映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ブレハッチ&ワルシャワ・フィル @東京芸術劇場 2019.11.02

2019-11-17 | 番外編

 

 今年は、日本とポーランドが国交を樹立して100周年だそうで。その記念事業の1つとしてのコンサート。ブレハッチがコンチェルトを弾くのをライブで聴くのは初めてなので半年前のチケット発売日から首を長くして待っておりました。

 プログラムは、ポーランドの作曲家モニューシュコの歌劇の序曲が前プロで、メインはショパンのコンチェルト2曲。当初は、1番・2番の順番だったけど、当日、曲順を入れ替えると発表があった。……まあ、曲想から行けばそうなるわね。

 2年ぶりに見るブレハッチ君は、なんだかちょっと痩せたんじゃない?という感じ。いや、もともと細身で小柄だけど。地味なスーツでお出まし。若い頃のポリーニみたいに颯爽とステージに現れる、、、という風ではゼンゼンなく、後ろに続く指揮者を気遣いながらソロソロ歩いてきた。リサイタルの時はもう少しサッサと歩いていたように思うが、、、。やっぱしオケ付きだと多少違うのかしらん。

 

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 まずは2番から。1番より華がなく地味だけど、私はどっちかというと、2番の方が好きかな。で、圧巻は2楽章。まあ、元々美しい曲なんだが、彼が弾くと、なんというかこう、、、キラキラではない、薄くベールのかかったような光がフワ~~~ッと見えるような神々しさを感じるのでありました。気がついたら、目尻から涙が出てた、、、。嗚呼、もうこれを聴けただけでこのコンサートに来た甲斐があったというもの。やはり彼の素晴らしさは、p、ppだよねぇ。どうしたらあんなppが出せるのか。

 まあ、それは1番の2楽章にも言えることなんだけど、とにかく、pやppでの表現力は、聴いているこちらの呼吸を止めさせるほど。あんなppを出せるピアニストは、多分世界広しといえども、そうそういないだろう。

 3楽章はマズルカを基にしているだけあって、民族舞踊音楽っぽくて土着な感じが好きなんだけど、彼の弾く3楽章を聴いていたら、映画『COLD WAR』での舞踊シーンが目に浮かんで来た。

 嗚呼、、、もう2番だけで胸がいっぱいになる。

 

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 お次はメジャーな1番。ショパンコンクール以来のワルシャワ・フィルとの1番協演とのこと。

 もう、何かイロイロ書くのも野暮に思えるくらいなんだが、ppの表現力も圧巻ながら、彼のffは非常に品がある。どんなにfの数が増えようが、絶対に音が壊れないというか。私の表現が稚拙なんでどうにも書きようがないんだけど、とにかく楽器が叫ばないというか。鳴るんだよね。

 ポリーニのfは豪腕さを感じるし、実際彼のffの弾き方は全身を使って楽器に力を伝えているように見える。ピアノという楽器を征服している感じ。

 でも、ブレハッチはそんな風に見えないの、ゼンゼン。生き物みたいなのよ、ピアノという楽器が、彼の手にかかると。ffを弾いていても、全身の力を込めて、、、って感じじゃない。でも、楽器はもの凄く鳴っている、、、みたいな。ああ、、、なんという下手くそな文章表現。我ながらガックシ。

 とはいえ、彼も汗をかくらしく、楽章間では汗をハンカチで拭っていた。確か3楽章が始まる前に、鍵盤に落ちた汗を拭いた拍子に、ポロンと音が鳴ってしまって客席から笑いが少し起きるという、コンサートではかなり珍しい光景もあった。ブレハッチも、ちょっとはにかんだようにしていたのが、何となく彼の人柄が垣間見えた気がした。

 3楽章のラストの超絶アルペジオとかも、サラサラと弾いているように見えて、音は実に艶やかで、、、何かもう、人間じゃないな……って思ってしまった。

 いやもう、、、この演奏を聴いて、今年の残り、多少のことがあっても何とか生きていけそうだと思いました、マジで。

 ちなみに、アンコールもショパンのマズルカであった。

 

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 それにしても、芸劇のホールなんて一体何年ぶりに行ったことやら。地下にある劇場には2、3年前に舞台を見に行ったことがあるけど、ホールの方は、もしかすると開館直後に一度行ったきりかも。その頃に比べると、池袋の西口もかなりキレイになったもんだ。

 ステージの後ろに、バルタン星人みたいなパイプオルガンがあった記憶があるんだけど、この日はステージの後ろは全面音響板になっていた。変えられるようになっているのかしら? 音響もあんまし良いイメージなかったけど、なかなかどうして、結構よく鳴っていたし残響もキレイだったと思う。サントリーホールのS席とか、ピアノコンチェルトでピアノがゼンゼン聴こえなかったりするんだが、ブレハッチの美音が非常にキレイに、私の席には聞こえてきました。

 そうそう、始まる前に、ふと後ろを見たら、すぐ後ろの列の左側にツィンマーマン氏が座っていた。思わず、あれ、、、?と思って一瞬見直してしまったが、その後色んな方と挨拶していたので、まあ、間違いないでしょう。彼のピアノは私はあんまり好みじゃないけど、日本にはよく来てくれているし、長年世界の第一線で精力的に活躍しているスゴいお方です。

 ワルシャワ・フィルも、ショパンの伴奏なんてコンクールで何度も演奏しているだろうけど、まあ、ソリストを邪魔することなく(ホルンがちょっと、、、の箇所もあった気がするけど)素晴らしい演奏だった。

 とにかく、幸せな2時間でありました。

 


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