作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv71218/
以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。
=====ここから。
1982年、メキシコシティの高級地区ラスロマス。実業家の夫を持つソフィアは、3人の子どもにも恵まれ、高級住宅街にある美しい豪邸で満ち足りた生活を送っていた。セレブ妻たちのコミュニティに女王のごとく君臨する彼女は、証券会社の社長を夫に持つ垢抜けない“新入り”アナ・パウラの出現が気に入らない。
そんな時、メキシコを襲った歴史的な経済危機が、富裕層を直撃。突如として、ソフィアの完璧な世界は崩壊し始める……。
=====ここまで。
日本でもリメイクされたアメリカのドラマではありません。メキシコ映画です。
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昨年公開されていたときに、見に行こうかなぁ、、、とちょっと思ったものの、コロナ禍をおしてまで……というほどの引力も感じず、結局行かずじまいになったので、DVDで見てみました。まあ、わざわざ行かなくて正解だったかな、とは思うけど、面白くないというほどでもなかったかな、、、。まあ、そんな感じです。
◆カネと結婚する女たち
一昨年話題になった『ROMA/ローマ』(未見)の10年後、1982年が舞台のお話。この年、メキシコは歴史的な経済危機に遭っているらしい。そんな社会情勢を背景にして、お金持ちの有閑マダム・ソフィアが、お金持ちじゃなくなる(?)過程を描いている。
まあ、大したストーリーはなく、奥様連中の見栄の張り合い、夫との関係の悪化、財産を失う、、、ってのが割と淡々と描かれる。豪華なお屋敷の内装や、奥様連中の衣装などなどを見ているだけでも割と楽しい。
冒頭から、ソフィアさんは“自分自身の誕生パーティ”を開く。使用人に髪を洗わせ、化粧をさせ、服を着せてもらい、、、家の中はあれやこれやと飾り立てて、料理にも精一杯見栄を張る(タコをやわらかくするのがこだわり)。
そのパーティに夫が遅れると、ものすごく不機嫌な顔をして出迎えるソフィアさんだが、夫が「ほら!!」といって家の前に止めてある高級外車をプレゼントすると、豹変する。突然、夫の首にまとわりついて「もう~~、なんてステキなの!!」(セリフ違ったと思う)みたいになって、車の中に2人で乗ってみて、ついでに(家の中には客がいっぱいいるのに)カーセックスまでしちゃうという、、、。文字通り、“現金な”奥様であらせられます。
……というような感じで、成金的な生活の描写があれやこれやと続き、そこでは当然、奥様連中同士の見栄の張り合い等々もあり、一応、ドラマがないわけじゃないけど、「お金持ちもタイヘンなんだね」くらいにしか思えない。
夫の会社がいよいよヤバい、となったときの夫の振る舞いがなんとも、、、。ソフィアが「親に勧められてあなたと結婚したのよね、、、」みたいにぼやくと、突如泣き出した夫は「お前、○○(ソフィアの元彼の名前)と結婚していたら良かったと思ってるのか! お前、処女じゃなかっただろ!! 俺が気付いてないとでも思ってるのか。気付いてないフリをしてやってただけだ!!」みたいに罵るのよ。で、ソフィアが煙草をふかしながら白けた顔をして聞いているのを見て、今度は、ソフィアに取りすがって号泣するんだよね、、、。
どうもこの夫もお坊ちゃん(に見えないが)らしく、苦労知らずの社長で、なすすべなく経済危機に巻き込まれたっぽいんだけど、ゼンゼン魅力的な男性に見えなかったのがツラいとこ。
私は若い頃、親に何回も見合いさせられて、中にはお金持ちっぽい人もいたんだが、まあこんなことを言うと顰蹙なのは百も承知だけど「仮にこの人が1億円プレーヤーでも、この人と寝るのは絶対イヤだ、、、」な人ばかり(ルックスとか、中身とか、理由はイロイロ……)で、私にはつくづく“条件から入る出会い”が向いていないと思い知ったのだったが、ソフィアと夫を見ていて、何となく過去のそんな出来事をうっすら思い出していた。ソフィアの夫は、見た目は悪くはないが平凡で、頭もあんまし良さそうじゃないし、お金持ちでなければソフィアにとってアウト・オブ・眼中だったんじゃないかしらん。そんな気がした。
◆カネの切れ目で露わになる綻び
で、豪邸を始め全てを差し押さえられたらしい(セリフにあるだけでハッキリした描写はない)後、終盤、ソフィアはあれほど見下して嫌っていたアナ・パウラとその夫と、自身の夫と4人で食事をするシーンがある。
そのときにソフィアの夫が着ているシャツのカフスボタンは、差押えに遭う少し前にアナ・パウラの自宅にパーティに招かれていった際に、アナ・パウラの夫婦の寝室からソフィアが盗んだものなのである。当然、アナ・パウラの夫はそのカフスに気付くが、追及はしない。もしかすると、ソフィアはすっかりそんなことを忘れているのかも知れない。ソフィアの夫はもちろん知らないのだろう。
とにかく、その4人の食事のシーンが異様。恐らく、身ぐるみ剥がれたソフィアの夫は、アナ・パウラの夫に助けてもらってどうにか食いつなぐことができたと思われる。それで、4人で食事などするようになったのだろう。
しかもそのレストランに、経済危機を招いて国民を路頭に迷わせた張本人の大統領ロペスが入ってくると、客たちが犬の鳴き声を真似してロペスを追い出そうとする。そのときに、アナ・パウラ夫妻とソフィアも一緒になって犬の鳴き真似をしているんだが、ソフィアの夫がそんなソフィアを嫌悪するように見ているんだよね。このシーンが割と意味深なんではないかと感じた。
ソフィアの夫は、そういう妻の行動がとても“品性下劣”だと感じたのではないか。あれほど嫌って見下していたアナ・パウラ夫妻と同じことをしてヘラヘラ笑っている妻が、精神的にもそこまで堕ちたのか、、、と。貧すれば鈍するというのか、、、。
でもさ、それはソフィアの夫の買被りなんじゃないの? と見ている私は思ったなー。こう言っちゃナンだけど、カネ(だけ)で結婚相手を選ぶ人って、そういう思考回路なのであって、カネになびきやすいと思う。ソフィアの夫は育ちが良いので、拝金主義とはちょっと違うのかも知れないが、そういう夫自身もそういう品性の持ち主に選ばれたってことを自覚すべきじゃない? 夫婦なんて破れ鍋に綴蓋なんだからさ~。
カネの切れ目が縁の切れ目にならなかっただけ、ソフィアは人として情がある方だと思う。むしろ夫は、そんな蔑んだように目で見ている場合じゃなく、こうなっても見捨てなかった妻に感謝すべきかもね。まあ、どんなに美しい妻でも、あんな犬の鳴き真似している姿見たら、夫として興醒めする気持ちも分かるが、、、。
◆懐かしのファッションとかもろもろ
面白かったのが、当時のファッションなんだけど、象徴的に使われていたのが“肩パッド”。80年代に流行ったのを知っている身としては苦笑してしまった。
ソフィアにとって、肩パッドがバリバリに入っている衣装は、まさしく戦闘服なのだ。「さあ、行くぞ!」みたいなときは肩パッドを入れ、「もうヤだ、疲れた、、、、」みたいなときは肩パッドを外す。
当時は、ホント、何にでも肩パッド入ってたもんなぁ~。ブラウスにもカットソーにも肩パッド、上着にも肩パッド、コートにも肩パッド、ヘタすりゃ肩パッド3連!! アメフト選手も顔負けないかつい肩でみんな風切って歩いてたんだよねぇ。日本はまだまだバブル真っ盛りでござんした。
見終わってから知ったんだけど、アナ・パウラを演じていたのは『闇の列車、光の旅』(2009)のパウリーナ・ガイタン。どこかで見たような、、、とは思ったけど。ソフィアを演じていたイルセ・サラスはちょっとクセがあるけど美人。お高そうな衣装がどれも良く似合っていて素敵だった。
今住んでいる所からちょっと行くと都内有数の高級住宅街があって(わが家はごくごく普通の住宅街)、ビックリするような豪邸がいっぱい建っているんだけど、そこに出入りしている住民の方々は、いたって庶民な雰囲気の方々ばかりです。ソフィアさんみたいな奥様は、都内でも別の高級住宅街にいらっしゃるんですかね? シロガネーゼ??
あんなステキなお屋敷、1週間くらいなら生活してみたいわ~。
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