ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

ホスピス

2019-11-27 04:36:38 | 暮す
 わいわいと朝食かきこみホスピスへ

 レストランオーナーマダムの96才のお父様の容態が急に悪化し先週末から親族が集まっている。ボストンからカンボジアから次々と到着しレストランで朝食をすませ入院先のホスピスに向かう。久々の再開に食卓は笑いが溢れ楽しそう。お葬式の準備も始まった。英語、フランス語、クメール語ちゃんぽんの会話が飛び交う。
 
 私はバザーに向けていろいろお菓子を作っては検討し、最終的にどれを売り出すかきめよう。簡単チーズケーキ、なつめの伝統的なお菓子に粉砂糖を振りかけて見栄え良くしてみたりと色々。スノーボールも作ってみよう。今日、夫の仕事関係の集まりがあり、失敗したお菓子をお出しする。味はいいのよ。

 
 

 

 

初みぞれ

2019-11-20 15:59:10 | 食べる
 婆さんと呼ばれ振り向く初みぞれ

 ダイアナは私のこと日本のおばあちゃんと呼ぶ。妹が私に発した里帰り一声が、姉ちゃん、どうしたの老けちゃって、笑うとしわしわよ、何の化粧品使ってるの、ほら私の使いな。子供がいないので自分の年齢的位置づけが良くわからない。でも、地下鉄やバスに乗ると若者が席を譲ってくれる。そこで納得する。そうか、傍目にはお婆ちゃんなんだ。最近はお婆ちゃんと呼ばれたら振り向くようになった。以前は、それ誰の事と思ってたけど、ある日、呼ばれたのは自分と気が付いたから。こうして客観的に映る自分の老いを受け入れてゆくこの頃。

 時間を見つけてバザーのための焼き菓子作り。一回目マドレーヌ、日本のレシピで作ったがどれも上手くゆかない。4種類のレシピとも納得ゆかない。それでケベックの人気料理家、リカルドのレシピでチャレンジ、かなりゆける、が今一つ、そこで日本のレシピとケベックのレシピをミックスしてやっと自分なりに合格点を出せた。しっとり感。今日、ボランテイアのメンバーに差し入れたら柔らかくて美味しいとokが出た。バザーで売れなければクリスマスプレゼントにするつもり。冷凍okの焼き菓子。

 ついでバナナ、カキ、ニンジンのオリジナルパウンドケーキ。何か物足りない。パウンドケーキも日本のレシピだと膨らまない。何回も失敗した。マドレーヌ作りながらふと気が付いた。日本とは、小麦粉も卵も、そしてオーヴンも違うから失敗するんだと。そこで、ケベックのレシピを基本に日本のレシピをコラボさせた。オッケー。やっほー嬉しかった。
 
 夫が、失敗作ばかりで赤字じゃないかと言うけれど、そんなことない、ビスケットのように硬い失敗マドレーヌはビスキュイとして若い甥や姪へのクリスマスプレゼントにする。ジジババ達にはミルクに浸して食べてねと言おう。


 

 

飛鳥川

2019-11-15 09:14:09 | 旅する
 昨日といひ今日とくらして飛鳥川
     流れてはやき月日なりけり (春道列樹)

 日本里帰りの思い出は日々遠くなる。明日香は駅前に立派なホテルが立ち、ファミリーマートがあり、地元のお婆さんのお話によると、駅の辺り、ひと昔前は牛を飼っており、ずいぶんのんびりしてたとのこと。日本中どこもかしこも同じようなありふれた街並みの光景を過ぎ、亀バスが歴史保存地区に入るとタイムスリップの世界が拡がった。飛鳥寺は良かった。そこで旅行中唯一の絵葉書を買った。石舞台の地下で糸ミミズに出会った。バスを待つ間、カタツムリに出会った。、ちょんちょんと小枝でつついたら角を隠して殻に引っ込みまん丸くなった。バスと徒歩で回りながら、強く印象に残ったのは飛鳥川の流れの速さ。川自体は狭く小さいが、激流とも思えるほどの速さは小さなドラゴンが疾走してるかに見えた。この流れの速さは当時のままなのだろうか。最近、10世紀にこの歌を詠んだ春道さんと同じく月日がすごい勢いで流れてる感覚がある。

 さて、今週からダイアナから学ぶフランス語授業が再開、ボランテイアは先週からと、通常のルーチン生活に戻った。仕事も身体が慣れた。

 肉体労働はいかに体力消耗を少なくし回復を早くするかがポイントで、ここ2週間ほど身体と相談しながら二つのことに気が付いた。一つはお昼ご飯をうんと軽くすること、立ち仕事なので胃が消化しきれずに重いと疲れやすい。本当にお腹が空いたと思ったとき軽く果物で済ませたら快調だった。オーナーマダムが南国生まれなので、パパイヤ。マンゴー、ブドウ、カキ等、仕事場にいつも果物が用意してあり、これからはランチセットでなくお昼は果物食べ放題にしていただいた。もう一つは、家に帰ったらすぐプールに行くこと。一度、疲れて休んだら翌日まで疲れが残りだるかった。プールにあるジャグジー風呂で身体を温め、それからクロール、平泳ぎと手足を動かすと血行が良くなり疲れが取れ、そのあと家事ができるまでに回復する。

 さて、来月一日、編み物クラブメンバーでのクリスマスバザー準備中。手作りが条件で、お菓子も出します。去年、リサイクルアクセサリーを目にしており、私も少しチャレンジしてみようかなと思ったり、いやいや当初の予定通り焼き菓子のみにしようかなと思ったり、、、迷ってる場合じゃないよ。

 このブログ読者はいつも20人ほどで、頑張って5-6人は誰かわかるけどあとは全く未知の方々。もしケベックにお住まいでしたら、どうぞバザーのぞきにいらして下さい。参加者4人日本人女性なので一緒にお茶でもしませんか。食事ができるコーナーありますよ。


赤とんぼ

2019-11-02 18:24:52 | 旅する
 捕まえた赤とんぼ空に放しけり

 里帰りの楽しみのひとつは甥の子供のちいちゃんと遊ぶこと。4歳になった。保育園がひけてから毎夕方、土手や公園に行くのが日課だった。ある日、ちいちゃんは赤とんぼを捕まえた。いつまでも尻尾を握ってるから、いいかげんに放しなさいと何度言っても嫌だってゆうこときかない。それでちいちゃんを後ろからがっつり抱きしめて離さないと、放してよ放してよともがく。ちいちゃんもいつまでも捕まれていたら嫌でしょ、自由になりたいでしょ、トンボさんだって同じ気持ちだと思うよ、と言うと、トンボを空に放り上げ「トンボさんさようなら」と手を振った。トンボがあんなに高く飛べるんだと思うほど空高く消えていった。

 ある日、ちいちゃんはお風呂に入らないと駄々をこねる。ちいちゃん、ちいちゃんの大好きなおかあしゃん(お母さんと言わないでおかあしゃんという)がお仕事で疲れて帰ってきて、ちいちゃんが汗かいた臭い身体で抱きついたらお母さんがっかりすると思うよ。ちいちゃんがキレイキレイになっていい匂いで抱きついたらお母さん、とっても嬉しいと思うよ、というとお風呂に入った。

 家を発つ最後の日の夕方、一人で母に会いに行こうとすると、ちいちゃんも一緒に行くと言う。咄嗟に、夕方はね大人の人しか入れないのと言うと、ちいちゃん、前に夕方いったことがあるもんと言い返した。嘘ついてると見抜かれた。最後だから母と一人で会いたいのと何故言わなかったのだろう。

 ちいちゃんと遊んでると自分の子供の頃に還る。ちいちゃんはちいちゃんの現実を生き、ちいちゃんの目に映る世界がある。毎日たくさんのこと見て聞いて感じて考えてる。ちいちゃんには4歳なりの良いか悪いかの理性と判断力がある。そしてその世界は柔らかくみずみずしく広がっている。
 
 さて、突然、ガブリエルマルクスの話になるが、絶対的現実は存在しないということはちいちゃんと遊んでてもわかる。ちいちゃんの目に映る現実と私の目に映る現実は同じく映る面もあれば違うく映る面もある。東京を発つ前に、友達とちょこっとガブリエルマルクスの話をしながら、現実とは何ぞやなんて、それが何の役に立つのという話になった。ずーつと彼の説が頭にあって、折にふれいろいろ考えながら、私に役に立ったというか少し自分が変わったなと思えたのは、どの人にもその目に映る現実があり、もし他人の目に映る現実に触れるチャンスがあれば、私に映る現実が豊かになり広がりができるということ。ガブリエルによると、現実とはこれだという絶対的なものはなく、各個体に映る(宇宙人からみた人間ということも含め)現実の総体ということになる。

こちらを発つ前に、夫にガブリエルマスクスについて感動したと話すと別に新しいことでないと相手にされなかった。私なりに簡潔に説明したんだけど例えが悪かった。「彼の説はね一言でいうと、私にとってあなたは生活費を稼ぐ夫だけど、ワニにとっては美味そうな今夜の餌でしかないってことなのよ。」

 ちいちゃんが、日本から帰る前に、一緒に遊んで楽しかったと、覚えたてのひらがなでお手紙くれた。ちいちゃんが選んだ靴下をプレゼントしてくれた。熊シャン模様の靴下。はけねーよなーと思ったけれど、この年になると別にいいか、はこう。