ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

プロの仕事

2020-04-14 10:28:35 | 雑誌CLASSICAより
定期購読をやめていた雑誌CLASSICAを再度予約することにしました。入荷すると雑誌屋さんからお電話があり取りにゆきます。ここ一年、あれこれの音楽雑誌巡りをして元の古巣に戻りました。時間があるので何故ルプの(ワルデンシュタイン)がお勧め曲に選ばれたか読んで、プロって凄いなー、プロが選びに選んだ曲をこうして聴けるなんてありがたいなーと感激しました。雑誌も月刊から隔月発行になり、ページ数も減り苦しい状況が伺われます。いろんなこと教えていただいた雑誌だものせめて定期購読して応援しよう。

私が驚いたのは、たった一曲の演奏を選ぶのに1906年から2019年最新録音まで50人近くの名演奏家を聴き較べ時代を旅し、一人一人の演奏にコメントし、その中からベスト8を選び、さらにNO1を選んでるんです。日本でもお馴染みの母親が日本人のアリスさんが5位に選ばれてます。
  
最も古い1906年演奏はオイゲンダルベール(Eugen d'Albert): 彼はベートーベンがその演奏を称賛したリストの弟子で(19世紀の響を私達に残してくれた)とコメントしてあります。YOU TUBEでも聴けます。ネットはすごい。

日々、生活のあれやこれやでベスト8すら聴く余裕のない私のような人にとってプロ推薦NO1の音を聴けるのはありがたいです。もちろんベスト8を聴いて私はこっちの方が好きという方もあると思います。それは好き好きですもん。



ケベックは少しづつお店が開きます。ガレージ(冬のタイヤ交換せねば)、園芸店、鉱山、建設工事から始まります。

コロナウイルス感染、政府が予想外だったのは感染者が老人介護施設と高齢者向けレジダンスの院内感染(70さい以上)で占められたことです。予測していた巷での感染は少なくベッドも人工呼吸器も十二分にあり医療崩壊は無いです。私設高齢者向けレジダンスで高額な入居費にもかかわらず30人を超す死者が出ており手当てに落ち度があったのではないかと政府が介入することになりました、他の私設も監視下に置かれます。首相会見で「月30万から100万の高額入居費を取りながら10分な介護手当てをしてないとわかれば犯罪で許さない」と怒りをあらわにしました。

今日のランチは寒い日なので天ぷらそば。特売の時、海老20尾で1000円ぐらいで買って冷凍してます。一人2尾入りで二人でたった200円也(あったりまえだー小海老じゃん)。デザートは豆乳ゼリー、健康どすえー。



ケベックジョークもネタ切れ

警報システムは外からの侵入者に鳴ったもんだが、今は逆さ、引きこもりが外に出ようとすると鳴るんだ。

外出制限さすがに疲れてきますね。

10年

2020-02-22 19:33:49 | 雑誌CLASSICAより
 本や雑誌を処分しながら捨てないでて良かったと思ったのは長年愛読したclassica。10年前の2010年一月号特集はモーツアルト、それから10年後の2020年一月号特集はベートーベン。ここ数年前からclassicaがつまらなくなり内容をパラパラと読みながら、先ずページ数が154ページから130ページとなり24ページ減ってた。ペラペラな雑誌になった。広告が激減してる、広告収入が減ってる証。だから以前のような最新研究の成果とか、シリーズで一人の音楽家について最新の伝記を紹介するといった特集がなくなった。変な話だが古い雑誌の方が内容が濃厚。10年でこんだけ変わるんですね。

 5月末、2週間東欧3か国一人旅の予定が義妹も行きたいとのことで仕事の都合上12日間女二人旅に変更。私の好きなように旅してねという事で好きなようにプログラムしてます。義妹は建築に興味があり、それも小さなカルチエの公共建築に興味があり、どうしてもみたい建物だけピックアップして来月教えてくれます。

 今回私達が訪問するのはウイーン、ブダペスト、ザルツブルグ、プラハです。晩年のモーツアルトの行動半径はこのあたりの地域になります。毎日一回はモーツアルトとベートーベンを交互に聴いてますが二人の音楽似てるんですね。モーツアルトにベートーベン的な感性、ベートーベンにモーツアルト的な感性があるんですね。年を取るにつれて、スカルラッティとか、ラモーとかの小品が好きになってきて交響曲とか聞かなくなりましたが再度二人を聴き始めながら若い時とは違う思いがよぎります。

 classica2010年モーツアルト特集で、彼が生前訪問したすべての場所と年代が網羅されてます。今回の旅でモーツアルトが生まれ育ったザルツブルグの空気を思いっきり吸い込みたいです。



 いろいろ忙しいことがあり、なかなかブログを更新できませんが、ブログは気が向いたときに書きたいと思ってることをひょいと書くようにしてます。




LUCAS DEBARGUE

2018-02-05 16:49:16 | 雑誌CLASSICAより

 
LUCAS DEBARGUE(LD)を知ったのは2016年のクラシカトップテンに選ばれた時。CDを聴く以前にインタヴュー記事が面白く、男っ気のあるピアニストに興味を持った。イケメンじゃないしファッショナブルじゃないし、言い草など噛みつくようなとこがある。

ああ言えばこう言う小生意気な返答や音楽への考え方が新鮮だった。が、だからといってLDが批判するアカデミックスパルタ教育批判が正しいとは思わない。ベートーベンもモーツアルトもスパルタ教育を受けたではないか。また多くの名演奏家達はアカデミックな教育を受けている。ではクラシック界の異端児と呼ばれるLD語録から以下タメ口訳。

「異例とは何なんだい?僕を通常コースから外れた道を歩んだ奴というけど、どういうことなんだい?正常なコースって何なのさ、3歳からピアノの前に座って少年になったらショパンの練習曲を毎日10時間弾くことかい。ばかばかしい。グレングールドをイメージしてるのかい?ちっちゃな猿達は幼い時からピアノを弾き、蝶ネクタイを結んでコンクールに選ばれる。そんなコース僕は逃げ出したいね」

LDがピアノを学んだのは11才から、クラシックにのめりこみ中毒になる。それが15才でやめてリセでとったコースは文学、とくにロシア文学に夢中になる。ジャズバンドの伴奏したり、スーパーでアルバイトしたり、ありふれた一般の高校生生活をおくるが、育った町のお祭りによばれ、その演奏に興奮した友達が本格的にピアノを学ぶことをすすめる。コンセルバトワールに合格し入学したもののアカデミックな先生方から相手にされない暗い日々を送る。

「絶対競争社会の世界、嫉妬が渦巻き、ピアニスト同士でのスパイ行為がはびこり、全てが僕にとって耐えがたかった。それに勉強メソッドも自分を納得させるものじゃなかった。僕はたった一つのリサイタルプログラムを演奏することすらかなわなかったんだ」

これからどう生きてゆこうかと悩む中、奇跡的な出会いをする。彼に類まれなる才能を感じたRENA先生が彼を拾い上げ自分のクラスで教えることにした。たった2回目のレッスンの後、先生はチャイコフスキー国際コンクールに向けて特訓に入る。自称アナーキーなLDが唯一素直になれた先生でもあった。

24才にしてチャイコフスキーコンクール第4位入賞。4位ながら観衆を熱狂させ、全部門から唯一人批評家賞を受賞。世界トップの指揮者Valery Gergievが恒例としてコンクール最優勝者に約束されたクロージングコンサート演奏に招待する。一等賞に輝いた人可哀そう、何のための一等賞なの。

まるで宇宙人が降りてきたかのようだと評されるLD。現在超売れっ子。

LUCAS DEBARGUE現象は何を語ってるんだろう。大阪高校生のバブリーダンスと共通するもの、パッションが醸し出す生命力。これが聴衆や観衆を魅了したと思うが、裏返せば、今のアートシーンにこういった芸術へかける真摯な情熱が欠けているということかも。いや、きっとどこかに隠れてるだけ。Hさんが良く言うように、「世の中には全く無名でも有名人より素晴らしい演奏するピアノ弾きはたくさんいると思うわ」

デビュー当時魅了されたランランも最近はライヴ放送観て聴いてもつまらない。完璧なテクニックだが感動がないと評されるようになった。追っかけしてるアレクサンドルタローもラフマニノフからCD買わなくなった。聴いていて真面目で努力家なのは敬意を払うがつまらなくなった。様々なアーチストを揃えた最新CD「バルバラ」(売り上げトップを記録)も本物のバルバラを聴いたあとでは色褪せる。それともコンサートもCDも溢れすぎて、ついてゆけない私から感動する力がなくなったのかもとふと思う。

センセーショナルなデビューを飾ったLDもこれからどうなるかわからない。批評家たちの批評読むと、どう批評してよいかわからなくて戸惑ってる。「哲学するピアニスト」と評してる人もいる。CDを3枚買ってここんとこ毎日聴いてる。1枚目はこれ、LUCAS DEBARGUEの初レコーデイング。感想はまた別な日に。