作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv68619/
以下、公式HPよりあらすじのコピペです。
=====ここから。
誰もがうらやむ夫、かわいい娘、“何も問題のない生活”を過ごしていた、はずだった塔子。10年ぶりに、かつて愛した男・鞍田に再会する。鞍田は、ずっと行き場のなかった塔子の気持ちを、少しずつ、少しずつほどいていく…。
しかし、鞍田には“秘密”があった。
現在と過去が交錯しながら向かう先の、誰も想像しなかった塔子の“決断”とは――。
=====ここまで。
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昨年、ちょっと話題になっていた本作。でも、劇場に行くほどもそそられず。DVDでいっか、、、と思った私の判断は正しかったのでした。
◆これホントに不倫モノ?
冒頭のあらすじを読んでも、イマドキこれ??みたいな話なんだが、原作は島本理生の同名小説だそうで、島本理生作品は一つも読んだことないのだけれども、女性の性愛を得意としている作家さんのようだし、直木賞も獲っているくらいだから、きっと、本作の原作もただの不倫小説じゃあないんでしょう。
でも、映画版を見る限りでは、ただの不倫話、、、、でさえない、というか。不倫が描けていないと感じてしまった。
映画でも文学でも“不倫モノ”は一ジャンルであるけれど、それは“不倫”が、恋愛における枷になっているから成立しているようなもんであって、枷がない物語など、見ても読んでもツマンナイわけよ。
本作の場合、原作がどうなのかは知らんが、少なくとも夏帆演ずるところの塔子を見ていて、不倫における枷をまったく感じなかったのよね。既婚者である<のに>、夫とは別の男とセックスしちゃうという場面は、私の目にはフツーの濡れ場にしか見えず、別にこれ、普通の何のしがらみもない男女の恋愛のそれと違わなくないか??と。
……いや、どういう演技なら不倫の枷を感じるセックスシーンに見えるのかと聞かれると、それは何とも言葉に出来ないのだが。不倫モノ映画といって思い浮かぶのが、『隣の女』とか『ダメージ』とかなんだが、これらの映画でのセックスシーンは、やっぱり見ていてヒリヒリする“痛さ”“ヤバさ”があったんだよなぁ。でも、夏帆とぶっきーの絡みを見ていてもヒリヒリしない。むしろ、早送りしたくなるくらい、無味乾燥。濡れ場なのに……ごーん、、、。
見ていて思ったんだが、演技で一番難しいのって、やっぱりラブシーン(セックスシーン含む)ではなかろうか。あんまりセリフがない場合が多いから、身体の動きとか表情とかで表現しなきゃいけないわけで。……ぶっきーはしかし、何かコトの最中でやたらと喋ってたっけ、、、。なんかああいうのって、アダルトっぽくなって逆効果じゃない? 演出としては、ちょっと下品な感じがするが。まあ、これは好みかな。
既婚者だから、罪の意識を感じさせるシーンにしろよ、と言いたいわけじゃなく、やっぱり所詮は“破滅前提の関係”であるという切迫感めいたものがないと、不倫モノ特有の枷にはならんわね。そこが、本作には決定的に欠けていた要素だと感じた次第。これは、演出も良くないけど、演じた2人も良くないと思った。
◆塔子という女性、その他もろもろ。
なんか、濡れ場の話ばっかし書いてしまったが、それ以外のところでは不倫モノとしてどう感じたか、というと、何かそれもピンとこなかったんだよねぇ。
そもそも塔子という女性が、同じ女性として私は好きじゃないなー、と。
~以下ネタバレしています~
監督が言うには、「それまで自分の欲求を押さえつけていた塔子が初めて自分の人生を生き始めた瞬間を撮りたい」ということだそうだが、塔子さんて、“自分の欲求を押さえつけていた”のかね?? 柄本佑演ずるウザ男のあしらいとか、ああいう家の息子と結婚したこととか、鞍田とのアレコレとか見ていると、結構、自分の欲求に正直に動いている女に見えるんだが。
私が好きじゃないのは、本当はそうなのに、そうじゃない風を装っているのがミエミエ、つまりぶっちゃけて言えば“カマトト”なのに、「私って、抑圧されてて可哀想、、、」みたいに生きているからなんだよね。被害者ぶってんじゃねーよ、と。人のせいにするな、ってね。好きでカマトトやってんでしょ。
本作のラストは、監督に言わせれば“塔子が自分の意思で初めて人生の選択をした”ということなんだろうが、ううむ、、、相手は死んでいるからなぁ。生きていれば、駆け落ちはアリだと思うけど。死んでしまった男の思い出を抱いて生きる、、、、お好きにどーぞ、ではあるが、映画としてはちょっとね。少女趣味というか。イマドキの少女はそんなことしないか。
カマトトを一皮剥いたら、天然が出て来た、、、ってとこかな。大人の恋愛話としては、オチが馬鹿っぽい気はするが、カマトトの先行きとしてはふさわしい気もする(本作で感動した方orお好きな方、ごめんなさい)。
あと、冒頭のあらすじにある「鞍田には“秘密”があった。」という思わせぶりな一文だが、秘密って、鞍田が癌だってこと? あれって秘密なの?? ううむ。秘密なのかー。私は、病気とか妊娠とかを物語の“転”にするの、生理的に好きじゃないんだよなぁ。登場人物が病気になったり妊娠したりしても良いけど、それを転にするって、、、現実ではそういうことは一杯あるけど、フィクションではちょっとな。しかも、“秘密”って(これも好みの問題です)。
本作では、夏帆が「大胆なシーンに臨んだ」などと話題になっていたが、、、、え゛、、、どこが?? だったんだけど。こういう映画で脱ぎ惜しみする女優って、何なんだ?? だったら出るな、役を受けるな、と言いたいんだが。脱ぎたくないのか、脱がしてもらえないのか知らんが、本当に邦画のこういうところは幼稚で鼻白む。彼女の他の演技も、さして上手いと思えず。
ぶっきーは、童顔で、悪い男を“頑張って”演じている感が滲み出ていて、見ていてキツかった。ううむ、彼の演技は上手いのか? 分からん。
性愛を描いても、およそ韓国映画には及ばず、、、って感じやね。邦画界の根深い病理のようなものを感じる。
原作を読んでみようかな。