツルなんちゃって。実は安い薄切りの牛肉をとんかつのように焼いただけ。好物が大根おろしなので油物にはいつも乗っけます。ラジオで、することないからキッチンに立ちっぱなしで、たまには解放されレストランで食事したいと話してました。私も義家族と一緒に月一度の朝食会が待ちどうしくなりました。








Adieu 志村けんさん

2020-03-31 09:07:08 | ニュース
 朝食に卵を割ったら双子、これって縁起が良いの?ニュースで志村けんさんの訃報を知る。辛い日々が続いた時、バカ殿やドリフのドタバタ劇みて泣き笑い、どんなに慰められたことか。具合が悪くなり入院し麻酔を打たれ昏睡状態のままの旅だち。2週間もかからなかった。彼の死は国民の多くにコロナウイルスの危険性を自覚させるという大役をこなす形になり最後まで人々に尽くしました。たくさんの笑いありがとう。

 今日はしとしと雨降り。少しの晴れ間をぬっての散歩は30分のみ。1キロ増えた体重を減らせず、これ以上太らないようにラジオ体操やソフトトレーニング続けてます。再度新しい編み物(赤で編む飾り襟)にとりかかり425目編んだだけ。実は何回もチャレンジして失敗して諦める寸前の作品。そんな時、昨日編み物クラブメンバーらうとらさんからお電話がありアドバイスいただき、よっしゃーやったるぜー。お昼は炒飯、中のグリーンピースは去年菜園でとれて冷凍していたもの。日本のあれこれ品数が並ぶ食卓に較べたら寂しいもんですが体の調子は良いです。だらっとした1日でしたが、こんな日もあるさ。4月末までほぼ戒厳令下生活、先は長い。

 毎日あるケベックジョークから一つ。
ケベックの鶏は コケーコココココロナウイルス と鳴きます。



秋に寄せ

2018-11-22 10:57:05 | ニュース
 秋に寄せ 舞い滑る君 倭子に似て

 羽生結弦は何故かくも人の胸を打つんだろう。ロシアでのフリープログラム、涙がこみ上げた。たぶん、もし過酷な運命というのがあるならば羽生は果敢に次から次と襲う暗雲に立ち向かう。幼少からの病歴、怪我歴をたどれば、あたかも運命が、「お前に成功などさせてたまるか」とばかりに刃向かってくる。だが羽生は運命を呪いもしなければ怨みもしない。むしろ自分の力量のなさと受け止める。異星人扱いされる羽生とて人間、そう遠くない時期に矢折れ力尽き果て無念の涙を流す日が来ると思う。それでも羽生の演技をみてると遠くの未知なる地平線に向け視界が果てしなく広がる思いがする。彼はどれだけの人を勇気づけ生きる悦びを与えたことか。

 羽生にもフィギュアスケートにも全く興味のない夫がたまたまテレビに映った松葉杖姿の羽生をみて、「これが羽生か、子供じゃないか」と言った。そういえばSP(秋に寄せて)を終えてオーサーコーチに向かう羽生の顔は、これまでになかった笑顔、最初にロシアでロミオとジュリエットを演じた時の笑顔とだぶるものだった。久々に見せたその子供のようなきれいな笑顔にはっとさせられ心打たれた。私たちは才能を与えられたがゆえに課せられた試練を生きる天才の心の内を知ることはできない。



2018-11-06 19:42:28 | ニュース
  身をよじり 飛び散る汗が 玉と化す

 羽生弦結さん金メダルおめでとう。中国では魔王とよばれているとか。魔的な底知れぬ深海を思わせるパワーありますね。あの飛び散る汗、透明そう。彼がもたらす経済効果ってすごいですね。バスクリーンからチョコレート、オルゴール、味の素スープ、、、ぬいぐるみのぷーさん売れまくり。私もクリスマスプレゼントにお願いしようかな。たくさんの方がコメントしてますが、生きててよかったなんて言わせしめる感動を与えるスケーター、生き方にまで影響を及ぼす何かがあるんですね。私もね、彼から何か大切なものをいただいてる気がしてます。

 たった数分の羽生の演技を観に日本から飛行機に乗ってヘルシンキまで飛び観戦するファン。それだけのものがあるって解説者がコメントしてました。観客のほとんどがオバサン。いつも思うんだけど文化芸能ってのはオバサンでもってるんじゃないかしら。来週来る友達も羽生ファンでピョンヤンオリンピックのテレビ中継に数珠もって祈ってたんだって。大笑いよ。彼女、その前はヨン様、ヨン様の前はケビンコスナーだった。

 羽生のブログサイト見まくってたらピンポーンとなって、病気の右お隣さんが見えた。お医者様に、最期が近づいてると言われ、これから一日おきに看護婦さんが派遣されるとのこと。ホスピスに入るのを断ったんです。この医療サービス無料です。春に、生きるのが楽しいから死にたくないと泣いてたお隣さんは、夏に私の菜園に遊びに来て、あの花も、この花も好きな花だから棺に入れてねとジョークしてた。また、半分に痩せこけ洋服がだぼだぼになり新調したズボンを見せてくれた。父が亡くなる数カ月前もそうだったが、死が近づくとすでに魂が抜かれてるような浮遊してるような印象を受ける。寿命というのは決まってるとよく言われるが私もそう思う。

 50代の頃はまだまだ人生がどこか無限なような気がしないでもなかったが、還暦過ぎたら自分の死が確実にやってくるという事実を実感するようになった。といっても平凡に暮らしてるだけ。死ぬまで生きてるだけのこと。お隣さんはやせこけた身体で調子のよい日は庭の落ち葉を掃いている。84才の義母は心臓が60パーセントしか機能しなくても、がんで卵巣も子宮もとっても、新しいパソコンを買って覚えるに夢中になってる。クリスマス用の洋服をショッピングしてる。左隣のパーフェクトおじさんは夫がめまいがするとちらっと話したら血圧計持参で計りに来た。お節介パーフェクトおじさんの存在は有り難いと思えるようになった。90才の実母は、ご近所に住む40代の女性が400円会費で老人お楽しみ食事定例会をスタートし楽しいという。私はカーデイガン編みに四苦八苦しながら、自分の不器用さ物覚えの悪さが面白い。夫が編み物の何が面白いんだいと聞かれて答えました。

 昨日何食べたかも忘れてる、読んだ本も忘れ、聴いた音楽も忘れ、頭がスカスカ空っぽになってゆく感じ。毎日脳細胞がぷつんぷつんと死んでってる気がする。でも、頭がだめなら手があり足があるということで、編み物は手で覚える悦び、モノが出来上がる喜びがある。何回も編んだりほどいたりしてると身体が覚えるから、これが楽しい。

 

 



小さな太陽

2017-11-06 18:38:57 | ニュース
 右左 小さな太陽 温める

昨夜 州市町村選挙が終わった。青天の霹靂というんだろうか 信じられない事が起こった。当選確実と言われたモントリオール市長が敗北。まったく無名とも言える(市会議員一期のみ経験)43才の2児の母親が当選した。この人誰って興味すら持たれなかった自称中道左派の女性が、ここ一か月でメキメキ人気をあげ、信じられないどんでん返しが起こった。昨夜の開票経過とジャーナリストのコメント、敗北した前市長と新市長のスピーチを聞きながら頭によぎったことを少し。

一番感じたのは、政治家エリートというのは、男女平等とか、性差別撤廃とか、信仰の自由とか、テロ対策とか語るが、一般庶民にとって差し迫ってる問題は 交通網の整備や、低賃金で清潔なアパートの供給等だった。彼女の政策案は(当選後すぐに取り掛かるという)バス路線とバスの数が圧倒的に不足している市民のために電気バスを注文しバスの運行を増発することや地下鉄路線を増やす事。これを聞いた夜間労働者がとても助かると話していた。彼女は、いったい市民が求めているのは何かということに耳を傾けていた。それは高尚な思想とかではなかった。

二番目に、中途で書くのを止めた「パワーの終焉」という言葉が浮かんだ。市民は かつてカナダ政府の閣僚をつとめ、政治経験豊かでインターナショナルな恰幅の良い市長より、ぽっと出の政治経験と言える経歴すらおぼつかない女性を選んだ。朗らかでよく笑う候補者を「小さな太陽のよう、対立候補を批判し欠点をあげつらうのでなく、具体的で実現可能な市民生活向上を考え提案するポジチヴで健康な新しいタイプ」と評した。ジャーナリストが、敗北したコデール市長のエスタブリッシュメントもステータスも経験も役に立たなかったと語ったのが印象的だった。トランプ当選にも感じたが、私たちは絵に描いたりっぱな餅が絵でしかなかったことに気が付いてきたんだと思う。

三番目に、彼女が属する「モントリオールプロジェクト」の議員候補者が、これもどんでん返しで多数議席を獲得し、モントリオールはコミュニストが牛耳るのかと経済界に不安が走ってると言うが、それはないでしょう。ただ、今回の選挙でモントリオール市民が貧困化してるんだなと思った。街を歩いているとそれをひしひしと感じる。だから市民の窮乏をよそに、言葉で飾る傲慢と言われた市長に背中を向けたんだ。政治離れがこちらでもよく耳にするが、今回の結果に主権在民ということはこういうことなのかと思った。

これからどうなるかわからない。この自然でよく笑う新市長がどのようなリーダーぶりをみせるのか。圧倒的に自民党の基盤であるモントリオールブルジョワ階級が住む選挙区も魅了し、コデール派は「何が起こったんだ」と泣きくずれた。

左から前市長と新市長