ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

飴と鞭

2020-01-23 10:56:13 | 暮す
 冬のヴァカンスが終わるとレストランは暇とのこと。ところが年明けから客の入りが増えるばかり。火曜日10時間、水曜日11時間働き、明日の木曜日は5時間労働で、なんとかオーナーが必要な在庫を準備できそう。風邪気味だったが仕事のあとプールに即行、帰宅してからホットワインをぐいとひっかけて夜8時か9時就寝で爆睡。風邪も3日で回復した。

 先週から再開したダイアナから学ぶフランス語授業で「その年でなんで働くの、それも誰もが敬遠する最低の仕事なのに」と。でもね、メリット、デメリットを計算するといまんところメリットのほうにウエイトが上がるのよ。それに現金が手に入る喜びは大きい。ちなみにお金が苦しくなると「禅僧の一日」という日程を壁に張ります。貧乏になったら畑仕事して禅生活します。小金が入ったらもちろん旅行したりコンサート行ったりします。どっちも楽しいです。

 さて、単純ハード肉体労働をいかに楽しさに変換するか、私が実践してることは

ひとつ:幸いなことにラジオを聴きながら働ける。面白いこといっぱいある。例えば、ネス湖の恐竜は存在しないとウンチ専門家が発表した。というのもネス湖のウンチを分析し、どんな生物が存在するかウンチと生物の種類を照合して、未知の生物に合致する生き物は皆無だったとのこと。いろんな専門家がいるんだなとオッタマゲー。
 
カナダに世界唯一の脳味噌の博物館があるという。特に自殺した方の脳の研究にとても役立っているという。この博物館を訪れた方が強烈な印象を受けると話していた。訪問したいような、したくないような。

 と、蘊蓄たらたらの番組に疲れたら、元気なハードロックやポップミュージックにチャンネルを変えたり、ニュースに変えたりできる。今日は、教員不足でフランスにまで教員応募を出したと言うニュース。私が日本語を教えてた二人の女の子も教員志望だったが、教育実習の後、進路変更した。ケベックの教育現場は荒んでいる。魔法の杖はないけれど、同じ問題を抱えるフランス人教員との交流を通して打開策を見出したいとのこと。

 家にいればテレビジャパンばかり見て、ああ日本に帰りたいと郷愁が募るばかりなので、こうして否応なく、こちらのラジオ番組を聞くのは良いことかもしれない。

ふたつ: オーナーマダムの飴と鞭政策に感動してるのかも。今日、里帰りから戻ったラオス人の学生がマダムに頼まれ買って来たウエートレスの為の民族衣装を持ってきた。マダムは私に好きなスカートを2点選ぶよう勧めた。赤やピンクと若い子ちゃん向きで老婆向きはほんの数点、その中からなんとか着れそうなものを選んだ。私が、レストランで働くようになってから異国のフルーツに興味が湧いたと話したのを覚えていてカンボジアの果物の写真が載ったポスターを見せてくれた。知らない果物がたくさん。そして言うのよ。あなたをカンボジアに招待するからね、約束よ、と。このような話しは半分信じて半分信じてません。これ飴ね。単純な私は飴に弱いのよ。

みっつ : カンボジアのレシピを惜しげもなく教えてくださる。わざわざ厨房まで招いて作り方まで直伝。これは有り難い。食に関しては無頓着でずぼらな私も、どうせ食べるなら美味しく食べようと工夫するエスプリを見習いたい。根が野良猫なので口に入れば何でもいいやみたいなところがあるので。

 肉体労働はきついけれど、その日限りであとくされがない仕事とも言える。ただ、おつむが空っぽになる感じ。でもね、空っぽなおつむに映る世界はまた新しい世界かもと思うのよ。そういう意味で、なんかね、未知の世界が開かれそうな気もするのよ。


初コンサート

2020-01-19 20:26:41 | 聴く
 リュカ ドウバルグのコンサートから帰ってきた。片道2時間のバス旅行。

 彼のCDは3枚買っており、気が向けば聴き、またテレビでのリサイタルも2回聴いた。が、正直言って何度聴いてもハートに響かない。奇才とか現代のグレングールドとか、クラシック界を揺るがす一石を投じる、無意識に待ち望んでいた異才とかいわれ、超人気アイドルなんだけど、ぴんとこない。自分の耳が貧しいんではないかと疑い、生の演奏を聴けば変わるかもとの期待があった。

 演目は手元にあるCDと同じでなじみある曲なれど、生の演奏でもぴんと来なかった。

スカルラッティ : これまで耳にした演奏とは全く別物。スカルラッティの曲と思えなかった。音が粗く硬く野暮な演奏に聴こえた。斬新で大胆な解釈との評価だが、新しすぎて聴き慣れぬ演奏故か何も感じなかった。例えばアレクサンドルタローの演奏はナポリとスペインの血を感じさせる官能的な味がある。ホロビッツやアルゲリッチは遊んでるような極上の名人芸の味がある。ドウバルグを聴きながら正直言ってつまらなかった。

ラベルの夜のガスパール: 文学や絵画にインスピレーションをいただくというドウバルグ。私の力量不足なのか、最初こそ魅了されたものの最後まで絵画的映像が頭に浮かび音楽と共に戯れ遊ぶと言う境地にはなれなかった。

休憩をはさんでの第二部はメトネールとリスト。これ聴きながらね、ドウバルグはロシアやスラヴ系の作曲家の演奏に向いてるんじゃないかと思いました。エネルギッシュでドラマチックで壮大で、ボクシング選手から右左とパンチ食らってるようでした。飽きはしなかったけれど、かといって聴いたあと何も残らなかった。

30才になったのかな、堂々としていてシャイなとこなくて、そこが大物と言えば大物なんだろうが、これまでお目にかかった演奏家たちとは違うタイプ。経歴も正統派じゃないし不良みたいなとこある。不良を装ってもお坊ちゃん育ちを隠せない正統派と違い、制御しきれぬ根っからの野生のエネルギーがみなぎる不良魂。たまに気が向いたら追っかけてみようかな。

批評家たちがこぞって激賞しても自分がぴんと来ないときは、私の耳を疑うので、これからも折に触れて聴いてみよう。ああ、やっぱし、すごいと味わえることを願って。

最近疲れ気味。仕事多すぎ。なんとかしなくちゃ。リタイヤの意味がない。



今日も

2020-01-09 06:36:32 | 暮す
 今週は火、木、土と仕事、30時間労働。水曜日はボランテイアで休みを取ったが疲れて行かなかった。金曜日は野暮用で休みを取った。来週から通常の20時間労働になるはず。これ以上は無理と言うより他のこと何もできない。何のためのリタイア暮らしなのかわからない。忙しすぎるのは良くない。

 昨日、歯医者さんからお電話があり、担当の歯科医が突然死されたとのことで新しい歯医者さんを紹介された。亡くなられたのは30代の先生でとても良い方に巡り合ったと喜んでいたのに信じられない気持ち。

 夫が滑って転倒し救急車で運ばれ最悪を心配したが、骨折はなく腰をひねって一週間の安静。でもレントゲンの結果、腰の老化が年齢以上に進んでいることがわかった。遺伝的なものという。義母も義妹も腰が弱い。ここ1年ぐらい前から、長い旅行は腰が疲れて行きたくないとぼやいていたけど身体がサインを送ってたんですね。それで私に、今のうちに行きたいところに行きな、これから老いるばかりだしいつまでも身体が健康という保証はないぞと旅行するよう励ましてくれました。

 老いと死は確実にやって来ると何歳から実感するかは人それぞれ。義妹は40代に入ってから考え始めたという。私は遅かった。正直言えば去年秋の里帰りから。すると、なんていうのかな以前に増して何てことない日々の暮らしが楽しくなってきた。ジャスミンが新芽を次から次と出し日に日に大きくなる。生きてるのね。冷凍しておいたイカを初めて炒め物にして食べた。イカ料理がレシピに加わった。ほうっておいた額の切り抜き絵を替えよう。バスルームを、いかにお金をかけずにあるものを生かしリフォームするかあれこれ考える。この頃、なんにつけ自分はチープな人間だなと気が付いた。それ故にチープ好みなんだと分かった。一流は二流三流があればこそ引き立つ。二流三流の味っていうこともある。

 さて、これから招き猫ちゃんの顔拭いてお仕事。この招き猫ちゃん毎朝手を合わせてるんだけど効果あるやなしや。

初泳ぎ

2020-01-05 05:37:48 | 暮す
 初泳ぎ初日を拝んで飛び込むや

 今年はオリンピックの年でもあり元日は初日を拝んでからプールで初泳ぎ。年中無休のプールにオープン7時に行くと私達夫婦しかいなかった。青く澄んだプールに飛び込むとお魚気分。昼に大家族最後のパーテイーを終えて来週まで遊ぼうと思っていたらレストランから電話、3,4,5日と3日間働いて欲しいとのこと。昨日の土曜日は大盛況。ウエートレスも7人駆り出された。皆さん10代、20代のかわいこちゃん。中にとびぬけた美人さんがいてオーナーマダムによると客席案内専門係。

 思いませんか、若く体力もある女性が綺麗な民族衣装着てほほ笑んでお客様を案内するだけ、かたや私のような婆ちゃんは身を粉にして肉体労働、時給は同じ。不平等撤廃を掲げたい気持ち。でもね、これが逆だったらどうなんだろう。白髪でしわしわ婆ちゃんが民族衣装を着て「いらっしゃいませ」と迎えられたら食欲なくなるよね。そうかー、美人さんには美人料という付加価値があるんだ、と思いながらマックスに働きながら、こうして予定外の仕事が入るってもしかして母に会いに行くお金を貯めなさいという事かしらと思った。行くとしたらオリンピックが終わってからの秋にしようかなと思案中。

 市の図書館からお電話があり4月に講演会を頼まれた。労多くストレスも多い公的仕事は二度としまいと思っていたけれど咄嗟にOKの返事。単純肉体労働してると、だんだん自分がロボット化するような気がして頭を使うのが嫌になって来る。これ、ちょっと危険かも。それで自分にはっぱをかける気持ちで引き受けた。

 オーナーマダムと働きながら、もうこきつかうんだよね。だから、こう言ったの「これが私のマックス、それ以上望むんだったらロボット雇ってね」。マダム大笑いしました。彼女、飴と鞭の使い方が抜群。私、お昼ほとんど食べないので、帰り際に夕食の準備しなくてすむようにと夫と二人分の食事持たせるのよ。また、惜しげもなくいろいろなお料理レシピを教えて下さるので学ぶこと多いです。何よりも、急を要する以外は好きな日に好きな時間に働けるというメリットは有り難い。好きな時に旅行もできる。

 最後に遅くなりましたが、20人ほどのブログを読んでくださる皆さま、2020年が穏やかで和やかな年であります様に。年と共に、平凡でつつがなき日々が一番と思うようになりますね。

 以下の写真は恒例の大晦日につくったお寿司、ネットのおかげで握りずしのつくりかたまで学べます。