中国外相と会談する岩屋毅氏(外務省HPより)。

 

《ニュース》

政府が中国人観光客向けビザの発給要件などを、大幅に緩和する方針を示したことについて、自民党外交部会などの合同会議で、批判が相次いでいます。

 

《詳細》

岩屋毅外相は昨年末の訪中時、中国人観光客向けのビザ発行要件などを、大幅に緩和する方針を発表しています。

 

富裕層向けに10年間有効な観光ビザを新設するほか、団体旅行で取得するビザは滞在可能な日数を30日に延長。さらに、65歳以上の中国人に限り、個人向けのビザで在職証明書の提出を不要にするといいます。

 

岩谷外相は「人的・文化交流は、日中両国の協力と連携を具体化する重要な要素だ」と述べていましたが、外交安保上さまざまな懸案を抱える中国にすり寄るかのような対応に、世論からは批判が相次いでいました。

 

こうしたなか、21日に開かれた自民党外交関係の合同会議で、「中国との間に懸案がある中で、国益にかなうものではない」「オーバーツーリズム(観光公害)につながる」「国民の理解が得られない」との声が相次ぎました。

 

また、方針発表のプロセスについても、自民党への事前の説明がなかったという前代未聞のプロセスを経たこともあり、「なぜ急いで判断をしたのか。必要性はどこにあるのか疑問を抱かざるを得ない」(星野剛士外交部会長)との苦言も呈されました。

 

これに対し外務省担当者からは、インバウンドの拡大に伴う経済的な効果が期待できるなどと理解を求める説明があったと、報じられています。

 

しかし国際情勢の大きな構図として、対中強硬に舵を切る米トランプ政権に対抗するため、習近平政権が日本を取り込もうと接近するなかで、今回のビザ緩和も行われたことを見逃してはいけません。

 

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