新・安倍政権が発足 国防危機に対応できる布陣か?
2017.08.04(liverty web)
《本記事のポイント》
- 安倍政権が、第3次改造内閣を発足させた
- 新たな政権メンバーには、"不安の種"がある
- 安倍政権は、国防体制の確立に全力を尽くすべき
第3次安倍政権・第3次改造内閣が、新たに発足した。
安倍晋三首相は3日の記者会見で、支持率急落の要因となった「加計学園」問題や陸上自衛隊の日報問題などについて触れ、「国民から大きな不信を招いた」と反省の意を示した。そして、「政権を奪還した時の原点に立ち返る」と述べ、「謙虚に、丁寧に一つ一つ結果を出していきたい」と強調した。
「父と息子は全く違う」と言うものの……
今回の内閣改造では、麻生副総理や菅官房長官ら数人を除き、14人を入れ替え、そのうち6人は初入閣だった。ただ、日本が置かれている危機に対応できる布陣なのかどうか、疑問が残る。
例えば、新外相となった河野太郎氏だ。河野氏は米ジョージタウン大学卒で、米政府関係者とのつながりが強く、米国通として知られている。
河野氏は、かつて河野談話を発表した河野洋平・元衆議院議長の息子だ。河野談話は「日本軍が、韓国で従軍慰安婦の強制連行を行った」という政府の見解を示したもの。この河野談話は、慰安婦問題を巡り、日韓関係をこじれさせている原因でもある。
また河野氏は、安倍首相の靖国参拝を批判した「ハト派」であり、日韓の議員連盟にも属している。
中国や韓国のメディアなどは、河野氏の外相就任を好意的に取り上げた。これに対し、河野氏は記者会見で、「河野洋平の息子が外相になったということで喜んでくれているならば、親の恩に感謝しなければいけない」と述べた。
河野氏は4日、新旧大臣交代式で「河野洋平と河野太郎は人間性も考え方も全く違う」と述べたが、「河野談話」について、自身の見解を示していない。今後の対中・対韓国外交において、毅然とした態度を取っていけるのか、疑問が残る。
「南シナ海は日本に関係ない」と発言した野田氏
もう一人注目されるのが、総務・女性活躍大臣に就任した野田聖子氏だ。野田氏は党内でも安倍首相と距離感があり、来年の自民党総裁選にも、安倍首相とは異なった政策で、出馬することを表明している。
与党として団結していく方針のようだが、安倍首相と野田氏の「国防に対する認識」の違いは不安の種になりうる。
野田氏は2015年、南シナ海をめぐる米中対立に関して、「直接日本と関係がない」と発言した。この米中対立とは、中国が南シナ海で人工島の埋め立てなどを行っていることに対し、米国が「航行の自由」作戦を行った問題である。
南シナ海は、日本に石油を輸入するためのシーレーンに位置することもあり、日本の安全保障上、重要な場所である。それにもかかわらず、「南シナ海問題は直接日本と関係がない」という認識を持つ大臣がいて、政権は日本の安全保障の環境を整備できるのだろうか。
有事の危機は、目前に迫っている
もし、アメリカが北朝鮮に攻撃を行った場合、日本に被害が及ぶ可能性がある。また、アメリカが北朝鮮にアクションを起こさなくとも、日本は独力で自国を守る必要が出てくる。
いずれにせよ日本には、有事に備えるための期間がそれほど多く残されていない。
日本は、一刻も早く憲法9条改正を成し遂げ、国防体制を固めるべきだ。新たな内閣は、そうした課題に真摯に向き合うことが求められている。(中)
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