やはり彼女には違和感がある。
危険でどこか疎ましいと言えるものかも知れない。
志乃とのそんな話しから3日後、桐山社長が売り場にやって来て二人に言った。
「開店一周年記念の食事会をやりましょう。成功祝いでもありますし、取り合えず皆さんの頑張
りに対する慰労と感謝ということで、あさっての定休日でどうですか」
「やったあ、感激です」
志乃が店をはばからぬ大声を上げた。
入口近くにいた客が、驚いた顔を向ける。
彼女は時々子供のように無邪気で奔放なふるまいを見せる。
さすがに桐山はちらりと入口の方に眼を遣り、困り顔で笑った。
「佐々木さんと打ち合わせは済んでいます。都合はいいですか」
彼は口元の笑みをそのままにあやを見た。
「勿論です。嬉しいです」
彼は当日は本社から経理面の補佐を担当している片山桃子も参加する旨を伝えた。
彼女は本社の経理課長で、週に何度かは必ずこちらに来る。
小柄で滅多に笑わない細い眼で、いつも帳簿やら伝票をめくっている。
あやも志乃も彼女は苦手だが、優美はうまが合い、結構頼りにしているようだ。
年齢的にも優美と同年代なので話し易いのかも知れない。