ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

そっかー

2020-09-22 20:33:21 | 暮す
先日、月一回集まる編み物クラブでレストランでの愚痴を言うと皆さんからこんな回答をいただきました。つまり私の時給をあげないのは他の人への手前もあると。私の時給をあげたら他の従業員の時給もあげなければならないからと。だからおやつやお土産などで感謝の意を表しているんだと。そっかーと納得しました。今、ケベックの老人施設での看護ヘルパーさんが人手不足で時給がぐんと跳ね上がりました。すると、諸々の老人施設で働く事務員さんとかスペシャリストの従業員から、私達の時給をあげないと不公平と不満が上がりテレビで報道されたこと思い出しました。一人だけとか、一つのセクションだけの値上げはできませんものね。

編み物クラブの翌日、レストランのマダムと世間話しながら、なんとか上手く辞めたいと考えた私はしみじみとこう言いました。私とマダム二人とも高齢者でいつ何があってもおかしくない年齢。こうしてまだ動けるうちに少しづつウエートレスさんやお孫さんに仕事覚えさせましょうと。1日、1時間でも2時間でも空いてる時間を見つけて教えれば緊急事態が発生しても心配要りませんよ。彼女はビジネスの才にたけてるので色々考えるでしょう。そのビジネスの才覚を受けついだのはモントリオールの娘さん、2年前に2千万で買ったマンションを3千万で売ることに成功しました。父親の教育のもと初めてのビジネスチャレンジだったそうです。思うんだけど、お金持ちはお金が好きなのね、だからお金に好かれるのかも。私のように小銭稼いでちょっと毛糸や本でも買えたら十分と言う人は小銭には好かれます。小銭の人生。

昨日はレジダンスで仕事、こちらも人手不足で普段は設備修理やお掃除担当のおじさん二人が食器洗いと盛り付けに駆り出されてんやわんやでした。キッチンメンバーの一人が退職を考えてるとこぼしました。今月28日に新しい人が来ますが持つかしらと話してます。

NHKのニュースで椎葉村に出稼ぎにきてるベトナム人若者二人が土砂災害で命を落としたルポルタージュがありました。優しく素朴で村の皆さんから愛されてたんですね。そしてこの若者、稼いだお金のほとんどをベトナムの実家に仕送りしてたんです。私、泣きました。ニュースのタイトルは村の宝探し(遺体捜索のこと)でした。

ケベックは組合が強いので、日本に比べたら労働条件は信じられないくらい良いですよ。コックさんとかウエートレスとかスーパーで働いてると言っても、ご自宅を訪問すると普通にプールがあったりします。ひとえに医療無料、教育費も微々たるものなればこそです。だから私から言わせると我儘というか、もっともっとと要求が高いです。ちょっとでも具合が悪いと休むしね。忍耐力、足るを知るという言葉はないみたい。大学でエンジニアを学んでる甥っ子なんか時給2000円以上じゃないとアルバイトしません。学生の分際で車を持ち、スマホを持ち、足りないと親にせびってる。こんな若者いっぱいいます。

今日もレジダンス、日本旅行のために働いてるのでおめでたいもんです。

ガテンの日々

2020-09-14 21:59:25 | 暮す
菅新総理の当選会見ニュースで見ました。早速政治好き妹に電話するとこれまでと変わらないと思うと言いますが、上滑りに聞こえない正直な声のトーンに令和の新しい風が徐々に吹いてくるのを期待してしまいます。組閣が楽しみです。

さて、今週は先週土曜日から木曜日にかけて6日連チャン仕事です。5日間はレジダンス、1日はレストラン。肉体労働ガテンの日々。肉体労働で大事なのはその日の疲れを翌日に持ち込まないこと。体調管理に気をつけるようになりました。今んとこなんとかこなしてます。

先週レストランでマダムに1日も早く代わりを見つけるように再度お願いしました。彼女曰く誰も働きたくないとのこと。30万のピアスプレゼントしたお孫さんに手伝ってもらったらいいんじゃないですかと言うとお孫さんは臭い仕事だから嫌なんだって。思わずシャワー浴びればすむこと、それにどんだけ苦労したおじいちゃんおばあちゃんのお陰で今の生活があると思えば、つべこべ言わせず働かせなさいよと、ぶっちぎれて言いました(バス代が出ないというケチなひがみかも)。するとね、新学期が始まりお孫さんは乗馬にピアノ、英語の個人レッスンと忙しいとのこと。モントリオールに住む娘さんのお孫さんたちにもお会いしましたが、名門私立インターナショナルスクールに通い英才教育を受けてます。どのお孫さんもすでにお顔が将来のエリートの片鱗を覗かせてます。その祖母たるマダムは働きづくめ。私が1日も早くやめたがってるのを察してるのか朝行くとテーブルには果物の盛り合わせから当市で一番おいしいと言われるクロワッサンからお茶まで用意してありました。

その手にはのらんぞと働いてると、学校を終えたお孫さんが顔を出しました。そして「お婆ちゃん、手の怪我はどう」と聞きました。ゴム手袋を脱いだマダムの手を見て唖然としました。紫色に腫れ上がっていました。怪我してたんですね。仕事のスピードが落ちてると思ってたけど私に隠してたんです。その怪我のレヴェル、レジダンスの従業員だったら即病欠で1週間は休みますよというと自分が働かないと誰もいないからと言いました。時給をあげればいくらでも人は来ますよとは言わないけれど、たんまりお金があるのにどうしてそんなに働くんですかと問うと、お金の心配が尽きないんですって。豪邸や高級車をワンランクレヴェルダウンすれば良いじゃないですかと言うと沈黙。ド庶民の感覚ではわからない世界があるんでしょうね。ただね、彼女の顔を見てると人間の諸々の感情が多彩で魅力的なんですよ。彼女の人生と人柄は一流文学に匹敵します。私が人生で一番惹かれた人間かも知れません。で、お馬鹿な私はフンガーと怒ってたのに今週も1日働きます。

ルンルンルン、昨日は大好きな14歳のジェローム君と一緒に働きました。カフェテリアはコックさん含め5人から6人チームで働きます。本日は祖母と孫が働くんですと言うと皆さん大笑いしてました。休憩時間に感銘を受け自分の将来を決定づけたというフランスリオン市のレストランの画像を見せてくれました。丘の上の市街を見渡せる元病院を改造したレストランでコンテンポラリー仕様です。

これからお仕事にゆきます。職場すぐ近くなのでありがたいです。

しとしと雨

2020-09-10 08:23:51 | 読む
今日はお休み、一日中雨がしとしと、夫は仕事でモントリオールへ、一人ゆるゆるだらだら過ごす。

アマゾンから頼んでおいたポスターが届く。ポスターの面白さに目が行くようになってあれもこれも欲しいで困ります。なぜそのポスターに惹かれるのか動機というものがあって今回は童話がきっかけです。数少ない愛読書の一人が吉田健一で、彼は娘の暁子さんにもし子供を育てるならラ・フォンテーヌではなくアンデルセンで育ててねと語ったと言う。そのことが脳裏にあり2年前夫と一緒に里帰りしたおり古本屋で買ってあり枕元に置き読んだり読まなかったり。ラ、フォンテーヌは読んでいて冷水を浴びせ掛けられる心境、自分の顔を拡大鏡で見せられ「ほら皺とシミとたるんだ法令線、それがあんたの現実だよ」と鏡に面と向かわされた如く、一皮むけば人間なんてこんなもんさ、あんたもおんなじと冷徹に鋭利なメスを入れられるが如く、だから寓話で面白おかしくする。片やアンデルセン、この年になれば無邪気でもなく善良で真面目に努力すれば人生は開けるなんて信じるほどおめでたくもなく可愛げのない婆さんになったけれど、アンデルセンの童話には人を見るにあたたかい眼差しがあり自分の心も暖める、それゆえ童話と言うのね。犠牲の精神、人生の肯定。

VOGUEのポスターを見た時、アンデルセンとラフォンテーヌ、グリム童話が交錯し、とても綺麗で可愛いいけれど何となく不気味な雰囲気があり惹かれた。可愛らしい童女に潜む大人の眼、ポーカーフェースで何を見てるの、何を考えてるのと問いたいような。

明日はレストランでお仕事、私をおだててお友達よとかカンボジアに一緒に旅行しましょうとか言うけど、14才のお孫さんにはよくお手伝いするからと欲しがっていた30万円のシャネルのピアスをプレゼント、私には往復600円ほどの交通費すら出ません。それでもお礼奉公のつもりで働いてる私はラ・フォンテーヌが寓話にするとどうなるの❓アンデルさんの手にかかるとどんな童話になるの❓なんてね。



貧乏暇なし

2020-09-06 11:16:51 | 暮す
レジダンスの求人応募で採用された40代の女性が3日であっさり辞めた、ストレスに耐えられないと。高齢者の外人でも働いてるんだからもう少し頑張れば慣れるよと励ましたけれど辞めたい気持ちがわからないでもない。私の様にどこか繊細な神経が麻痺してしまってるとか、新学期が始まり週末のみ働く14才のジェローム君の様に遠い先の留学費用を貯めるという目的があるとか、50才で夫に先立たれ生活がかかってるミシュリンヌさんとか、、、続いてる人は皆それぞれの夢があったり、どうせ働くならと前向きに生きるためのストレス軽減精神鎮痛ホルモンを出している。

とにかく人手不足。ボスに呼ばれて新しい人が見つかるまで来週から4日間働いて欲しいとのこと。キッチンで一番若い24才のサブリナちゃんは6日勤務。週2日を希望した私の年齢を考えて3日以上は働かせない様に考慮していたようだけどいかんせん、皆さんオーバーワークしてるのを見てると断れなくなりました。働いて寝るだけでしたら問題ないですが、菜園もあるし、新しい編物作品に取りかかろうと毛糸買ったし、数冊本も注文してあり、楽しみを減らさなければならないかと思うとガックリ。どこがのんびりリタイア暮らしなのよと。でも何時迄もこんな状態が続くわけなく時給をあげないとこの人手不足は解消されないと従業員同士で話してます。仕事のストレスとハードな仕事内容が時給に見合わないと。本音言えば私はこの年齢でお仕事見つけて嬉しいし、色々な年齢の方々と働いたりお話ししたりで楽しいとこあります。ジェローム君から分子ガストロミー(gastronomie molèculaire)というお料理の科学的分析という新しい調理探究の世界があることを教えてもらってるし、マチュー君は哲学のお話ししてくれるし、58才のシャンタルおばちゃんは2回の離婚の後新しい恋人ができて彼の写真見せてくれて皆さんから祝福され日本ではありえない世界と新鮮だったり、人間は生きてるって感じます。


今日明日はお休みで菜園の始末に入ったり夏物をしまい秋冬物を出したりパンを焼いたり貧乏暇なしです。朝晩は肌寒く、もう秋かです。