映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

嵐が丘(1939年)

2016-10-11 | 【あ】



 嵐が丘に居を構える慈悲深い富豪アーンショウ氏が旅先で拾った孤児の少年ヒースクリフを連れて邸に帰って来る。跡取りの息子ヒンドリーは、ヒースクリフを最初から毛嫌いしたが、妹のキャシーはヒースクリフと親しくなる。アーンショウ氏が亡くなり、ヒンドリーの代になると、ヒースクリフは馬丁に格下げとなる。

 成長したヒースクリフ(ローレンス・オリヴィエ)とキャシー(マール・オベロン)は愛し合うようになっていたが、キャシーは「スラッシュクロス」と呼ばれる上流階級リントン家の邸宅での暮らしを垣間見、憧れるように。リントン家の跡取り息子エドガー(デイヴィッド・ニーヴン)が、キャシーに惹かれプロポーズしたことで、キャシーの心は揺れるものの、ヒースクリフではなく、エドガーを選ぶ。

 ヒースクリフは失意のうちに失踪してしまうのだが、、、。

 エミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」を、ウィリアム・ワイラーが大胆に映画化。こってこてのメロドラマに仕上げていますが、結構イケます。


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 『女相続人』に衝撃を受け、ワイラー監督の『ローマの休日』以前の作品を見たくなりました。主役2人をイギリス人俳優で固めながらもアメリカ製。でもそんなことはゼンゼン関係ない気がしました、本作については。


◆期待は裏切られません、、、一応。

 嵐が丘、といえばもうこれは、ヒースクリフを誰が演じるかでその作品価値の半分は決まると言っても過言ではないのでは。本作では、ローレンス・オリヴィエさまでございます。当時32歳のオリヴィエ氏、野性味のある美男子ヒースクリフには、まあ、悪くない(サー・オリヴィエに対し失礼な!)。私のヒースクリフのイメージとはちょっとばかし違うのですが。

 でもって、キャシー役のマール・オベロンさまも、なかなかのキツそうな美女で、イイ感じです。

 この2人が主役なら期待できそう、、、!? 

 結論から申しますと、期待を裏切られることはないと言って良いと思います。もちろん見る人の感性次第ですが、原作を大幅にカットし、ヒースクリフとキャシーの悲恋だけに焦点を当てたのが奏功していると感じます。原作を全部映像化すると、やっぱり4時間とか、6時間とか尺がないと到底ムリですもんね。


◆理想キャストは、ヒースクリフ:DDL、キャシー:HBC、、、なんだよなぁ。

 ただまあ、あんまりイロイロとここに感想を書きたくなる作品ではなかったのですよねぇ。

 それはやはり、原作が鉄板の名作であって、もうその内容について云々することも思いつかないくらい、ストーリーが脳内に刷り込まれているので、今さらそういう視点で批判的に見ることもなかなか難しいです。

 ただ、私は、この「嵐が丘」のオハナシ自体はあんまり好きではなくて、それは、ひとえにキャシーが同じ女性として好きになれないからです。キャシーのキャラは好きなんですが、生き様がね、、、。時代もありますけれど。この小説の魅力は、やっぱり狂気のヒースクリフにあると思います。

 でもって、私の中で評価の定まっている原作モノを映像化した映画であるために、どのくらいその世界観を具現化してくれているか、という点でしか見られない、というのもあります。

 そういう意味では、やっぱし、オリヴィエ氏のヒースクリフは、私にはちょっと違うと思ってしまう。野性味はあって欲しいんだけど、オリヴィエ氏はちょっとゴツ過ぎる感じ。もう少しストイックさを感じて、なおかつ細身な方が良い。、、、そう、私の中では、ヒースクリフは、DDLなのですよねぇ。そして、キャシーは、HBCで。この2人のコテコテ英国版『嵐が丘』が見たかった、、、のです。私の脳内では、その映像というか妄想が勝手に出来上がっているので、どの版の嵐が丘を見ても、物足りなさを感じるのは、まあ当たり前なわけで、、、。

 でも、レイフ・ファインズ&ジュリエット・ビノシュのピーター・コズミンスキー監督版『嵐が丘』よりは、本作の方が良いと思います。やっぱし、ビノシュがキャシーってのは、ミスキャストだったわけで、、、。でも、もう一度見てみたいかも。

 
◆ブニュエル版が見たい!!

 ローレンス・オリヴィエって、こんな顔だったっけ、、、? と思いながら見ていました。なんか、もう少し細面だったような気が、、、。こんなゴツい顔だったかなぁと。

 マール・オベロンは細くてちょっと神経質そうな感じが、ヴィヴィアン・リーに似ている気がしました。キャシーをヴィヴィアンが演じていても良かったかも、、、とか。マール・オベロンも魅力的ですけれど。

 個人的には、エドガー役のデヴィッド・ニーヴンが、あんましステキに思えなくて、、、。ひ弱すぎな感じ。オリヴィエ氏との対比で、ああいう配役にしたのかしらんとも思ったり。まあ金持ちの息子だから逞しいのも違うとは思うけど、もう少し、シュッとした感じの人が良かったな、なーんて。ま、おばさんの寝言です。

 まだ見ぬ、ブニュエル版の『嵐が丘』を見てみたいなぁ。舞台をメキシコに移した作品だとか。メキシコ時代のブニュエル作品はヒリヒリするのが多いから期待できそうなんですけれど。販売もレンタルもないし、、、。幻の映画なのかしらん。見られないとなると無性に見たくなる、、、。






水村美苗著「本格小説」を読み返したくなりました。




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コメント (2)
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