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2位に4打差をつけて最終日を迎えるのは、昨年11月に勝った世界ランク1位、D・ジョンソンと同じ状況。とはいえ松山に油断はなかったはずだ。何より前日、マスターズ自己ベストの65をマークした自身が、後半の8ホールで6つスコアを伸ばしているのだから。
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「朝からずっと緊張していて、最後まで緊張しっぱなしで終わった」。オーガスタでは何が起きても不思議はない。1番、12番とボギーをたたいた後にパー5が来る巡り合わせの良さにも助けられ、華麗にバウンスバックを決めてみせた。もう栄冠へ死角なし、と思われた4つめのパー5、15番でいきなりピンチが訪れた。
グリーン奥のピンまで235ヤードの第2打がオーバーして池に入ってボギー。追いすがる同組のシャウフェレのバンカーショットはイーグル寸前、カップをかすめて楽々バーディー。その差が一気に2打へと縮まった。
続く16番パー3はホールインワンも期待できる例年通りのピン位置。そこで追うシャウフェレが池ポチャからミスを重ねてトリプルボギー。松山もこの日初の3パットでボギー。6打差を逆転された1996年のグレッグ・ノーマンの悲劇が再現される危機は遠のいたものの、日本男子メジャー初制覇の道のりはこれまでの先人たちの長い敗北の歴史が物語る通り、最後の最後までたやすくはなかった。
18番、「ティーショットがフェアウエーに行ったのがこの日一番のキーポイント」と安堵した松山だったが、ウイニングパットとなるはずの1㍍あまりのパーパットは左に外れボギー。終わってみれば2位と最少1打差の逃げ切り劇に。今大会の松山へ、オーガスタの魔女はほほ笑んでばかりではない、ちょっぴりのいたずらを仕掛けて祝福した。
(串田孝義)
18番パー逃すも逃げ切り🎉優勝