ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

寒紅や滅びし恋の唄を聴く

2021-01-31 08:03:53 | 日本の芸能
毎週欠かさず見ているNHK日本の芸能 疎い世界なので途中で飽きることしばしありブログに書きたいほど引き込まれるという番組はすくないです。それが今年一番に感動したのが「椀久色神送」椀久演じる藤間蘭黄登場からその気迫に魅入られ最後は胸いっぱいになりました。

豪商のボンボン息子が遊女に入れ揚げ散財の挙げく家人から座敷牢に閉じ込められ狂死した実話を元に数本の脚色があるとのことです。私が初めて知った異色の結末を迎える今回の椀久物は 愛する松山を奪われ身も心も粉々に破壊され落ちぶれた椀久が狂気と化し 戻ってきた松山を松山ともわからず刃にかけ 二人共川に消えてゆく場面で幕を閉じます。椀久が焼く茶碗が赤絵茶碗 刃についた松江の血にやっと求めていた赤に出会ったと歓喜する場面に胸塞がれました。



羽生結弦の天と地との曲に薩摩琵琶の演奏があり聴くものに強く訴えるものがありますが今回も常磐津に聞き惚れました。歳をとるって不思議、聴く耳も観る目もからっきしなかった日本の伝統芸能が年々面白くなってきてます。ある日何故か仏像に惹かれるようになったのと同じ現象です。日本舞踊はまどろっこしく お能は眠たい物 お琴も三味線も単調の極みでしかなかったのが心にしみてくるんですね。こんな時歳をとるのも悪くないなと思います。

仕事で嫌なことがあってもこうして芸能に触れると満たされるものがあって明日も元気にゆこうと思えます。昨日はアレキシアと働きました。今時の若い子は皆が皆そうではありませんが 年配だから先輩だからと形だけでも敬い我慢するということがなく ぶつかったお局さんに頭にきて反抗してました。お局さんに叱られ私にまで八つ当たりしました。前はカチンときたけど今は知らんふり 聞かないふり すっとぼけてます。なかなか気の強い子でお局さんだって負けちゃいませんというとこでしょうか。どっちもどっち お局さんも厳しいだけでなく少しは可愛がってあげれば良いものを アレキシアもごめんなさいやありがとうの言葉をもうちょっと言えよです。

夕方義妹から電話があり久々に長話。50人の部下を持つ義妹と今時の若者の話をしながら 自分達の世代はまだ年配者を敬い自分のことよりも仕事が上手く回るかどうかという大きな視野に立ったけれど今の若者は自分主義が多く こういった若者だらけの職場になったら上司になる人の苦労が目に見えてると話してました。

明日はお局さんNO2と働きます。慣れてきたし色々上手にかわせるようになってきたのですが問題は物忘れ。とにかくメモってます。

3Kやお勤め終えて生姜酒

2021-01-29 01:08:49 | 暮す
月曜日はレジダンスで仕事 新しいキッチンヘルパーさんはキューバ人で2年前に移住 サンチュスさんと言います 奥様は病院の研究室に仕事を見つけたけれど彼は自分の学歴に見合う仕事に巡り会えず3人の子持ち故いつまでも家にいるわけにも行かず応募し即採用。 誰でもいらっしゃいの職場 残る人は残り辞める人は辞める それだけ。

火曜日水曜日はカンボジアマダムに頼まれ3Kの仕事 キツい臭い汚いと見事に3拍子揃ってます。 これから毎週1回働いてほしいとのこと インポッシブルと即答 3日連チャンお休みの週が月2回ありその週に限り1日のみしか働けませんと強く言いました。朝8時にレストランに到着すると彼女すでに働いてるんですね 早朝5時から取り掛かったとのこと 以前だったらあら可哀想 毎週働こうかしらと同情したかも知れないけど今はNON NON NONです。レジダンスみたいにこれまで辞めて行った人達に連絡してみたらいかがですか 週一回だったらお小遣い稼ぎに引き受けるかも知れませんよと言いました。人手が見つからず臭いから嫌だと言ってた15歳のお孫さんが最低賃金をもらいながら少し働いてます 。マダムがお孫さんに言い放ったのは口癖の お金は天から降ってこない 自分の身体と頭で稼げです 。 このお孫さん お手伝いの傍らピアノに英語 乗馬と個人レッスン受けてます。お婆ちゃんを手伝ってあったりまえーと思いますよ。私がここで働く面白さは何かしら マダムからハッとするような言葉が聞けること また出入りするお肉屋さんとかコンゴからの留学生とかお掃除のおじさんとかキッチンシェフの方々との世間話が面白いことです。でも自由時間のために辞めたい。

昨日見えたお肉屋さんがアカデイアンと呼ばれる印のキャップを被っておりたづねるとご先祖がやはりアカデイアンといって英仏植民地戦争の敗北で土地を奪われ流浪の民となった初期フランス開拓民とのこと。自分たちの祖先の話から いかにアカデイアンが創造力と開拓精神があるか 家を焼かれ土地を奪われこの地にやってきたご先祖さんが今の商売を成功させるまでの自慢話を聞かされました。

2日間生産力を上げるためにベトナム人のシェフも駆り出されました。週7日勤務で顔色が悪く マダムにせめて週一日の休養が必要じゃないですかというと彼の方から7日間働きたいと頼まれたのとこと 何故って15年前の離婚以来毎月10万円の養育費を元妻に払っており後3年残ってるからです。

今日から夫が4日間日曜日までオタワ出張 テレワークに疲れた同僚達の強い要請でせめて午後8時以降の外出禁止令が解かれるまで待ったらとお願いしましたがいかんせん 。ホテルに電話するとコロナ対策ばっちしでご心配なくとのこと。不在の間ゆっくりお酒でも飲んで休養しなと日本酒買ってありました。明日はレジダンス 誰と組むのやら それともまた新人さんが入ったのかな。慣れました。

喜びはコロナ陰性冬木の芽

2021-01-24 22:09:38 | 暮す
朝8時、コロナ陰性とのメールがあリました。採取された唾液は当市大学付属の研究室で分析されます。



日に日に春がゆっくりと確実に近づいているのが陽光の明るさに感じられます。昨日今日とお休みで 録画しておいた番組に高野山襖絵を6年かけて手がけたニューヨークにアトリエを構える日本画家千住博さんの発注から完成までのドキュメンタリーがあり感動しました。全身全霊で取り組み奇しくも2020年春完成後にコロナ禍に見舞われ先に送っておいた絵に再会すべく高野山に足を踏み入れたのは去年の10月でした。芸術の真髄は国難の時にこそ問われる ヨーロッパで疫病が蔓延した暗黒期の後にルネッサンスを迎えたと語り これから新しい世界が開かれると確信されてました。偉大な芸術家は羽生結弦にしろモーツアルトにしろ千住博さんにしろ幾万人の人々を慰め勇気づける。でも私たち凡人でもできることってあるんです。私がレジダンスで働くのが好きなのは我が儘いっぱいで従業員を召使い扱いする傲慢な方も居られるけど 感謝の声をかけてくださったり あなたたちの素晴らしいサービスにお礼申し上げますとのメモを取り下げる食器の上に置いてくださる方々も居られるのです。人様から喜ばれ お給料いただけて私幸せです。ぬけてるので叱られたり時にいじめられたりするけど モントリオールのお友達に話したら みんなみんなが優秀だったら息が詰まるわよ あなたみたいにストレス発散されてもおちゃらけてるお馬鹿さんもいなきゃならないのと励まされました。そっかー。

昨日は何にもしたくなくてだらけっぱなし、今日は元気でこれからぼちぼちと取り掛かろう。

風花やコロナ検査に早起きす

2021-01-23 23:48:54 | 暮す
ケベックでコロナ検査は無料、レジダンスの従業員で毎月検査に行っている心配性の人もいる。呑気な私も、手術後経過良好、既に車を運転しオタワ出張の許可も得ている夫を安心させるために今朝開始時8時に予約なしで行ってきました。どんな風に検査が行われるかというと:

検査場所は工場パークと呼ばれるバカでかい古びた体育館のような建物

1、中に入り手を消毒し、自分がしているマスクを捨てられ新しいマスクを渡され受付へと進む

2、受付で健康保健カードを見せ予約してあるかどうかたづねられ高齢者向けレジダンスで働いているというと施設の名前やボスの名前連絡先を聞かれた後、即OKが出て一枚の書類を渡され次に向かう

3、問診コーナーでコロナ症状があるかどうか(熱、咳、体調などなど)聞かれ担当者の方がチェック、その後検査に向かう

4、検査コーナー担当者から、鼻腔検査か唾液検査のどちらを選ぶか聞かれる、従業員の方々から色々伺っており唾液検査を選ぶ ( 口でくしゅくしゅ、喉でガラガラ、ペッと小さな容器に吐いて終了)

5、終えると出口に向かう矢印方向に歩き建物を出ておしまい、車で待ってた夫が時間を測ってて30分で全て終了。

24時間後にメールで検査結果が届きます。毎朝熱を測り、夫共々コロナ症状があるかどうかチェックしてるのですが、これから少しでも兆候があったら検査に行こうと思ってます。というのも身近にコロナ感染のお話を耳にするようになり、軽い症状でたいしたことない2、3日経つと治るよ様子見ようというのが命取りになるケースがままあるからです。



さて、新人のマリーズが辞めました。昨日来てたのは辞めたはずのアレキシア、キッチンヘルパーさんも急に辞め、人手がなく誰でもいいからとかりだされてます。夫から何ていう職場なんだ、どうなってるんだと呆れられてますが、考えようによってはこんな職場だからこそ私のような婆さんでも雇われたんです。以前はたくさんあったスーパーやレジダンス求人が激減してます。アレキシアは週1回のみだったら臨時に働いてもいいとボスに話してあるそうです。ボスから呼ばれ、これから次が見つかるまで毎回組む相手が違うからよろしくと言われました。

なんでも考え方ひとつ、今んとこ私はメリット85パーセント、デメリット15パーセントと行きたくないなーと思ったことありません。小さなミスをしないようになればこれがメリット90%まで上がります。やっぱり叱られるとめげるけどケロッと忘れちゃうというか一晩寝ればまた新しい朝です。

2年契約で週2日働いてる夫は私の5倍の時給ですが、さまざまな調べ物や準備などを入れて計算すると私の時給より少ないです。それに責任ある仕事だし理事会の査定もあるしで、その点単純肉体労働それも歩いて汗かく仕事は後腐れなく健康に良いです。そりゃ色々ゴタゴタあるけどたかが知れてます。

黙々と仕事し、愚痴もこぼさないし、嫌味言われても聞き流すのであんた何にもこたえないのねーと言われました。不平不満ぶち撒いて時給上がるんだったらいくらでも喚くけどエネルギーの無駄だからしないのと答えたら大笑いされました。

今日、明日はおやすみ、久々に買いだめしておいたクリームチーズでケーキ焼こうかな。


泣き言はおどけて飛ばせ春近し

2021-01-20 19:46:12 | 暮す
昨日、新人のマリーズが聞いた「 Sさん あんたに挨拶するの 笑顔で話しかけるの」と。Sさんとは私を老人扱いしネチネチ絡み付いたお局さん。「 Sさんは私をシカトしPETIT NEGRE ( 小人黒人 差別用語で彼女の場合はとろいのでおつむが足りないという意味か)みたいに扱うのよ 」。マリーズは仕事が遅いが日に日にテキパキ働くようになってる。Sさんは新人いじめが生き甲斐かもしれないと思うほど手厳しく彼女のせいでもう何人辞めたんだ。ここんとこ仕事30分前に職場に着き組合規約を少しづつ読んでおり第6章にモラハラについての説明があった、人種差別、年齢差別、性差別、同性愛差別、未婚差別やイジメ等々について職場の雰囲気を悪化させるほど繰り返されるモラハラ対応が書かれてあった。マリーズに 私に対する年齢差別が繰り返されれば証人もたくさんいるのでボスに訴えようと思っていた矢先に彼女と組むシフトから外されたと言うと ラッキーね自分はシフトの関係で彼女と働かざるを得ないと嘆いた。お局Sさんは仕事できるんです。目が4つも5つもあるんじゃないかと思うほど隅々まで気がつき息苦しいんです。ボスじゃないのにボスみたいに振る舞うし。ボスが私にちらっと頭が痛いと漏らしたことありました。でもねSさんは暗い目をしていて不幸なんだなと思うのよ。お母さんとの二人暮らしで彼女が養ってます。マリーズと同じ50歳です。

日本で介護職に就き認知症の母親と暮らしておられるびょうさんという50代の女性のブログを毎日訪問してるのですが愚痴ることなく淡々と尚且つ人生を楽しんでる姿に色々教わること多いです。あれこれ不平不満の多い人はどんなに恵まれたっていつも何か不平不満のタネを探すと思ってる。似たような状況にあるSさん、4日勤務で正社員のうえコロナプライムが付き月20万の収入があります。住まいは低所得者向けアパート(収入の20パーセントを家賃として払うシステムで10万円お給料だったら2万円、彼女の場合は光熱水料費込みで月4万円)2LDKです。日本と比較ならないほど恵まれてます。私はSさんとよっぽどの事がない限り組む事ないですがマリーズにとって今が辛いとき、辛いことはいつまでも続かないからめげないで一緒に働く時はお互いにカヴァーしあって楽しく働こうと言いました。

話は変わりますが、俳人夏井いつきさんに魅かれたのは里帰り中プレバトを観てから。それでもう3年前になるのかな夫と松山市を訪問しました。道後温泉のすぐそばに宿を取り伊月庵も見ました。懐かしく松山での思い出を振り返ると些細なことが目に浮かぶんですね。思い出すままに:

駅から市電に乗り道後温泉に行く車内で上司と部下らしい二人のサラリーマンを目にしました。部下の方が降りると車内にいる上司に深々とお辞儀し電車が発車するまで見送ってるんですね。直立不動の姿勢といい上下着けたらそのまま江戸のお侍さんに見間違えたかもと思える光景でした。と同時に、私はもう日本で暮らせないと一瞬思いました。上下関係の希薄なケベック、良きにつけ悪しきにつけ横社会。上司であろうと先生であろうと言いたいことを言ってる。高級官僚に恐れをなし敬う風潮なんてからきしありません。

道後温泉通りに並ぶお店に明るくモダンな内装が白で統一された地元若手職人の作品を売ってるお店があり中に何と古本が二束三文で綺麗にデイスプレーされ売ってあったのです。あまりの安さにあれこれ買い込みました。私、田舎もんだしダサいのでかっこいいお店って気が引けるんですね。でも、洋服でも食器でも何でもウオールマートやいわゆる安いと思われてる大型店より敷居が高く見えるお店で品質の良いものがもっと安く手に入るということもありと、この年齢になって気がつきました。また衣類や食器という生活用品と古本を売るという組み合わせがとても新鮮に映りました。

松山市のアーケード街、天井が高く道も広々としており雨が降ってもなんのその、いろんなアーケード街を見ましたが開放感たっぷりで印象に残ってます。

津和野や萩でもそうだけれど再開発の遅れた城下町に感じるのは江戸から明治、大正、昭和があちこちに今も息づいておりタイムスリップしたかのような懐かしさ。平成(私は平成の日本を全く知らない)と令和の残り香はどんなものになるのだろう。

レジダンスを辞めないのは日本旅行そしてコロナでチャラになった東ヨーロッパ旅行への夢があるから。それに根がおちゃらけてるので最近は怒鳴られてもおどけて言い返してます。マリーズ、めげるなよ。