伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ174

2021-01-04 15:37:52 | ジャコシカ・・・小説

 私の人生にはいつでも、ブテイック「フローラ」のあの緊張と高揚感が必要だし、それなしでは

 

生きている気がしない。

 

 その点で私達は同類だと思う。

 

 だからあやさん、私と手を組みなさい」

 

 「優美さんがこんなに雄弁だとは知らなかったわ。いつも怒鳴ることと命令することしかしない

 

人だと思っていたのに」

 

 「私だって、時にはお利巧さんになれるのよ」

 

 「新しい発見です。もしかしたら第四の扉かも」

 

 「第四の扉、何それ」

 

 「いつか私の入江の家に来て下さい。そこから海を見ると入口に大きな扉があるように見えるの

 

です」

 

 私にとってそこが第一の扉、そこから第二、第三と続いて、今度が第四かも知れないと思ったの」

 

 「つまり、提携は成立ね」

 

 「緊張と高揚のために」

 

 「そして、貴方の第四の扉のために」

 

 二人は今日初めて、心からの笑顔で見詰め合った。

 

 

 

十七

 

 優美と会って札幌から戻ったあやの眼に、入江は出掛ける前とは違って見えた。

 

 気がかりだった鉄五郎のことさえ、忘れかけていたことに気付かされた。

 

 体の中の隅々まで、新しい血が巡り始め、その血が入江の海を前に、ざわざわと波立ち始めた。

 


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