作品情報⇒https://www.allcinema.net/cinema/319145
以下、アンスティチュ・フランセ東京HPよりあらすじのコピペです。
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港町ブレスト。曳き船サイクロン号の船長アンドレは、難破した船を救助した際に知り合った謎めいた美女カトリーヌと恋に落ちる。二人は海辺の家で密会するようになるが、長年連れ添った妻イヴァンヌは心臓の持病を抱えていた…。
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アンスティチュ・フランセ東京なんて大分前に一度行ったきり、、、。ちなみに、今回鑑賞したのは自宅でDVDで、です。
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またまた、どうしてリストに入れたか記憶にない作品が送られてきました。大分前に入れておいたものだと思われますが、、、。古いフランス映画はちょっと苦手というか、私の鑑賞力が低いので、良さがイマイチ分からないのです。でもまあ、本作は名画と言われているのが、ちょっと分かる気がしました。内容的にはいまいちピンと来ないですが。
◆2人のジャンによる名画(だそうです)
主演は名優ジャン・ギャバン、監督は知る人ぞ知る人らしいジャン・グレミヨン。ジャン・グレミヨンという名は、私は本作で初めて知りましたが。
ストーリーについてはとりあえずおいといて、、、。名画と言われているのが分かった気がすると書いたけど、それは、途中で船が嵐に遭遇するシーンがあるのだけど、それが明らかにミニチュアであるのに、実に迫力があって、見応えがあったからです。……なんてことを書くとヒンシュクを買いそうだけど。
モノクロのあんまりキレイじゃない画質だったんだけど、それでも、とても映像が美しい。ジャン・ギャバン演ずるアンドレと、ミシェル・モルガン演ずるカトリーヌが砂浜を歩くシーンや、その後、小屋で密会するシーンなど、技術的なことは分からないけど、2人が恋仲になっていく心の高揚感が画面の明るさと風景や部屋の中からの海の情景に表れていて、メロドラマとしては見せてくれる。
オープニングのパーティシーンでは、ワンショットではなかったかもだけど、今で言うならドローンで撮影したんじゃないかという俯瞰映像なんかも出て来て、あら~スゴい、と思った。
あと、ジャン・ギャバンはやっぱり存在感ありますな。決してイケメンではないけど、イイ男。本作撮影時は36歳くらいだと思われるけど、イマドキの36歳とはエラい違い。40歳過ぎているのかと思ったわ。……やはり、人の顔って、時代とともにだんだん幼くなっている気がする。これは、日本の俳優陣もそうだけど、外国の俳優陣見ても感じる。
ミシェル・モルガンはクセのある美人。この頃、21歳くらい。ジェラール・フィリップとも『夜の騎士道』で共演している。wikiによれば2016年に亡くなっているみたいだが、ご長寿だったのね。
……とまぁ、見どころはこんなところか。
◆以下どーでもよい話。
名画なんだろうけど、内容的にはちょっとね、、、。不倫モノでもメロドラマでも、良い映画は良いと思うけど、本作は、どうもなぁ、、、。
アンドレは、カトリーヌと不倫の恋に落ちる前から、妻に、不在がちな仕事を辞めて、もう少し一緒に居る時間を作って欲しいと再三言われていたんだが、取り合わなかった。妻は、自分が心臓が弱いことをアンドレに隠して、「一緒に居たい」を連発していたわけ。
この妻の、自分の病のことを言わない、、、っていうの、何かイヤだなーー、と。言わなきゃ分かんねーよ、と思うのよ。で、妻は夫が仕事を変わってくれないからと勝手に悲しむんだけど、そらそーだろ、と。事情を知らない夫にしてみりゃ、一生懸命この仕事をしているのに、それで妻を養っているのに、何でそんなにしょっちゅう文句言われなきゃいけないんだよ? と、普通の人間なら思うだろう。
妻が、病のことを敢えて夫に言わない理由って何だろう? と考えると、それは恐らく、言えば夫を心配させるから、、、だと思われる。病が命に関わるものだとまでは思っていなかった、、、てのもあるかも知れない。医者に診せるシーンがあって、医者も妻には「大丈夫、、、」と言いながら、友人には「危ない」みたいなことを言っていた。
で、アンドレがカトリーヌとこそこそ逢っているときに、妻の体調が急変し危篤状態になって、アンドレの部下が2人の密会場所にアンドレを呼びに来る。すると、まあ当然かも知れないけど、カトリーヌは急に「奥さんのところに早く行ってあげて」みたいな感じになり、アンドレも驚き打ちひしがれたようになって妻の下へと向かう。そして、死の床にある妻に縋って、後悔の念に苛まれる、、、。
妻が死にそうになって初めて、夫は自分の身勝手さに気付き妻に詫びるってさぁ、、、こういう展開、あんまし好きじゃないです。そう、人の死を話の「転」にしている典型的なストーリー。『Red』の感想文にも書いたが、どうもね、、、。
ずっと前に、TVで江口ともみさんが、夫(つまみ枝豆氏)と、どんなにケンカして罵り合っても、出掛けるときは必ず笑顔で「行ってきます」「行ってらっしゃい」の挨拶を交わすようにしている、と言っていた。なぜなら、それが今生の別れになる可能性がいつでもあるからだと。どちらかが事故に遭うかも知れない、とか。ご自分が事故に遭ったから、と言っていた気がする。
私も、若い頃、大事な人が突然病に倒れて、その後コミュニケーションが全くとれなくなってしまったことがあり、こういうことって、本当に突然起きるものなのだ、、、と愕然となり、もう何十年も経った今でもほとんどトラウマになっている。だから、私もウチの人とケンカ(というか、私が一方的に文句を言うパターンがほとんどだけど)した後は「行ってきます」「行ってらっしゃい」を、笑顔でというわけにもいかないけど、仏頂面でも引きつった笑顔でも、とりあえず必ず言うように気を付けている。ウチの人は基本アバウトなので、リセットも早くて挨拶もちゃんとする人なんだが、そのアバウトさ、リセットの早さが、またムカツクこともあり、、、。
……いや、何の話だ。だから、つまり、このアンドレも妻も、どちらも身勝手な夫婦だな、と感じちゃったのね。若いうちはそんなもんだけど、妻が死にそうになって豹変する夫も身勝手だし、自分の病気のことをきちんと話さない妻も身勝手。しかもアンドレは、愛人ともあっさり別れる。何ソレ? そういうのを自己憐憫というのです。身勝手を貫けばイイじゃん。
妻がそんなことになったんだから、そりゃそーでしょ、と言われるかもだが、カトリーヌに「愛してる」だの「離れたくない」だのと言っていたアレは何だったのサ。
まぁ、心臓の悪い妻が死んで、喜んで愛人と一緒になる、、、というと『悪魔のような女』になっちゃうけど、私は、そっちの方が好きだわ。人を好きになるって、そういうことだと思うんだよね。
だから、アンドレが、妻が死んでも、自分のこれまでの生き方を安易に後悔などせずに(とはいえ妻の葬式はきちんと出すにしても)、最終的にはカトリーヌの下へ行く、、、というラストだったら、私はもっとをたくさん付けたと思う。
名画を見る目がなくてすみません。