平城宮跡資料館のホームページを見ると 当資料館には似つかないタイトルの企画展が開催中とのことで早速出向いてみました。
それは「イカロスの翼」という展示で 「薬師寺の発掘成果から見る近世と近代」というサブタイトルが付いています。
イカロスとは ギリシャ神話に登場する 蝋製の翼で空を飛ぶ青年のことですが タイトルからは何の展示か想像し難いですね。
資料館に到着し わくわくしながら入場してみました。
企画展のパンフレットから 薬師寺の発掘調査で出土した比較的年代の新しい遺物が イカルスに結びついているようです。
その遺物が展示されていましたが 何かの破片のようですが 個々のパーツからは全体像がわかりかねます。
そこで これらプレートを寄せ集めて 足りない部分を想像し合成されたものがこちらです。
どうやら「イカルス」の図柄とともに「日本帆走飛行」の文字が記された 焼物のようです。
全部揃ったものがこちらで「第二回全日本帆走飛行競技大會」も文字が記されたメダルでした。
その競技会のプログラムがこちらで 昭和13年8月に開催されています。
それにしても 何故このメダルが薬師寺の発掘調査現場から出土したのでしょうか?
それは 薬師寺の立地場所が奈良の有名な焼物窯である「赤膚焼」の窯元に近い点が挙げられます。
第一回競技会のメダルは下のように金属製だったのですが 日中戦争が大会後に勃発し 第二回では金属節約のために陶器に仕様変更され
それを赤膚焼で制作し その試作品等が廃棄され薬師寺の敷地内に埋められたのではと類推されているそうです。
次に生駒山との関連ですが 戦前現在の東大阪市に「盾津(たてず)軍用飛行場」があり そこではグライダーを用いた飛行訓練が行われ
実用訓練として生駒山頂上から飛行場までの帆走が 行われていたそうで 新聞記事にも取り上げられていました。
現在の生駒山上遊園地駐車場は 当時はグライダーの滑空場だったそうです。(盾津飛行場までは直線距離で10km程度かな?)
大阪・奈良の象徴である生駒山が グライダーのメッカだったとは知りませんでしたが 頂上からの大阪市内への開けた展望からは納得!
また 奈良時代に造営された薬師寺から イカロスをかたどった破片が出土し ここから色々な繋がりが明らかになった点も面白いですね。