◆ 新発見の能(のう)に関する資料と能を好んだお殿様(とのさま) ◆
甲府城跡の鉄門が約130年ぶりに復元されました。今回は、公開を記念して行われた特別展と鉄門を背景に上演された「黒平の能三番(くろべらののうさんば)」を紹介します(取材日は1月11日(金))。
甲府城跡に歴史的風格を蘇(よみがえ)らせようと平成22年から始まった鉄門の復元整備事業。
史実と伝統的工法に基づき復元した鉄門は、1月10日(金)から一般に公開されました。
鉄門の竣工および公開の開始を記念して開かれた竣工記念イベント「よみがえる鉄門」(1月10日(木)~1月14日(月))。
鉄門2階で開かれた特別展では、鉄門の調査成果や新しく発見された史料などが展示され、たくさんの人が訪れました。
★甲府城と鉄門★
甲府城は豊臣秀吉の命令によって築城されたお城で、江戸時代の初めごろは将軍家の一門が城主となる特別なお城でした。
宝永元(1704)年に柳沢吉保が城主となり大修理を行い、翌年に城内の建物などの名称変更があり、本丸(ほんまる)と天守曲輪(てんしゅくるわ)の境に建てられた櫓門(やぐらもん)も、南門から鉄門と名称が変更になったという記録が残っています。
明治6(1873)年に全国の城の保存・廃止が決定されると、甲府城の建物は壊され、鉄門も取り壊されてしまいました。
平成2(1990)年に舞鶴城公園整備事業が着手され、現在までに鍛冶曲輪門、稲荷曲輪門などの門や稲荷櫓が復元されました。
鉄門南側では、山梨県無形民俗文化財に指定されている「黒平の能三番」が上演されました。
演者は能三番保存会の方々です。
かつて城内の楽屋曲輪(がくやくるわ)に立派な能舞台があったことや甲府城主の柳沢吉里(柳沢吉保の息子)が甲斐への初入国を祝して自ら能を舞い、家臣だけでなく国中の人々に見物を許したと記録されていることなどにちなんで上演されました。
また能舞台に関する資料は鉄門2階の特別展で展示されていて、新発見のとても貴重な資料ということでした。
五穀豊穣(ごこくほうじょう)や家内安全などを願って舞う「能三番」。
脈々と受け継がれる伝統芸能を一目見ようと訪れた人々が、迫力ある舞や音楽に見入っていました。
また当日は、富士の国やまなし国文祭(1月12日(土)~11月10日(日))の開幕前夜祭として薪能(たきぎのう)が上演されました。薪能は甲府城跡とゆかりのある芸能であり、約300年ぶりに城内で演舞されたそうです。
~現在開催中~
★「第28回国民文化祭・やまなし2013」(愛称「富士の国やまなし国文祭」)★
国民文化祭は国内最大級の文化イベントで、富士の国やまなし国文祭は11月10日(日)まで開催されます。県内外からの参加者・観覧者に、山梨の文化資源や豊かな自然環境に直接触れ体験してもらい、四季折々の山梨の魅力を満喫してもらおうと、さまざまなイベントが県内各地で開催されます。