ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

一角獣

2020-02-24 21:25:19 | 雑誌雑読
2月も一週間残すのみ。去年印象に残り、メモしておきたいことまだ3つある。

皆さんどれだけの方が自分の見方考え方に自信があるのだろうか。なにか語るにしても、間違っているのでは、ましてや専門家でもないしという思いがいつもよぎる。そんな私に自信をもっていいんだよと説得してくれたのがガブリエルマルクスのインタヴュー記事。現実とは何かという問題。今んとこ自分に現実はこう映るということもそれでいいんだ、それを発信してもいいんだと。そして自分も、自分が見ている現実も常に変化し、ムーヴメントにあるということ。歴史の見方、音楽の聴き方、暮し方だって同じ。

そして今日は、彼の有名な「一角獣は存在する」という考え方について。これには目から鱗だった。MG(MARKUS GABRIEL)は、通りで一角獣に出会うわけじゃなし存在するわけないじゃんというこれまでの常識に新たな考え方を提案する。「映画という分野の世界において一角獣は存在する、ひとつの物について全ての分野から独立して存在するなんて不条理だ」と。確かに映画のみならず文学でもテレビドラマの世界でも、虚構の世界で嘘とも思わず泣いたり笑ったりしてるではないか。虚構のヒロインも虚構と言う分野において現実に存在する。

MGは、「この部屋に二人の人間がいる」を別な分野、例えば生物学の分野からみると「この部屋は細菌がいっぱいだ」ともなり、様々な分野からのアプローチは、その分野において現実ということになる。

この箇所を読みながら頭に浮かぶのはファッショとも思える仮想現実という分野。怖いのは仮想現実の方が正しく立派な現実に思えて自分が生きている周りの現実を貧しくを思わせること。私もたまにファッションブログを見るわけよ、すると60代はシンプルな良いものを身に着け素敵でおしゃれな暮らししましょうとイメージと名文で流してる(思わずダサくてすみません気分)。とくに財布を新しくしないと金運が悪いのでいつまでも古い財布にはさよならしましょうとくる。これなどもファッション界と言う分野からの見方でしかない。財布のみでなく一事が万事。だが、エコロジーの分野から見たら、また禅の分野から見たら、低所得層から見たら、、、ちなみに夫は素敵な奥さんよりダサくてもうるさくない奥さんの方がいいと言ってる。

MGから、私達一人一人が自分と言う分野を持ってるし、自分はほんとのところどう思うのか、どう見ているのかをもっと大切にしていいという事を教えられた。私達ひとりひとり自信をもっていいんだ。そしてMGの説もまた彼の哲学と言う分野からの発信であるとして受け取る。

彼の著作で買いたいと思ってるのは「Le Pouvoir de l,art 芸術のパワー」、彼によると「芸術作品は私達に悪い影響を与えるので避けてほしい種類の友達だ」と言う。読みたい。

 





 

10年

2020-02-22 19:33:49 | 雑誌CLASSICAより
 本や雑誌を処分しながら捨てないでて良かったと思ったのは長年愛読したclassica。10年前の2010年一月号特集はモーツアルト、それから10年後の2020年一月号特集はベートーベン。ここ数年前からclassicaがつまらなくなり内容をパラパラと読みながら、先ずページ数が154ページから130ページとなり24ページ減ってた。ペラペラな雑誌になった。広告が激減してる、広告収入が減ってる証。だから以前のような最新研究の成果とか、シリーズで一人の音楽家について最新の伝記を紹介するといった特集がなくなった。変な話だが古い雑誌の方が内容が濃厚。10年でこんだけ変わるんですね。

 5月末、2週間東欧3か国一人旅の予定が義妹も行きたいとのことで仕事の都合上12日間女二人旅に変更。私の好きなように旅してねという事で好きなようにプログラムしてます。義妹は建築に興味があり、それも小さなカルチエの公共建築に興味があり、どうしてもみたい建物だけピックアップして来月教えてくれます。

 今回私達が訪問するのはウイーン、ブダペスト、ザルツブルグ、プラハです。晩年のモーツアルトの行動半径はこのあたりの地域になります。毎日一回はモーツアルトとベートーベンを交互に聴いてますが二人の音楽似てるんですね。モーツアルトにベートーベン的な感性、ベートーベンにモーツアルト的な感性があるんですね。年を取るにつれて、スカルラッティとか、ラモーとかの小品が好きになってきて交響曲とか聞かなくなりましたが再度二人を聴き始めながら若い時とは違う思いがよぎります。

 classica2010年モーツアルト特集で、彼が生前訪問したすべての場所と年代が網羅されてます。今回の旅でモーツアルトが生まれ育ったザルツブルグの空気を思いっきり吸い込みたいです。



 いろいろ忙しいことがあり、なかなかブログを更新できませんが、ブログは気が向いたときに書きたいと思ってることをひょいと書くようにしてます。




模様替え

2020-02-08 21:25:22 | 暮す
 キッチンの模様替えをした。甥や姪のみならず、義弟や義妹達からも私の悪趣味(安物、ガラクタ好き)をからかわれてる。でも好きなのよ。というわけで、今回は夫の一言からインスピレーション得ました。ある日、ジャズを聴きながら夕食をとってるとこういいました。「ビストロかジャズ喫茶にいるみたいだね」。そうだ、キッチンをビストロ、あるいは居酒屋風にしようと。リタイヤしてから外食は皆無に等しくなった。夫は仕事で外食の機会があり、私はレストランでお客様用のメニューをいただいてるから増々レストランに行かなくなった。生活は厳しくなる一方だし、私と夫の歯の治療や、夫の腰の治療やと年明けから出費がかさむ。それで、キッチンをビストロの雰囲気にしたら食事も楽しくなると思った。

 出費は一目で気に入ったコカ・コーラを飲む女のアメリカ製プラックとアンチックな野菜のポスター、総額3000円近かったけれど、一回分のレストラン代より安い。模様替えのあと初めての朝ご飯、夫の好きなほうれん草卵落としとコーンポタージュ。仕事、週20時間にしてよかった。繕い物や、旅行の計画等、ちまちまこまごました雑用がある。そしてその雑用が楽しい。


 レストランオーナーマダムは春着工のホテルの準備で一族総出で取り組んでる。彼女は私に、働くのが大好きだし、お金が大好きだと言った。彼女、寝る以外は働いてます。今春、50部屋のホテル建てます。銀行は融資即OKを出したとのこと。お金はたんまりあるので年金必要ないと受け取ってません。100万円の指輪して働いてます。成功する人というのは人の3倍働いていると思う。ビジネスにつけ芸事につけ、三度の飯より好きな人は苦労を苦労とも思わぬ、努力を努力とも思わぬパッションがある。私は口あんぐりしてすごいなーと見てる。なんにつけ飽きっぽくパッションもしょぼい私には私なりの幸福があり、それを大切にしたい。

断捨離続行

2020-02-01 07:06:14 | 暮す
 週20時間労働の約束がいつのまにか週30時間になってる。人間の身体は不思議なもので慣れてきて、働いて、家事をして眠るだけの暮らしだったら続けられるが他の事何もできない。つまらない、それで思い切ってマダムに話した。ボランテイアやその他もろもろのこと反故にしたくないので週20時間労働にしていただきたいと。これが私が楽しいと思って働ける限界だと。そしてこの年齢で雇ってくださったとこと感謝しますとも言いました。しばらく考えた後でokがでました。もちろん緊急時は駆けつけますと付け加えました。

 オーナーは人の使い方が上手くて、昨日も午後8時まで働き、どれ帰ろうかと思ったら客の入りが途絶えず、一人風邪で休んだ子がおり、お願いねの甘い言葉にnoと言えず盛り付けや食器洗いを頼まれました。機械がするので私はサッと下洗いして洗浄機に押し込むだけ。らくちん。正直言って働くのは好きだし楽しい。客席から食事を楽しむ笑い声がきこえたりすると幸せな気持ち。又、キッチンスタッフ4人と連携プレーみたいになり言葉を交わさなくても以心伝心みたいに回ってゆくのも回転木馬に乗ってるような気持ち。でも、家で我楽多いじりして、ちまちま楽しむ時間がない。編み物したりお菓子焼いたり俳句番組見たりの時間がない。2月から、最初の約束通り週2日、一日10時間労働で20時間にすることになりました。

 さて、断捨離続行。長年踏ん切り付かなかった食器棚を明日夫の知人が引き取ってくださる。一度も使ったことのない乾燥機はレストランオーナーマダムに話したら、不動産業しておられるモントリオールの娘さんに電話し即決売却。いつもマダムの決断力に脱帽する。彼女の頭の中に精巧な電卓があると確信する。損得の計算が超スピード。今週、カキが特売で8ドルを5ドルで買ったと話したら、学生アルバイトの女の子を呼びつけ、「仕事が終わったらすぐ柿5箱買っておいで」と命令。

 私、彼女にあだ名付けました。マダムモンスター、そしてマダム元帥。すごいんだもん。そう伝えたら笑ってました。
 
 最後に、さよなら、長年あいした食器棚。やっとお別れする決心つきました。