作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv72461/
以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。
=====ここから。
1962年、蒋介石率いる国民党の独裁政権下の台湾。市民は、相互監視と密告が強制されていた……。
翠華高校に通う女子高生ファン・レイシン(ワン・ジン)が放課後の教室で眠りから目を覚ますと、何故か学校には誰もいない。校内を一人さ迷うファンは、政府から禁じられた本を読む読書会メンバーで、秘かに彼女を慕う男子学生ウェイ・ジョンティン(ツォン・ジンファ)と出会う。
ふたりは協力して学校からの脱出を試みるが、どうしても外に出ることができない。それでも、消えた同級生や先生を探し続けるファンとウェイ。
やがて、悪夢のような恐怖がふたりに迫るなか、学校で起こった政府による暴力的な迫害事件とその原因を作った密告者の哀しい真相に近づいていく……。
=====ここまで。
2017年に発売された台湾の大ヒットホラーゲーム「返校」を実写映画化。
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昨年の劇場公開時に見に行きたかったのだけれど、コロナとか何とかで、結局行けずじまい、、、。というわけで、DVDを借りて見ました。確かに、ホラーゲームっぽかった。
この時代の台湾を描いた映画といえば『悲情城市』(1989)、『牯嶺街少年殺人事件』(1991)が有名なのだけれど、私はどちらも一応見たが、どちらも消化しきれていない。それはひとえに、私が台湾の歴史を知らなすぎるからだが、本作は、そんな私でも普通に楽しめるエンタメ映画になっている。
目が覚めたら誰もいなくなっている、、、という始まりが、いかにもゲーム的。
その後の展開も、道が壊れていてある場所から出られなくなっていたり、クリーチャーが出て来たり、よく知っている人がゾンビみたいになっていたり、、、と、ゲーム的要素満載だが、映画としてもなかなかのクオリティで見せてくれるのだ。
何より、(これはゲームの出来が良いということなんだろうが)ストーリーが謎めいていながら適度に考えさせられて、最後には「ああ、そういうことか!」とオチもある程度分かるように作っている。全体に暗い画面が多いのだが画が美しいシーンが多く、制作陣の意気込みが感じられて、見終わった後、爽快とは違うが満足感は大きい。
徹底的な言論統制下にあるチクリ社会。そんな中でも、やっぱりいるのが、反逆者たち。権力者たちの目を盗んで禁書を「読む会」なんてものをわざわざ作る。一人でこっそり読んでりゃいいものを。……まあ、一人じゃ禁書を入手できないという事情もあるんだろうけど。この舞台設定だけでホラーになる、、、というところに目を付けたのはゲーム開発者の慧眼でしたな。
どんな社会でも根本的な人の営みは同じというか、、、。「欲」ですね、やっぱり。知識欲、性欲、物欲、支配欲、、、、挙げればキリがない。
ファンは、禁書を読む会を主宰している教師・チャン先生に思いを寄せているのだが、行き違いから、チャン先生が読む会に属している女性教師と親密だと勘違いし、チャン先生と女性教師を引き離したいというだけの思いから、読む会の存在を密告してしまう。そこから壮絶な弾圧が始まるのだが、誰が密告したのかが、本作の鍵となる。
チャン先生はじめ、読む会のメンバーは凄惨な拷問を受け、ウェイ以外皆殺される。そして、結局ファンが密告者であることも露見し、ファンは周囲から白眼視されるようになる。ファンの両親も不仲で、父親は汚職で逮捕され、家族崩壊に至る。現実の悲惨さに堪えられなくなったファンは、学校で密告のお詫びとばかりに首を括るのだが死にきれない、、、。
なぜか、以前はなかったはずの墓が学校の中にあったり、終盤、読む会の部屋にファンが戻ろうとするシーンが、序盤でファンが目覚めた後に読む会の部屋に行くシーンにつながったりという辺りが、本作の謎解きのヒントですかね。
中学生の淡い恋心がトンデモな事態を引き起こした、、、だけのオハナシといえばそれまでなんだが、独裁時代の史実を背景にして、サスペンスフィクションに仕立て上げたその構成力が素晴らしい。
日本のホラーゲームも相当のクオリティなんだろうけど(最近全くゲームやっていないのでどんなゲームがあるか知らないのです、スミマセン)、こういうゲームあったら面白いのに。自国の黒歴史をホラーゲームに仕立てるというのは、それなりに文化の成熟が求められるので、今の日本ではムリかな。
台湾の歴史について、せめて常識レベルには知っておきたいので、これからイロイロ面白そうな本を探そうと思います。
ファン役のワン・ジンちゃんが可愛い。