石原慎太郎氏が亡くなったのは2月1日であった。石原氏が芥川賞の選考委員を務めていた時に何度か強く推していた作家に西村賢太氏がいた。その西村賢太氏が2月4日に急死した。西村氏は石原氏の追悼を次のように読売新聞に寄せている。
『石原慎太郎氏の 訃報に接し、虚脱の状態に陥っている。
私ごとき五流の私小説書きが、かような状況下にあることを語るなど痴愚の沙汰だ。実におこがましい限りの話でもある。しかし十代の頃から愛読していた小説家の逝去は、やはり衝撃の度合が違う。これでもう、私が好んだ存命作家は 唯 の一人もいなくなってしまった。
芥川賞の選考委員としての氏が、落選を繰り返す拙作をその都度文中の“身体性”に着目して唯一人推し続けて下すっていたことは、忘れられぬ徳である。が、もう一つ――念願 叶かな って初めてお会いした際に、開口一番向けられた「お互い、インテリヤクザ同志だな」との言葉も、常に胸中に掲げている。その真意は分からない。以降、お会いするたびにお聞きしようと思いつつ、 野暮なこととして控えていた。今はそれで良かったと、虚脱状態の中で得心している。』(読売新聞オンラインよりの引用)
西村賢太氏が、「存命する作家で敬愛するのは石原慎太郎ただ一人だと思っていた」と述べたその数日後に彼自身の命が失われてしまうとは、言葉を失う。二人の作家のご冥福を祈るのみである。
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