伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ54

2018-07-13 00:03:56 | ジャコシカ・・・小説
しかし口論は良くする。

桃子さんは経営上のことには一切口出ししないが、金の出し入れについては譲らない。

 そこで二人は良く大声で言い合う。

 二人共妥協は得意ではない。

 口論の現場は7階なので、周囲に気を遣うことがない。

 今では二人の戦いは皆に、定例の公式試合みたいに思われている。

 試合が終わると二人共けろっとしている。

 笑わない桃子さんもそんな時は、たまには唇の端を微かに動かして笑う。

 笑ったように見える。

 本社からは桃子さんの他に、連絡事務のために若い女性社員も来る。

 ある時志乃があやに、一人言のように言った。

 「本社には女性社員ばっかりなんだろうか」

 その言葉にあやは思わず振り返った。

 「まさか」

 言った後で今まで考えたこともない、そんなことが妙に頭の隅に残った。

 彼女は着眼点と言うか発想法が自分とは違う。違うだけでなく鋭いものを持っていると気付かさ

れる。

 普段は子供っぽく、幼いくらいに見えるが、時々がらりと違う顔を見せる。

 あやはその異る顔に、一人の人格としての連続性や整合性といったものを見失って戸惑う。


 彼女は単に気まぐれで不安定で物見高いのかも知れない。

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