ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

新しきジャズと鳴り合う琵琶のバチ

2022-07-04 08:14:15 | 聴く
モントリールジャズ祭が再開された。
 
日本の友達がジャズ好きでリタイアしたら是非遊びにきて思う存分満喫してもらいたい。という私はなんとかジャズを楽しめるようになりたいと折に触れてテレビで観たり聴いたりしてるがよくわからないというかピンとこない。聴いてる時はいいなと思ってもすぐ忘れてしまう。頭に何にも残らない。ある日 仕事が終わりヘロヘロになってソファに座りテレビにスイッチを入れたらチャンネルMEZZOでジャズを流していた。目を閉じて聴くともなしに聴いていたらあら不思議身体中に音が染み渡ってくる。最後まで聞き惚れた。
 
再放送があり録画し繰り返し聴いている。こんなこと今まで一度もなかったがアーチストの名前を調べ 紹介されたOUDと呼ばれる楽器について調べた。
 
紅一点 ソフィー アルール( SOPHIE ALOUR )というサックスとフルート奏者は47歳のフランス人。淡々と演奏してるけどなんでだろ聴いていて心地よい。そしてアラブ人らしき男性が奏でるOUDと言う楽器はシルクロードを通じて中国の北魏のPIPAと日本の琵琶とも関連があるという。そうかそうなのかと納得がいった。OUDは琵琶の弦を弾くバチの音を思わせるアラブ的なアジア的なテイストがある それで私のようなジャズ音痴も魅了したんだ。このOUDという楽器はヨーロッパでリュートとなりバロック音楽として全盛期を迎える。
 
 
音楽でも読書でも古典芸能でも わかりたい楽しめるようになりたいと意気込んで努力しても如何せん 良さがちっともわからないということがままある。それがある日 自然にすーっと未知の扉が開かれるような瞬間がおとづれる事がある。仏像がそうだったように。開眼以来 里帰りの度に見仏する仏像ラブになりました。
 
これがジャズへの開眼になるかどうかわからない。ただ このような瞬間に出会うと生きてるって楽しいなーと思う。人生は死ぬまで未知との遭遇。
明日は仕事 何に遭遇するんだろう。職場は毎回未知との遭遇だよ。

浅き冬尋常(つね)ならぬ音に雲走り

2021-11-17 22:40:56 | 聴く

コロナも治まりつつあり2年ぶりにコンサートに行ってきました。ヴァイオリニストSTELLA CHEN 当市のオーケストラとの共演です。ネットでエリザベ-ト王妃国際コンクール金賞と知り一番前の席で鑑賞。一言で言うと圧倒されました。 聴き惚れ見惚れハート鷲掴みにされました。オーケストラとの共演というより彼女がオーケストラを力強く牽引し何故だかジャンヌダルクを想像しました 彼女のような政治指導者だったら私ついて行くわ。若く新鮮で自然で繊細で豊穣でなおかつ知的なしっかりした骨組みを感じさせ 翌日の批評に載ったそれこそ煌めくスター誕生に立ち会った心地。スタンデイングオベーションが鳴り止まず 指揮者は演奏後即彼女のエージェントに来年の契約を申し出たということです。始終笑顔を絶やさず余裕すら感じさせるスケールの大きさ。みなさんお馴染みの曲ゆえ(彼女はメンデルスゾーン 一曲のみの演奏)会場は虜になりました。写真よりずっとずっと柔らかみがあり暖かさが滲み出るようなふっくらした魅力的な女性でした(もしかしてコロナ太りかも)

地元の交響楽団ゆえ面白い経験しました。プログラムオープニングのバッハの演奏が何とものんびりとほのぼのしていたんです。もちろんモントリオール交響楽団などとは比べ物になりませんが2流3流どこの味というか 良かったです。私はほぼ毎日俳句や短歌を一つ読んで食事のように味わってるのですが(昨日何食べたか思い出せないようにすぐ忘れるけれど)その日の朝読んだ橘曙覧の歌と同時にバッハの家族の肖像が浮かびました。貧しいけれど賑やかで楽しげな家族。

 たのしみはまれに魚煮て児ら皆がうましうましと食う時 (橘曙覧 独楽吟 )

 バッハは良き妻に恵まれ家庭生活は幸福でホスピタリーのある家だったとか。

最後のプログラムのシューマンは飽きて早く終わらないかなーと思いました。

昨日から3日連チャンやすみ クリスマスの準備始めます。この準備してる間が楽しいんですよ。


薄霞(うすがすみ)我もいつかは昔人

2021-02-08 00:53:43 | 聴く
溢れんばかりの情報社会、音楽でも次から次とCDが発売され次から次と新人さんが登場する。ふと、手軽にどんな音楽でも聴ける時代にあって昔ほどに聴きこんでるのだろうかという思いがあり せめて月に1回は一枚のCDにフォーカスし若い頃のように毎日聴こうと思いBARRICADEを聴いてます。聴きながら色々浮かんでくる事もあり そこからまた視界が開ける面白みを知りました。

BARRICADEはルイ14世下の宮廷音楽で このCDに登場する作曲家は8人 クープラン、マレ、ラモー、シャルパンチエ以外は初めて知る名ばかりです。ただいまテレビでルイ14世の生涯をシリーズで紹介しており またルイ14世が創立したロイヤルアオペラダンススクールの記念番組もありいろんな事がリンクしこのリンクが楽しい。



CDを聴きながら テレビもラジオも車も電気もなかった世紀の自然光に浮かび上がった人間の心情の世界 そうだこれらの曲はフェルメールの絵画だと思いました。パラパラと手元にある画集をめくりながらフェルメールの絵には人間の隠れた情念 とりわけ一見目には清楚で貞淑な女性達の昼顔を思わせる隠喩が 見つけてごらんとばかりに配置されている。ルイ14世と同時代の画家です。この絵の壁にかかってるトランプをかざすキューピッドは女性がすでに処女でないことを暗示し当時の風習である結婚は処女でなければならないというドグマを嘲笑してるとのこと。



さらにルイ14治世下の画家を調べるとニコラプッサンに出会い彼の作品で一番有名な「アルカデイアの牧人達」がルイ14世お気に入りの作品だったと知りました。王は幼少の頃から数多の死を目撃し 自分にも死が確実に訪れることを実感すればするほどに最大限に権力を行使し思いのままに国を統治しようと思ったのかしら。ダンスが好き 戦争が好き 女が好き 。無理矢理に引き離された初恋 純真な女性に心奪われもすれば 魅力たっぷりセクシー美女にも溺れ 最後は敬虔な年増女と再婚。数年前に義妹とタイトルは忘れたけどルイ14世の主治医の記録を忠実に再現した王の死とかいう映画を見ました。延々と続くベッドでの病床映像に飽きたのと王の腐った足のみが記憶に残るのみ。



ルイ14世といえばラ・フォンテーヌも宮廷人の観察から時代国籍を問わぬ人間の普遍的な心のカラクリを寓話にしました。

バラバラになんの脈絡もなく好き勝手に読んだり観たりし聴いたりしてたものが実はリンクしていたという発見にささやかな喜びと楽しみを見つけました。

アルカデイアの牧人達がアルカデイアというユートピアの国に暮らしてさえ死は免れない 私もかつてアルカデイア人だったという墓碑を読んだように 私は好きな俳句や和歌を書き写している手帳をめくりながら探していた歌を見つけました それは万葉集の1814番。

 いにしえの人の植えけん杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし

私もいつか いにしえ人というか昔人になる あんな人がいたという痕跡さえ残らないだろう。


新しいとは

2020-06-27 21:51:26 | 聴く
ある音楽デイレクターが新しい若い才能を発見するのも大事な使命と語りました。次から次と新人がデビューするのも当たり前です。アーチストも老いてゆくのです。視聴者としては新人をいくら追いかけても次から次と紹介されついてゆけません。また、推薦のCDを買いその時はなるほど素晴らしいと思ってもハートを鷲掴みにされ何度も手にし再聴することは稀です。感動するキャパ自体も老化してるし。で、やっとこさ届いたRADU LUPUのCD毎日聴いてます。新鮮な驚きでこんな素晴らしいピアニストを知らずにいたんですね。だから生きてるのは楽しい、知らない世界がありすぎでいつも自分は世界の入り口に立ってる気がします。



最初CDを聴いた時、これはベートーヴェンなの❓別人の作曲家に思えて、ベートーヴェンでなくRADU LUPUを聴いてると思いました。なぜかこれまで聴いたベートーヴェンとは違うんです。重力なく、澄んだ清流に光が煌めきながら反射しリズミカルに大海に向かい流れるよう。深く聴く者の胸に滲み入り喜びで満たしてゆく。毎日聴く内に、LUPUはベートーヴェンに繊細で柔らかく鋭敏で優しい感性を見出し表現しようとしているのではと思いました。ずいぶん昔に夫とベートーヴェンの伝記映画 不滅の恋人 を観たんですが夫が涙を浮かべてるんですね。びっくりしました。モントリオールのHさんに言わせると男の方が女よりも遥かにデリケートで感性が鋭いと話してたこと思い出しました。女って子育てや家計のやりくりなど現実的で結構したたかですもん。男の方がロマンチストかもしれない。

なんでも新陳代謝が激しく常に新しいものが次から次と現れるけど 新しい とは初めて出会い感動するに時空はなくむしろ新しい出会いということではないかしら。アホエンオイルもそうだし次なる編み物もパン作りも私にとっては新しい。古いものでも初めての出会いはいつだって新しい。

古希も近い婆さんなのにアルバイトしたくてネットで次から次と応募し撃沈してます。理想は週10時間、最低賃金肉体労働OK。遊ぶお金欲しいです。もちろんなければないでなんとかしますけど。カンボジアレストランから先行きどうなるか分からないのでしばらくお休みとのこと。コックさんを見つけるに大変でモントリオールから呼び寄せ無料でアパートに住まわせ至れり尽くせりだったコロナ前とは考えられない状況。
 
菜園は毎日いろいろな花が次々と咲きます。夫の好きなレーズンパン焼きました。



うたコン

2020-06-12 12:15:59 | 聴く
うたコンで思わず魅入られた曲「また逢う日まで」、歌っていたのは石井竜也と石丸幹二。歌詞から同棲していた男女の別れの歌と言われるが湿っぽくなく切なさと共にお互いが別々の道を選び歩もう、またいつか逢う日までと解放感もある。出会いがあれば別れがあるのは人間のみでなく、長年愛用した物でも、長年聴き続けた音楽でも、長年愛読した本でも、、、潮が満ちやがて引く様に別れが来る日がある。本やCD、食器、雑貨など断捨離中で、お気に入りだったコーヒーカップに魅力を感じなくなった、10年以上追っかけしCDは新発売の度購入し、コンサートは欠かさず、サインもあればツーショットもあるアレクサンドルタロー、何故かピンとこなくなった。別れのそのわけは話したくないと歌うが知らなくていいし、二人でドアを閉めて名前を消してと続くがそれでいいのよ。この歌なんでだろう、新陳代謝を予感させる希望の歌に聞こえる。過ぎたことを思えば、ほろ苦いことも胸キュンもあるだろうが人は幾つになっても新陳代謝する生き物なのかもしれない。数多いる歌手の声の中で井上陽水以外はあまりピンと来ないけどこの二人聴かせます。

また逢う日まで

作詞:阿久悠 作曲:筒美京平
また逢う日まで逢える時まで
別れのそのわけは話したくない
なぜかさみしいだけ
なぜかむなしいだけ
たがいに傷つきすべてをなくすから
ふたりでドアをしめて
ふたりで名前消して
その時心は何かを話すだろう

また逢う日まで逢える時まで
あなたは何処にいて何をしてるの
それは知りたくない
それはききたくない
たがいに気づかい昨日にもどるから

ふたりでドアをしめて
ふたりで名前消して
その時心は何かを話すだろう

ふたりでドアをしめて
ふたりで名前消して
その時心は何かを話すだろう

ランチ: アスパラガスが旬で薄切り豚肉巻き、デザートは青豆まんじゅう