








フランスのとある町。子どもたちの日常の一コマ一コマを、愛情深いトリュフォーの目線で追った秀作。
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角川シネマ有楽町で開催中の「没後30年フランソワ・トリュフォー映画祭」にて鑑賞。平日も行けたらもっと色々見たいのだけれども、なかなかそういう訳にもいかず・・・。
『悪童日記』を見たのと同じ日に見たのだけれども、意外にもこちらの方が、若い人が多かったです。悪童は年齢層かなりお高めで、逆にオドロキ。
さてさて、私、この作品に惚れました。もう、大好き、って感じです。、、、いえ、ストーリーはほとんどないですし、特に劇的な何かが起きる訳でもありません。まぁ、強いて言えば、終盤、幼児虐待の話が出てくるくらいでしょうか。
本作に出てくる子どもたちは、2歳のグレゴリー坊やから、中学生くらいまで。子どもたちの屈託のなさと、それが故に大人の滑稽さが対照的で、非常に面白いです。
インパクトのあるシーンはたくさんありますが、やはり、グレゴリー坊やと、警察署長の娘リシャールのシーンですかね。
グレゴリー坊やの赤いつなぎルックがめちゃめちゃ可愛い

リシャールは、レストランに両親と外食に行くのに、自分のお気に入りのぬいぐるみバッグを持って行ってはダメと言われます。なぜなら、そのバッグは薄汚れているから。「連れて行かないよ」と親に言われて「いいもん」と言い返す頑固さんな彼女。両親が外からカギを掛けて出掛けた後、警察署長のお父さんが仕事で使うスピーカーでアパート中に聞こえるように「お腹空いた!」と連呼。親に置き去りにされた可哀想な子と思ったアパートの人たちは彼女に窓から食料を差し入れてあげるのです! いや~、こんなことされたら、親はたまりませんね、、、。でも可愛い

主題歌はシャルル・トレネの「日曜日は退屈」で、実に雰囲気に合っています。
ただ、子ども天国を描いている訳でもありません。転校生ジュリアンの悲しい実生活。彼は救い出されますが、その後の彼の人生が必ずしもバラ色ではないであろうことが容易に想像され、これは非常に切ないです。家庭が病んでいると子どもは早く大人にならざるを得ません。実際、ジュリアンは頭が良く、知恵も働きます。もう憎らしいほど。この辺りは、トリュフォー自身の投影なのかな、ともちょっと思ったり。彼の生い立ち、知りませんが、、、。
この後、ジュリアンの担任の先生がクラスメイトに話をするのですが、その内容は、「子どもは自分の置かれた状況を(良くても悪くても)大人のせいにはできない。誰にも文句を言えない。大人は自分で自分の生活を選べるのに」(正確ではありません)というもので、本当に、胸が痛かった・・・。
そう、子どもは親を選べないんですよ。よく、親たちが勝手に「私たちを選んで生まれてきてくれた」なんて言っているのを見聞きしますが、冗談じゃない、と思います。選べるものなら選んでますって、もっと違う環境を。私の親はかつて「親だって子どもを選べない」と言っておりましたが、どんな子が出現するかも分からない、そんな覚悟もできていないのなら最初から子どもなんか作るな、産むな、と言いたくなりますね、正直なところ。子どもは頼んでおりませんので、産んでくれなんて。
ま、私の母親は「子どもなんて快楽の産物だ」と娘に面と向かって言い放った人なので、何をかいわんやですが・・・。
何はともあれ、本作は非常に素晴らしいです。トリュフォーは子どもが好きなのだということが、映像からビンビンと伝わってきて、幸せな気持ちに浸れます。悲しく切ないシーンがあっても、それも含めて、愛しい、抱きしめたくなる作品だと思います。
これぞまさに“愛すべき子供たち”
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