作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv85932/
以下、公式HPよりあらすじのコピペです。
=====ここから。
1900年頃のオーストリア・アルプス。孤児の少年アンドレアス・エッガー(イヴァン・グスタフィク)は渓谷に住む、遠い親戚クランツシュトッカー(アンドレアス・ルスト)の農場にやってきた。しかし、農場主にとって、孤児は安価な働き手に過ぎず、虐げられた彼にとっての心の支えは老婆のアーンル(マリアンヌ・ゼーゲブレヒト)だけだった。
彼女が亡くなると、成長したエッガー(シュテファン・ゴルスキー)を引き留めるものは何もなく、農場を出て、日雇い労働者として生計を立てる。その後、渓谷に電気と観光客をもたらすロープウェーの建設作業員になると、最愛の人マリー(ユリア・フランツ・リヒター)と出会い、山奥の木造小屋で充実した結婚生活を送り始める。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった……。
第二次世界大戦が勃発し、エッガーも戦地に召集されたもののソ連軍の捕虜となり、何年も経ってから、ようやく谷に戻ることができた。
そして、時代は過ぎ、観光客で溢れた渓谷で、人生の終焉を迎えたエッガー(アウグスト・ツィルナー)は過去の出来事がフラッシュバックし、アルプスを目の前に立ち尽くす−。
=====ここまで。
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地獄の暑さでムダに疲弊する日々、、、。でも、折角、1日の映画の日にあわせて取った夏休み、有効に使わねば!!と、暑い中を映画3本ハシゴしました。映画館に入ってしまえば涼しいけれど、駅からそこへ辿り着くまで、ほんの数分歩くだけで汗だく、、、って、やっぱし異常だよなあ、この暑さ。
◆“生きる”ってそういうこと。
どんな平凡な者の人生でも、それは一本の小説になる、、、という言葉はよく聞くけれど、本作はその言葉をまさに体現している映画である。
エッガーの一生を、それこそ、幼少期から晩年までを2時間で描くというので、何となく散漫になりそうなところを、巧みな演出と話法で見せてくれる。全体に淡々とした語り口なので、途中眠くなりかけたが、全体としては面白く見た。
とにかく、エッガーという人間が、実にタフなのだ。タフといっても、運命を自ら切り開く猛者ではない。むしろ、運命には逆らわない。かと言って、自身の意志がないのではなく、実に主体的に生きている。絶対に折れない柳のような人なのだ。こういう人は強い。
幼少期に養父に折檻されて、片足を骨折、以来、歩くときには足を引き摺るようになるエッガーだが、本人はそのことをまったくネガティブに捉えていない。愛する人と結婚して子も授かり幸せに暮らしていたが、妻が出産前に亡くなってしまっても、失意で動けなくなるなんてことにはならない。とにかく、前に進む。
考えてみれば、生きるってそういうことなんだよなぁ、、、と思った。
もう大昔のことだけど、ホントに生きていたくない、、、と思うような事態に直面したときに、もの凄く哀しくて息をするのも苦しいくらいのはずなのに、ふとお腹が空いていることに気付いて愕然としたことがある。こんな状況なのに、私は空腹を自覚しているのだ、、、という事実が衝撃的だった。これが、生きるということか、、、と思い知らされた。それでいて、いざ何かを口に入れようとしても、食べ物は喉を通らない。なんと矛盾した生き物だろう、、、。
エッガーも、きっとそうだったんだよな、と。妻がいなくなって哀しみに打ちひしがれていても、腹は減る。捕虜になって絶望しても、やっぱり腹は減る。とりあえず空腹をなんとかしよう、、、とりあえずこの苦痛をやり過ごそう、、、としているうちに、いつの間にか生きるために生きていることに気付く。
歴史の流れから見れば、エッガーの人生など取るに足りないものだろうが、歴史はそういう無名の人々の人生があってこそ成立している、ということが、こういう映画を見るとよく分かる。
◆その他もろもろ
幼少期~老年期までのエッガーを3人の俳優が演じているのだが、青年~壮年期のシュテファン・ゴルスキーと、老年期のアウグスト・ツィルナーが、全く違和感がなくて、いつチェンジしたのか分からなかったくらい。顔の系列が似ているんだろうなぁ。
その若いエッガーを演じたシュテファン・ゴルスキーは、なかなか精悍なイケメンやった。時々、ちょっと玉木宏っぽい?かなと。あんまり喋らない役だけど、日々を真面目に生きるというエッガーのキャラに合っていた。
幼少期のエッガーを演じたイヴァンくんは、ウクライナ出身だそう。1歳でオーストリアに移住したのでドイツ語はもちろん堪能。可愛かった。
ほとんどが、山間のシーンで、景色が実に美しい。妻とお腹の子を失う雪崩のシーンとか、どうやって撮ったんだろう? すごい迫力だった。
ポスターが、山をバックにした壮大な感じの画像だったので、前に見た「帰れない山」(2022)みたいな映画かな、、、と勝手に想像していたが、ちょっと違ったかな。でも、「帰れない山」の山男ブルーノと、本作のエッガーは通じるところがあるような。……いや、でもエッガーはブルーノみたいな最期を選ばないだろうから、根本的に違うと言った方が良いのかも。
本作の原作は、ローベルト・ゼーターラーの同名小説だそうで、ベストセラーなんだとか。この方、元々俳優だったのだが、脚本を書いたことが切っ掛けで小説も書くようになったという経歴らしい。原作は、ブッカー賞もとっている。原作も面白そうだけど「キオスク」が面白そう、、、と思ったので、早速図書館で予約しました。
やっぱりナチスが出て来た、、、。
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