






美少年の双子。戦時、父親は戦地へと趣き、愛する母親に連れられ、町中から田舎暮らしの母親の実家・祖母宅へ疎開してきた。美しい母親の実母とは思えぬ容貌の祖母、おっかないのはその容貌だけじゃなかった・・・。
並はずれた知力と生命力で過酷な疎開生活を生き抜く双子。引き離されるのが死ぬほど辛い二人は、しかし、ある選択をする。突然の幕切れ。
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原作が好きだという映画友のお誘いで、快晴のお散歩日和の休日に映画館へ・・・。
何より、主人公の双子くんが、私が原作を読んで抱いていたイメージよりちょっと大きかった。あれは日本で言えば中学1年生くらいじゃないかな。原作では、もう少し下の、小学4~5年生くらいの感じを受けていたのだけれど。
しかし、中身に関しては、かなり原作に忠実です。よく映像化できたなぁと感心します。一つ原作と大きく異なるのは、おばあちゃんの見た目ですね。原作はやせ細っているのですが、本作ではかなり恰幅の良いおばあちゃんです。でも、まあ、魔女って言われていてもおかしくないルックスです。
キョーレツなのがこのおばあちゃんなんですが、まぁ、それは原作どおり。双子が絶食している最中に、贅沢にも鶏の丸焼きを作って一人でムシャムシャかぶりつく。その食べ様と言ったらありません。ホント、魔女っぽい。『エレンディラ』で毒入りケーキをムシャムシャ食べる祖母を思い出しました。
原作の、日記調を上手く生かしながら、映画ならではの「映像で見せるお話」も展開されており、原作ファンを裏切らない出来になっていたのではないでしょうか。
私自身はそれほど原作ファンではないけれど、映画としては結構イイなぁ、と思いました。戦時下の暗い空気がどんより垂れ込めた薄ら寒い光景が、気持ちをどよ~んとさせる一方で、憎らしいまでに賢い双子の生き様にどこかスッとするのです。
双子たちのやっていることは、もちろん、えげつないこともあります。一方で、優しさを見せもします。果たして、それが本当に彼らの優しさなのか、それさえも分かりませんが。とにかく、その辺の大人より遥かに頭が良いのです。
戦争の悲惨さは容赦なく日常に溢れかえる、けれども、決して悲惨さ一色ではありません。
非常時でも、当たり前だけれど、人間はそれぞれに生きているのです。双子たちはもちろん、おばあちゃんも吝嗇に徹しつつ隠した宝物を眺めてはほくそ笑んだり、我が子を疎開させた美しい母親は父親と双子のいない間に赤ちゃんを産んでいたり、おばあちゃん宅に間借りしているゲイの将校は部下とお楽しみに励んだり、、、みんな「生活」しているのです、戦火の下で。どこか緊張感はあるけれど、別に皆、絶望している訳じゃない。楽しみも悲しみもフツーにある生活をしているのです。
その昔、もの凄く悲しくて、もう動く気力もないほど絶望していたのに、時間がたったら「腹が減っている自分」に、もの凄くショックを受けたことを思い出しました。そう、人間てそういう生き物なのです。
双子たちも置かれた環境で、もの凄く逞しく生きています。そして、彼らは彼らにしか分からないある選択をするわけですが、ここでラストシーンなので、見ている方は「え゛ーーー」なのよね。まあ、これも原作どおりといえばそれまでですが・・・。
この続編といわれる「ふたりの証拠」「第三の嘘」については、私は読んでいないので、双子の先行きは分からないけれど、本作を見たらちょっと読みたくなってしまった、、、。
双子を演じた本物の双子くんは、本当に美少年の双子で、それがよけいに本作全体に厳しさを際立たせている感じです。
これぞまさに“恐るべき子供たち”
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