ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

老いては子に従え

2017-10-26 20:53:21 | 暮す
 老いては子に従え

最近この諺が身に染みるようになったのは頑固になってきた実母や義母をみてるから。年よりの頑固とはよく言ったものだ。二人とも頑固だからどうしようもないと匙を投げられている。例えば耳が遠いのに補聴器を拒み、おまけに「ちゃんと耳が聞こえるよ」と言い張るなど。自分の価値観は世界の価値観、そして「私はいつだって正しい」。ああ、それが自分にないといえようか。

良きにつけ悪しきにつけ時代は動いている。ショッピングセンターをうろついてるとカナダ全土に販売網をもつ大手衣料スーパーが再建不能で倒産が決まりただいま閉店セール中。時代を読み取れずに旬が過ぎたのに気が付かないでいたと思う。

商店のみならず、いろんな分野で古い世代が倒れ、あるいは舞台から降り、新しい世代があちらこちらで登場してるのを感じる。私もいつの間にか古くなってると気が付いたこの頃、かつての教え子だったアンドレアンヌが2年ぶりに遊びに来た。政府給費生としてスペインとフランスからの留学を終え、今、大学で講師として働いている。27才になってた。知り合ってから10年がたってる。あの内気で気弱でおどおどしたセブンテイーンがいつの間にか成熟した大人の女性になり私が彼女から刺激を受け学ぶ立場になった。私は、見たこと感じたことを惜しげもなく話してくれるおしゃべりな若者が好きだ。私が経験したことのないことを経験し、行ったことのない外国をあたかも旅したように感じるから。またそうしたお話を聞くことで世界がひろがる。

フランコ政権後のスペイン文学に暗い作品が多いと語ってた。スペイン文学はドン・キホーテすら読んだことない。そしてせめて一冊ぐらいは読んでみたいと思う。そうだ大好きな堀田善衛のゴヤを再読しようかなと思う。

久しぶりの再会にリンゴの季節がらタルトタタンというお菓子を焼いた。リンゴが旬で安く(特売で12個入り300円)リンゴ3個+小麦粉+砂糖+卵+バターのみ。


秋の朝

2017-10-18 09:37:37 | 暮す
 秋の朝 仕事はかどる 幹事会

半地下をいじりながら部屋というのは人の出入りがないと寂しく寒々し、しけた貧乏神でもすみそうな雰囲気。夫関係のミーテイングがカフェとかあるいは会場を借りてとかなので試しに家の半地下でしてみたらと提案した。アートグループの会合はすでにここで行ってるが夫の関係は素敵なお家に住んでる方が多くお迎えするのが恥ずかしい気がしてた。でもかえってチープな場所が落ち着くという場合があるかもしれないとおもい今朝9時からのミーテイングを提案した。で、ただいま3人で会議中。明日は別の会合があり、これも試しに我が家で開かれる。気に入ればよいし、気に入らなければ元に戻ればいいだけの話。

壁を鳥のカレンダーを切り抜いて飾った。なんとなく空をはばたきたい心境だから。ちなみに私は鳥は鳥でも鶏と言われてます。飛べないばかりか しっしと追い払っても三歩歩けばすぐ忘れてもとの場所に戻る鶏みたいと。つまり経験が生きず同じ失敗を繰り返すと。でもね年の功で三歩から十歩ぐらいに進化したと思うけど。忘れなければ前に進めないってこともあるのよ。

以下 チープだけど小綺麗に暮らすがモットーの半地下サロンと鳥のカレンダー切り抜き額入り





枯れ葉

2017-10-14 11:31:58 | 暮す
 かさかさと 枯れ葉身を寄せ ささめごと

いつのまにか秋も深まり あちらこちらで枯れ葉が吹き溜まり 歩けばかさかさ音を立てる。

いつまでやってるのと突っ込み入れたくなるくらい家の改修が続いてる 壁塗りも続行 一階のサロンの小汚いじゅうたんを剥がしフローリングにすることにした でペンキ塗り

今年ひとつ知恵がついたと思うのは 老いを自覚したら無理しちゃダメということ 疲れたらやめる あきたらやめる ちんたらちんたら働いてもいつか仕上がるから

実母や義母は根をつめて働くので 一日働き一週間寝込み周囲から頑固だとか年寄りの冷や水とか言われおまけに可愛げがないと批判されてる 周囲に心配かけない働き方とはちんたらちんたらがいい そりゃ1日で終わるのが1週間どころか2週間もかかるけど 楽しいと思える時間内でやめるのがこつ

半地下の箱の色がどうも気に入らず又塗り始めたが 一日ひとつだけ塗ることにし1時間かかる 6箱のうち後2つ残ってる 1日で終わるのを6日かけてる これが私のこれからの働き方 またゆっくりちんたらちんたら働きながら色々なアイデアが浮かんだり方向転換したりと これが面白い 計画を無計画にすすめるというか 無秩序の秩序というか 出来あがってみなければわからない

最近 死について書くことが多いが 長いおつき会いだった印刷屋さんからメールがあり閉店のお知らせがあった ご主人の胃がんが発見された 今夏 そろそろリタイヤを考え かねてからの夢だったカナダ横断のために豪華なキャンピングカーを購入したばかりだった

死は盗人のようにやってくる したいと思ったらしよう 気にかかることがあったらすぐ実行に移そうと思う 人生は想像した以上に短いと知る年齢になった



満月

2017-10-07 09:48:07 | 暮す
 満月に女が子を連れ家を出る

昨日、右お隣さんのコスタリカ人の奥様が突然お子さんを連れ家を出た。涙でぐしゃぐしゃだった。つい先日60万するソファーをご夫婦で買ったばかり。いつもは夜遅くまで明かりのある家が夜8時で真っ暗だった。資産家のご主人、骨癌でもう長くないのは目に見えている。それで残された奥様と子供さんのために家を改築し困らないようにあれこれ手を尽くされていた。家はこじんまりした小さな住まいだけど、毎年一家でコスタリカに里帰りし、自家発電のある電気自動車に乗り夏はヨットで遊ぶ。それが突然の離婚とは。ご主人側の家族は嫁を恩知らずめとののしっているという。保証された生活を捨て外国人というハンデを背負いながら母子家庭への道を選んだ奥様。

右隣さん、左隣さん、お付き合いが長く、どこか身内のような気がしないでもない。思えばなんだらかんだらと楽しいお付き合い。その片一方が消えてゆく。とくに息子さんは私達夫婦がえんやこら重いものを運んでたりすると頼まないのにお手伝いしてくれた。雪かきも、芝刈りもしてくれた。御礼にお小遣いをあげると「そんなつもりじゃないです」と断ってた。いつのまにか、ほんのお小遣程度で私たちがお世話になっていた。

日本は中秋の名月であちこちでお月見があったよう。

OLAFUR ELIASSON

2017-10-01 19:15:53 | アート
ややこしや 嘘か真か 影踊る

是非観たいと思っていたOLAFUR ELIASSONの展覧会を観てきた。



彼についての記事「ミュゼにスノッブはいらない」を読み興味があったから。科学、テクノロジー、政治が彼の関心事であり、ヒラリー候補を支持し英国のユーロ脱退を批判し、フランスのマクロン当選を喜んだアーチスト。そして他の多くの知識人同様トランプ当選に衝撃を受けこう語っている。

「アメリカ社会の多くの階層が疎外されていると感じてることを見もしなければわかろうともしなかった」

トランプ大統領当選についていろいろな分析がでそろった感があるが、そのなかのひとつは以下のようなもの。

「失業や貧困にあえぐ国民をよそに、ええかっこばっかしして口ばっかし、こいつらエスタブリッシュメントに一回げんこつ食らわしてやる。もちろん自分たちが選ぶ大統領がどんなろくでなし大統領かしってるさ、でも、いい気になってる奴らを叩きのめしたかったのさ」

さて、反トランプOLAFUR ELIASSONがミュゼあるいは彼の作品についてどんな考えを持っているか超簡単にまとめると

ミュゼはスノッブなエリートや通の独り占めじゃないよ。みんなに開かれ、自分が作品を理解するに頭がないなどと思わせず、誰でも快く迎え入れ、そこで驚嘆するような場所でなくちゃ。僕は、観客も参加し驚き楽しむそんな作品をつくりたいんだ。

で、この展覧会、素晴らしかったです。

まず、高度に洗練された美しさに圧倒されました。エコロジーとか、時空とかの彼の世界観の説明文なしに、テクノロジーを駆使しながら虚と実が交錯し交感する美しさに目を見張りました。以下、特に印象に残った4点についての感想

1 BIG BANG FOUNTAIN 2014

入るのが怖くなるような真っ暗な室内に恐る恐る足を踏み入れると、水の音がし突然暗闇に小さな噴水が作り上げる水の彫刻が浮かび上がる。その姿は様々に形を変える。これを観て、かつて九州を旅した時、山奥にゴーゴーとなる水の音を耳にし林のようなところを進んでゆくと巨大な滝がぬらりと現れ、竜神という言葉が浮かんだのを思い出しました。噴水も滝も同じ水。水は様々に姿を変える。水は生き物だ。

以下パンフレットより



2 YOUR SPACE EMBRACER 2004

天井からぶら下がった丸いわっかの影が四方の壁に大きくなったり小さくなったりして一周する。9月になると月が美しく毎晩のように月を眺め追いかけてるので、夜空の宇宙の縮小版を見せられてるようだった。

写真可なのでパチリ


3 MULTIPLE SHADOW HOUSE 2010

大きなスクリーンの前に映った自分の影が動きに任せて大きくなったり小さくなったりして映る。幼い子供さん達が自分の動きが映る不思議さに喜んでなかなか去ろうとしない。そこへ老若男女問わず参加し様々なポーズをし実物と影が遊んでるような光景が繰り広げられた。私も参加したよ。

写真パチリ



4 BEAUTY 1993

あまりの美しさに胸がいっぱいになるくらい感動した。細い細い、雨のような霧のような水が降っている。それが暗闇の中に淡い淡い虹色のカーテンのようにゆらめく。これは映像なのかと手を差し伸べると手が濡れる、床もしっとりと濡れている。

写真パチリ




自然のエッセンスを作品化した無駄の一切ないミニマリスムでありながら暖かく非常に美しい展覧会でした。

展覧会を観終えてから友達との待ち合わせ場所へ。ラーメン食べお茶しました。親の死、友の死、自分たちの老後と死、仕事のこと、年金のこと、、、誰もが迎える当たり前のこと。これも現実。虚も実も現実。