伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ163

2020-11-13 14:20:56 | ジャコシカ・・・小説

 あやは飾り気のない白い封筒の差し出し人の名から、直ぐには眼を離すことができなかった。

 

 「間違いありませんね」

 

 紺の事務服姿の清子が、いつもの落ち着いた微笑で見ている。

 

 漁協事務所の地味な制服姿の彼女は、自分よりも幾つか年上に見える。

 

 「もっと明るい色がいいのに」

 

 あやは最初に見た時の印象が、会うたびに強まっていくのを感じる。

 

 大きく頷いて礼を言ったあやは、漁協事務所気付の自分宛の手紙を受け取り、歩きながら読んだ。

 

 文面は簡略なものだった。

 

 「次の週始めに札幌に行きます。そちらで開店の計画のためです。都合の付く日に是非会いたい

 

と思います」

 

 連絡場所としてホテル名が記されている。

 

 あやは思わず足を止めて顔を上げ、護岸の先に広がる海を見た。

 

 暫くはそのままの姿勢で動かなかった。

 

 よほどぼんやりと佇んでいたのだろう、高志が近付いてきて声をかけた。

 

 「どうした」

 

 その眼があやの顔と、両手で開かれたままの手紙を見た。

 

 「うん、ちょっとね」

 

 彼女は意識を引き戻すように笑って高志を見た。

 

 「突然だったので驚いていたところ」

 

 そう言って開いたままの手紙を、高志に差し出した。

 

 「見ていいのかい」


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