映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年)

2016-10-05 | 【ふ】



 冷戦下のアメリカで、ソ連のスパイであるルドルフ・アベル( マーク・ライランス)の弁護を引き受けることになった弁護士のジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)。国中から罵声を浴びながらも、米兵がソ連の捕虜になった際の切り札に利用すべきだと主張してアベルの死刑を回避する。

 ドノヴァンの懸念どおり、米兵パワーズがソ連の捕虜となった。パワーズとアベルの身柄交換のため、再びドノヴァンに交渉役として白羽の矢が立った。難しい交渉のため、ドノヴァンは戦争の爪痕生々しいベルリンに入ったが、、、。

 良くも悪くも、ザ・スピルバーグな映画。


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 実話モノ&スピルバーグ、と2つも苦手要素が重なったのに、何となく見てみたくなりまして、、、。劇場まで行く気にはならなかったけれど、DVDでようやく鑑賞いたしました。


◆ドノヴァン氏の素晴らしき二枚腰

 実際のジェームス・ドノヴァン氏のお顔をネットで拝見したのですが、何となく、トム・ハンクスに似ているような。似ているというか、同じカテゴリーの顔、というか。

 しかし、トム・ハンクス、、、さすがに歳とりましたね。人間だから当たり前ですけど、『スプラッシュ』とかの印象が強いので、隔世の感がありまする。美男子じゃないけど、なぜか存在感のある役者ですよねぇ。若い頃から、今もそれは変わっていないですね。やっぱり、役者さんは、顔の造作の良し悪しも大事だけど、一番大事なのはオーラというか存在感だよね。

 で、このトム演じるドノヴァン氏は、専門は保険なんだけれど、なぜかソ連のスパイの弁護を任される。何でドノヴァンなのか、ってのは、割とアッサリな描写で、イマイチよく分からない。まあ、交渉力に定評があったってことなんでしょうな。

 とにかくこのドノヴァン、すごい精神力です。アベルを弁護する際もそうだけど、やっぱり私は、ベルリンで、身柄交換の交渉をするドノヴァンが圧巻でした。最初は、アベル:パワーズの1対1の交換の交渉だったんだけれど、たまたま恋人を救い出そうと東ベルリンに入ってしまった大学院生プライヤー君が拘留される事件が起き、それならばプライヤーも同時に取り戻そうと、アベル:パワーズ+プライヤーの1対2の交渉にしてしまう。しかも、パワーズ奪還作戦の責任者がプライヤーを何度切り捨てようとしても、絶対にドノヴァンは諦めないし妥協しないのです。これがスゴイ。

 普通の精神力の人間なら、軍人を取り戻すことの方が大事、国のためなら学生一人くらい犠牲になっても仕方がない、と思っても不思議じゃない。でもドノヴァンは違う。考えても実行できない人間が多いのに、ドノヴァンは考えた通りに実行しようとするし、実際にやり通してしまうのだから、このタフさには感動を覚えます。


◆オールAだけどA+は1コもない映画

 とはいえ、本作の見どころは、ほとんどそこだけ、、、と言っても良いくらい、あとはグッとくるところのない平板な印象でした。

 いや、とてもよく練られた脚本だし、無駄のない描写で、良い映画だとは思うのです。思うんですが、見終わって胸に迫るものもないし、もう一度見たいシーンもないし、まあ、正直見終わった後の率直な心の声は、“へぇ~、、、”でした。そんな話があったんだ、そんな弁護士がいたんだ、、、、という、へぇ~、です。

 つまり、映画で見なくても、NHKの海外ドキュメンタリー番組とかを見終わったときと同じ感じ。映画を見たはずなのに、それも一流のキャストに一流のスタッフによる、、、。

 別に無理矢理、感動作に仕立て上げる必要もないと思うし、淡々とした描写の映画でも感動させられる作品はイロイロあるのに、どうしてなのか。

 まあ、強いて理由を探せば、あまりにもスピルバーグが手練れだから、ってことかも知れません。敢えて難癖をつけるところもない、けれども、殊更印象に残るところもない、みたいな。

 クラシック音楽のレコードでいう“カラヤン+BPO”と同じかも。初めての曲を聴くなら、とりあえず“カラヤン+BPO”版にしとけ、と言われる。確かにハズレはないけど、他の個性的な演奏を聴いて耳が肥えてくると、ものすごくツマラナイ演奏に聞こえる、、、。

 記憶に残らないほどじゃないけど、印象には残らない映画だよね、正直なところ。見ている間は、面白いと思うけれど。






“ドノヴァン”=ヴァンパイア・ハンターなんだよなぁ、私には、、、。




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