ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

しとしと雨

2020-09-10 08:23:51 | 読む
今日はお休み、一日中雨がしとしと、夫は仕事でモントリオールへ、一人ゆるゆるだらだら過ごす。

アマゾンから頼んでおいたポスターが届く。ポスターの面白さに目が行くようになってあれもこれも欲しいで困ります。なぜそのポスターに惹かれるのか動機というものがあって今回は童話がきっかけです。数少ない愛読書の一人が吉田健一で、彼は娘の暁子さんにもし子供を育てるならラ・フォンテーヌではなくアンデルセンで育ててねと語ったと言う。そのことが脳裏にあり2年前夫と一緒に里帰りしたおり古本屋で買ってあり枕元に置き読んだり読まなかったり。ラ、フォンテーヌは読んでいて冷水を浴びせ掛けられる心境、自分の顔を拡大鏡で見せられ「ほら皺とシミとたるんだ法令線、それがあんたの現実だよ」と鏡に面と向かわされた如く、一皮むけば人間なんてこんなもんさ、あんたもおんなじと冷徹に鋭利なメスを入れられるが如く、だから寓話で面白おかしくする。片やアンデルセン、この年になれば無邪気でもなく善良で真面目に努力すれば人生は開けるなんて信じるほどおめでたくもなく可愛げのない婆さんになったけれど、アンデルセンの童話には人を見るにあたたかい眼差しがあり自分の心も暖める、それゆえ童話と言うのね。犠牲の精神、人生の肯定。

VOGUEのポスターを見た時、アンデルセンとラフォンテーヌ、グリム童話が交錯し、とても綺麗で可愛いいけれど何となく不気味な雰囲気があり惹かれた。可愛らしい童女に潜む大人の眼、ポーカーフェースで何を見てるの、何を考えてるのと問いたいような。

明日はレストランでお仕事、私をおだててお友達よとかカンボジアに一緒に旅行しましょうとか言うけど、14才のお孫さんにはよくお手伝いするからと欲しがっていた30万円のシャネルのピアスをプレゼント、私には往復600円ほどの交通費すら出ません。それでもお礼奉公のつもりで働いてる私はラ・フォンテーヌが寓話にするとどうなるの❓アンデルさんの手にかかるとどんな童話になるの❓なんてね。



オカルト

2020-04-02 18:36:17 | 読む
 神秘体験は誰にでも一度や二度はあるもので、私も小さい頃から、また今でも滅多にないけれど不思議な体験があり、夫からは「お前は怖いところがある、魔女じゃないか」と言われる。日本にいた時、そっち系(オカルト)の方々から修行してそっち系の道に進むようお誘いを受けたこともある。が、根が俗人なのでお断り、それでも密かにそっち系の本を読み続けている。今、こんな状況になってざっと思い出すのはミシェルデマルケ、木内鶴彦、木村秋則の三方。昨日、あちこち本を探したが見つからない。そういえば断捨離をした時、当市でこれも密かにスピ系が好きな女性に引き取ってもらったような気がする。

 上3人も地球終末がさほど遠くないことを語ってる。実は木内鶴彦さんの講演会に帰国時、参加しました。正直言って少しがっかり。本に書いてあることの繰り返し。講演会の後の食事会で今でも記憶に残ってるのは、「昔はりんごを落っことしてもズボンで拭いてそのまま食べたものさ、今は汚いだの不衛生だのと言って無菌をよしとするが逆に人間の免疫力を落してる」とおっしゃったことです。金沢での講演で、観光も兼ねて私は宿を取りましたが、東京から参加した駅に向かうサラリーマンの方と方向が同じなので歩きながら少しおしゃべりしました。この方は木内さんの本に偶然に出会い、長野へ移住し半農半Xを考えており資金準備してると話してました。 

 今、読んでるオカルト本は浅見宗平著不思議な記録シリーズのソロンの預言書とカタリ派の輪廻転生の記録です。信じる信じないは別にして、あなたの知らない世界、古史古伝として読んでます。人類の歴史は5、6千年どころか何万年前、何億年前に遡るんですもの。ロマンですよ。

 昨日はキャベツシリーズでシュークルート作りました。白ワインがないのでワインなし、ニンニクを切らしてたのでニンニクパウダー、じゃが芋の代わりに残っていたサツマイモ。おやつは定番のチーズケーキ焼きました。いつも使うフィラデルフィアは2倍の値段、それで無名のクリームチーズが250円ほどで手に入りました。今んとこ、ケーキ作りは500円以内を厳守してます。さて、今日は何をしようか。キャベツシリーズ番組が昨日もあり、今日もキャベツです。キャベツは重宝します。珍しく4時半起床。気持ちよい。



鬼やらい

2020-03-26 02:01:45 | 読む
 鬼やらい見えざるものに豆を打つ

 ついさっき市の図書館から来月の講演会延期のメールが来た。去年の11月お話があり、日本の祭をテーマに選び、とりわけ鬼について話すつもりで本を取り寄せ準備していた。担当者にも鬼の写真を送っていた。偶然とはいえ、世界の現状とオーヴァーラップする。豆まきの起源がウイルス蔓延で死者の数夥しかった706年に遡ることや、鬼の系譜なども知り、もし講演会が中止になっても後悔するどころか鬼について興味を抱かせてくれたことに感謝あるのみ。特に馬場あき子著(鬼の研究)に心打たれるものがあった。2月のNHK俳句、追儺(ついなー鬼やらい)がテーマ季語で上に挙げたのは入選者の句。講演会をこの俳句で始めようと思っていた。

 こうしたお仕事の話を引き受けるは良いが、日本から本を取り寄せ読み、プランを練り、フランス語で書き、友達に直してもらい、夫の前でリハーサルをし意見を聞き、書き変えたりと、たった1時間半の講演に3ヶ月ぐらいの準備が入ります。レストランで肉体労働してる方がずっとお金になるしストレスフリーです。それでも引き受けてみようと思ったのは、やはりガブリエルマルクスとジェラールノワリエルに刺激を受けたからです。自分が思うこと、自分に見える現実を発信することは、たとえ笑われようが批判されようが、各人一人一人が勇気を持って発言するということに意義があるのではないかと。また、どの人の世界観にも耳を傾けることを私は学ばないといけないと思ったこともあります。

 ケベックで恐れていたこと、即ち、急に感染が拡大しています。皆さん、家に引きこもってます。でも私は解放感を味わってます。ほんとしばらく何もありません、ボランテイアもアルバイトも。あれ食べたい、これ食べたいと騒いでる夫を除けば自由時間たっぷりです。お昼はせがまれて海苔巻き作りました。去年、200枚入り海苔を買って来たので1年は持つでしょう。


紅旗征戎

2019-03-11 16:58:28 | 読む
 紅旗征戎吾ガ事二非ズ

 有名な藤原定家の言葉を今までとは違った読み方をする。それは老いのせいだろうか。物の見方考え方は変わって行く。2011年3月11日未曽有の東北震災からすでに8年、この時期になると堀田善衛の「方丈記私記」を再読する。

 今年、ああ自分の見方が変わったなと思ったのは、人が死のうが、都が荒れようが、あちこちで血なまぐさい政争があろうが「俺のしったこっちゃない」とばかりに和歌詠みにあけくれた定家を、それは私達自身でもあると思う気持ちが芽生えたこと。貴族エスタブリッシュメントにとり一般人民など下等な生き物に過ぎなかったかもしれないが、ふと思ったのよ、世が世ならば下等人間である現代の私達庶民も「紅旗征戎吾ガ事に非ズ」ではないかと。グローバル化が進んだ時代、世界の惨事に接すること日常茶判事。悲惨な映像を横目に先進国に住む私達はそれがB級であろうとグルメにお洒落に旅行を楽しみ、又は二流貴族だった定家が出世に一喜一憂したように勤め人は宮廷に劣らぬ熾烈な出世競争に明け暮れているのではなかろうか。 

 定家に又、歌人としての矜持というか、天地がひっくりかえろうとも和歌を詠み続けるというプロ根性を垣間見るようで反骨精神を感じたりする。それは貴族とか地下人とかの階級を超える芸の道を政治をの上に置く優性を信じてる人のように見える。

 「方丈記私記」を開くたび、黄色いマーカーを塗ったいくつかのフレーズに出会う。

「人は、生きている間はひたすらに生きるためのものなのであって、死ぬために生きているのではない。なぜいったい、死が生の中軸であければならないようなふうに政治は事を運ぶのか?」

「政治は何かを利用しなければ、それ自体では役にたたぬものであろう。従って政治はあらゆるものを利用する。無常観などはその最有力な武器となりうるものである。」

明日、年2回の少しあらたまった食事会があり、アペロから始まるフレンチフルコースにありつける。少しお洒落してでかける。思う存分楽しもうと思う。人生、いつちゃらになるかもしれないし今日ある日がいつまでも続くという保証はどこにもないから。


極寒

2019-02-08 09:37:43 | 読む
 極寒とや 貧乏神も 倒れ伏し

 橋本治さんの著書が数冊あり断捨離してなかった。再読しようと手に取ったのは「貧乏は正しい」。
堂々としたタイトルと字ずらで思わずひれふしたくなる。じっくり読もうとおもってる。橋本さん、70年の人生で最後まで学び書き続けたんですね。

 今年の冬は100年ぶりの悪天候と言われ、長く厳しく、貧乏神も行倒れで凍死するんじゃないかと思うくらい。

 最近、いろんな方とお話しして、皆さん一様に実感するのは物価高。急に何もかもが値上がってる。どの方も家計の見直しを始めたという。食糧問題が身近に感じられる。食べ物は大事にしなくちゃ。リタイヤ前は、モントリオールのクイーンエリザベスホテルのパチシエが当市に開いたケーキ屋さんで美味しいケーキを買ってきてささやかな贅沢を楽しんだが3年近く買ってない。家でつくるようになった。毎日のおやつは簡単な揚げドーナツやポテトフライ、サツマイモフライがメイン。夫がこういった単純素朴なおやつが好きでありがたいです。

 一月、二月ははちみつレモンが大活躍。お湯で割ればホットレモン,砂糖の代わりにはちみつレモンと小麦粉でドーナツに、はちみつレモンにナンプラーを入れ海老を漬け込み焼くとベトナム料理になります。

 貧困は創造の母と言われますが、できれば貧乏神を冷凍して永久冷凍保存したいです。