伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ143

2020-06-08 18:58:56 | ジャコシカ・・・小説

「それから一株の全部を摘んじゃ駄目だからね。いただくのは周りだけにして、真中のは残して

 

おくの」

 

 いつの間にか知恵は山菜採りの先生になっている。高志も良い生徒になって、教わった通りに摘

 

んで、彼女の確認を貰っている。

 

 そんな二人を見て、あやが楽しそうに声をかける。

 

 「優等生くん、護衛の方も忘れないでね」

 

 高志は顔を上げずに腰の鈴を外し、頭の上に高く掲げて振った。

 

 鉄さんの指示したポイントは、さすがに外れなかった。四人は僅かの時間で、充分な量を採るこ

 

とができた。

 

 「少こしは蕨や蕗をとっていかなくちゃあね」

 

 清子がリックの半分を占めた、行者ニンニクを見ながら言った。

 

 そちらの方は来る途中の入江に近い所に目星を付けておいたので、一行は一息入れることにした。

 

 開けた海を眺める場所で、南部煎餅と花林糖をパリパリとかじる。

 

 「美味しい」

 

 皆が一様に同じ言葉を発する。

 

 後は暫くは賑やかな音ばかりだ。

 

 水筒の水を飲んではまたパリパリ。

 

 「別世界だわね」

 

 あやが溜息まじりにつぶやいた。

 

 「私ここが大好きだわ」

 

 間を置いて千恵がめずらしく静かに言った。

 


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