富裕増税で資産家が「万単位」で流出し、慌てるイギリス労働党 増税がいかに愚かであるかを実証中
2025.01.29(liverty web)
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画像:Alexandros Michailidis / Shutterstock.com
《ニュース》
2024年10月に労働党政権が発足して以降、イギリスでは増税路線を懸念する富裕層の流出が増加しています。英紙ザ・タイムズはこのほど、「45分に1人の割合で、億万長者が出国している」と報じました。
《詳細》
14年ぶりに保守党から政権を奪還した労働党のスターマー政権は、財政再建に向けて400億ポンド(8兆円)の増税を柱とする予算計画を発表しました。
具体的には、企業が納める国民保険料や、個人のキャピタルゲイン課税(株や債券などの売却益への課税)の引き上げ、「ノンドム税制(イギリスの外国人居住者の、海外の所得への課税を免除する制度)」の廃止など、企業や富裕層への課税を強化する方針を打ち出しました。これを財源にして、無償で医療を提供している国民保健サービス(NHS)などの支出を増やすとしました。
この労働党政権の増税政策への懸念から、富裕層の海外への流出が増加しています。
昨年7月には、英コンサルタント会社ヘンリー・アンド・パートナーズが、100万ドル(1.6億円)以上の投資可能な流動資産を保有するミリオネアの流出数を予測。不況にあえぐ中国(1万5000人)に次いでイギリス(9500人)が2位とする推計を発表し、話題を呼びました。
そして実際には、調査会社ニュー・ワールド・ウェルスによると、増税派の労働党勝利を危惧したイギリスの富裕層の間では昨年、100万ドル以上のミリオネアが約1万800人、1億ドル(160億円)以上が78人、10億ドル(1600億円)以上が12人、流出したとのことです。彼らの多くは、イタリアなど他のヨーロッパ諸国や、アラブ首長国連邦(所得税がない)に移住しています。
こうした富裕層の流出が問題視されたことを受けて、リーブス財務大臣は慌てるかのように、今後の財政法案の修正を示唆しています。
英政府統計局は24年末、7~9月期の実質国内総生産(GDP)を前期比で「ゼロ成長」に下方修正し、イングランド銀行は10~12月期もゼロ成長を見込んでいます。スターマー政権の増税路線により、イギリス経済は減速しています。
《どう見るか》