作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv67696/
以下、公式HPよりあらすじのコピペです。
=====ここから。
どしゃぶりの雨降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはる(田中裕子)は、愛した夫を殺めた。それが、最愛の子どもたち三兄妹の幸せと信じて。そして、こはるは、15年後の再会を子どもたちに誓い、家を去った—
時は流れ、現在。次男・雄二(佐藤健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)の三兄妹は、事件の日から抱えたこころの傷を隠したまま、大人になった。
抗うことのできなかった別れ道から、時間が止まってしまった家族。そんな一家に、母・こはるは帰ってくる。
「これは母さんが、親父を殺してまでつくってくれた自由なんだよ。」
15年前、母の切なる決断とのこされた子どもたち。皆が願った将来とはちがってしまった今、再会を果たした彼らがたどりつく先は—
=====ここまで。
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邦画が続いております。たまたまです。
本作も、公開時にちょっと話題になっておりましたが、これまた、劇場まで行く気にもならず、、、。そして、これまたDVDで十分でございました。
◆また小説家を目指す人、、、
田中裕子演ずるこはるが夫を殺した理由は、この夫がどうしようもないDV男だったから。
DVは、私自身も身近にも体験者がいないので、実感としては分からないのだが、こういう“自分より非力な者に暴力を振るう人間”というのは、ある日突然そうなるものとは思えず、ずっと以前からそうだったんじゃないのかなぁ、、、と思うのだが、どうなんだろう。
何が言いたいかというと、こはるは、恐らく、結婚した後、割と早い時期から夫に暴力を振るわれていたのではないか、ということ。で、そんな夫との間に、3人も子がいるのはなぜ?? と思ったのだった。……が、これは自分でも愚問と思ったというか、逃げられなかったんだろうな、とすぐに察しがつくよね。だからこそ、殺すしかない、、、というところまで追い詰められていたんだろう。こはるの場合、計画性はまるでなく、発作的にやってしまった、、、という感じだった。
実際、DV夫と“きちんと別れる”ことは非常に難しいのだろう。配偶者暴力防止法なんてものがあるわけだし、DVをテーマにした映画は洋の東西を問わずに作られている。ネットの本作の感想で、「どんな理由があったにせよ、殺人は許されないから、そこはマイナス」みたいなことを書いている人がいたが、こういう感想を書く人って映画に何を求めて見ているのかね? まさに、そういう発想がネットやメディアリンチを産んでいるわけだが、自覚あるのかな?
本作内でも、お約束のようにメディアリンチが描かれている。そして、3兄妹はこういうのに苦しめられたがゆえに、こはるに対する感情も三者三様になった。まあ、どの子の感情もちょっとずつ分かる気がする。私だったら、長男くんと同じ態度に出る気がするなぁ。
ちょっとずつ分かるとは書いたが、佐藤健演ずる雄二の「アンタがあんなことしなきゃ、オレらは暴力に耐えてれば良かった、(殺人者の子として)苦しまずに済んだ」というこはるへの言葉は、ちょっといただけない。それは、君があの時点から暴力を受けずに済んだから言えることじゃないのかね? 別にだから、こはるに感謝しなさい、と言いたいのではない。下手したら、君はあの暴力父に殺されていたかもよ? いや、お母さんが殺されていて、どっちにしても殺人者の子になってたかもね、、、。もっと言っちゃえば、君のような性格だったら、君自身が父親を殺していたかもよ? ということ。つまり、コトはそう単純じゃないでしょ、って話。小説家を目指している人の割に、あまりに思考が浅くて軽薄、と感じた。
『ミセス・ノイズィ』の真紀といい、雄二といい、小説家を目指す人、ダメじゃん。
◆終盤で置いてけぼり、、、。
本作は、大変なことがあって崩壊しそうになった家族が、どうにか修復する、、、というお話。一番、その修復でネックになっているのが、雄二の心なんだが、最終的には氷解して、一応、ハッピーエンディングである。
その、雄二の心が氷解することになった出来事が、佐々木蔵之介演ずるタクシー運転手・堂下とのカーチェイスなんだが、私は、あの終盤のシーンがイマイチよく分からなかった。今は真っ当に生きている元ヤクザの堂下が、息子との揉め事でヤケッパチになり、酒を飲みながらタクシーを暴走させるんだが、そのタクシーにこはるを乗せている。この、こはるを乗せることになったいきさつが、私にはよく分からなかったので、その後、3兄妹の乗った車と、堂下のタクシーのカーチェイスは、まったくもって???だった。
おまけに、その後、こはるをタクシーから救出するんだが、雄二と堂下が取っ組み合いのケンカをして、そんでもって、雄二は母のこはるを許すことになる、、、という展開が、さらに???で、着いていけなくなった。
何か非常に強引な展開で、強引でも納得させられるんなら良いんだが、、、。本当は雄二はこはるのことを最初から許したかったんだ、、、みたいな描写だったような気がするが、うぅむ、、、分からん。
……というわけで、一番大事な終盤の展開で着いていけなくなったので、の数が少ないのだけど、真面目に作られた映画だとは思う。役者さんたちは皆良い演技だったと思うし。
ネットの評判を見ると、本作は、コメディと受け止めている人もいれば、重たい家族の話と受け止めている人もいるようだが、私にとっては、見終わって、ふーん、、、、で終わってしまった映画だった。
感動する邦画に出会いたいなぁ。